G Generation Guardian
スーツの方はヒロト・タカヤマ。MSを開発、製造している企業「サナリィ」の社員である。今は民間用MSのパーツも販売している為、各地を渡り歩いて営業を行っている。交渉術にも長け、操縦技術の高さから社内の試作機のテストパイロットも行うなど、社内の有力株として注目を浴びている。情報網もかなりのものを有しており、交渉のツールとしても使用している。
「ですよねぇ…ワンオフと考えて相違無いでしょう。頭部もガンダムに似ているし…?」
「まぁ確かにね…。でも「似ている」んじゃない。本当にガンダムなんだと俺は思うよ?」
困惑の表情で機体を見詰めるフォントとは対照的に、ヒロトは何か確信を持ったかの様な表情でそれを見ていた。ガンダムという兵器に携わって来た者の「勘」がそうさせているのかもしれない。フォントはその説得力に圧倒され何も言えなかった。これがヲタク≪アマチュア≫と社員≪プロフェッショナル≫の差なのだろうかと思わずにはいられなかった。
「フォント君。」
「!?…ハ、ハイ!何でアリマスか!?」
自分の世界に入り込んでいたフォントは急に現実に呼び戻され大きな声を上げた。自分でも訳のわからない位にだ。
「悪いけど、俺の仕事を一緒に手伝ってくれないかな。「お礼」はするからさ♪」
非常に驚いたような表情を見せるフォントを余所に、ヒロトは話を続けた。翳した手には何か「ディスク」の様な物を持っていた。ヒロトの言う「礼」とディスク。その関係から、サナリィが試作している機体のデータだとフォントは推測した。勿論お持ち帰りは無し。ヒロトのパソコンで見るだけ。出来れば持ち帰りゆっくり拝みたいが、ぜいたくは言えない。
「は、はい!喜んで!!」
「(やっぱり君みたいな人間は扱いやすくて助かるよ。)」
フォントは眼を輝かせながらヒロトの言葉をあっさり承諾し、彼と共に格納庫を後にしたのだった。
作品名:G Generation Guardian 作家名:かめわん