G Generation Guardian
「慣れ合うつもりは無い。休ませて貰う。…明日は早いからな。」
そう言い、部屋に入ったと同時に扉を閉めた。通路はヒロト以外には誰もおらず、静寂が彼を包み込んだ。
「結構大胆に言っちゃったけど、ロクに監視カメラも無いし、いいよね。聞かれたら聞かれたで、揉み消しようもある。おやすみ、犀我君。」
彼はそう言い残し、その場を去った。まるで何も無かったように、白々しい程に。
「…朝、か。」
ヒロトとの契約の後、ネロに任務を送る人間に報告を済ませ、その日は就寝していた。セットしていたアラームが耳障りな音を響かせたため彼も覚醒したという訳である。ベッドから離れると照明を点け、支給された作業服を身に纏う。本人は余り気に言ってはいなかったが、「業に入っては業に従え」という日本の言葉がある。向こうの決まりには従うしかない。一通りの身支度を済ませると、扉の前に立ち、開閉スイッチを押した。
「おはよう、よく眠れたかい?」
扉の向こうでそう言ったのは昨日接触した従業員の少年である。その姿を見て犀我はまず安堵した。扉の向こうにいたのがヒロトであれば、弾みで銃のトリガーを引きかねない。
それほど彼には嫌悪感を抱いていた。
「お早うございます、トビアさん。お蔭様でよく休めました。短い間ですが、宜しくお願いします。」
少年…トビアとは昨日の内に軽く自己紹介は済ませておいた。しかし、この風貌で18歳だとは、流石に犀我も驚いた。(トビア本人にはそのような素振りは見せていないつもりだが。)
「別に“トビア”でいいよ。敬語も要らないし。俺、まんまりよそよそしいのは嫌いだからさ。」
「じゃあそうさせて貰うよ、トビア。」
「ああ。悪いけど早速配達の仕事だ。量が多いし、人出が要るからネロにも来てもらうよ。」
「分かった。直ぐに行こう。」
作品名:G Generation Guardian 作家名:かめわん