G Generation Guardian
フォントの言葉に、ヒロトは何の悪びれも無いように帰す。他人の不幸は蜜の味と言うが、ここまで蜜を啜ろうとする人間をフォントは見たことが無かった。
「ハァ…ロクな死に方しませんよ。」
「生きてる今が楽しければいいさ。死後の世界じゃどうせ何も出来ないだろうしね。ま、俺達もオンモ艦長に怒られる前に行こうじゃないか。」
そう言うと、ヒロトは満足げに足取りも軽く自分の機体へと向かった。
「…不公平だよなぁ、こんな人が一番器用に生きてるなんてさ。」
逆に不満そうなフォントはそう呟き、自分の乗機であるファントムへと足を向けるのであった。
「稼働には問題は無いか…仕方ない。出るぞ。」
乗機に搭乗したネロは即座にシステムを立ち上げて機体の灯を燈させる。視界が少々狭くなった程度で、作業を行う事に支障はない。下には作業員もいるので慎重に機体を動かし、同じく艦に積まれたコンテナを掴む。トビアや、他のパイロットの乗機も同じくコンテナを掴んだ。
『これからハッチを開くからね。皆、腰を抜かすんじゃないよ?』
準備が完了した所でオンモがパイロット達に通信を掛けた。調子のいいことだ、とネロは心の中でそう呟いた。やがてコロニー内部へのハッチが開き、眼の前に景色が広がる。
「これは…」
ネロは思わず呟いた。なぜならば、その景色はにわかには信じがたいものであったからだ。半分は空の青、そしてもう半分は森の緑がコロニー内部を埋め尽くしていた。正確には砂漠や氷山等も見られるが、いづれにせよ普通のコロニーでは有り得ない光景である。よく見れば、多くの鳥が空を舞い、動物達が地を駆けている。この光景はまるで…そう、地球と瓜二つであった。任務で地球に降り立った事はあるももの、これほどの緑を直接見た事は無かった。
作品名:G Generation Guardian 作家名:かめわん