G Generation Guardian
ホバートラックから降りていた人間の中にはベルの姿もあった。無邪気で屈託の無い笑顔を彼に見せると、彼女はその抑え切れない興奮を言葉にし始めた。
「此処は凄いよ!図鑑でしか見たことの無い動物とか植物が一杯あるの!それでね!…」
夢中で話すベルの勢いに押され、フォントは言葉を返す暇が見つけられなかった。今回、本来彼女はお留守番だった筈だ。ここにいるということは、彼女お得意の「密航」を行ったのだろう。「何故ここにいるんだ!」と問い質したいところであったが、そのように喜んだ姿を見せられるとそれもはばかられる。自分は甘いな、と思いつつ話を聞き続けた。
「社長…そろそろ「種明かし」をして頂いても宜しいですか?」
ここで、ネロがオンモに「種明かし」つまり、「自分達がいるこのコロニーは何なのか?」ということを訊いた。
「ああ、そうだね。このコロニーは…」
「イエ、私から説明しましょう。此処は地球で「絶滅危惧種」と呼ばれる動植物を繁殖、管理しているコロニーなのデス。唯でさえ、私タチ人類は森林伐採や自然破壊で動植物が住む地を奪って来まシタ。そして今も地球とコロニーの間で戦争が行われている…そこでこの森林に満ちたコロニーが誕生したのデス。コロニーと地球の政府の両方から活動の認可を得た迄は良かったのですが、何分補給に困っておりまして、ルートの整備が出来る迄はアナタタチの様な民間企業にお世話ニならなければいけないというのが現状ナノデス。」
「(だから此処は異様に動植物で溢れているのか…。動植物の安住の地は既に地球には無いとは、皮肉な話だ。)」
ネロは話を聞いてその様な事を思った。人間の都合で自然は破壊され、申し訳程度に動物達を宇宙へと上げ、このようなコロニーを用意して住まわせた。これを人間の驕りと言わず何と言うのだろうか。
作品名:G Generation Guardian 作家名:かめわん