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島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)1

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ユキは進を扉の外で待っていた。

  「ユキ…お疲れ。」

進は扉の外にいたユキに声を掛けた。

  「あいつ、キレイな顔してたな。寝てるみたいだった…だけど…顔を触った
   時…冷たかった。俺は島のけがに気付かずヤマトを浮上させろ、って
   指示を出した…あの時気付いていればそのまま医務室に行かせたのに…
   命があってこそ…なのに…」

進は必死に涙をこらえていた。ユキは何も言えず進の少し後ろを歩いていた。

  「ちょっと艦長に相談があって…上に行くけど?」(進)
  「私は医務室によってけが人の様子を見てから第一艦橋に行くわ。」

二人はエレベーターの所で分かれた。









  (古代くん、すごく思いつめた顔をしてた…アクエリアスは最後のワープを
   してしまった…まだ地球を救う方法、あるのかしら?)

ユキは進と一緒に歩いた廊下を戻り医務室に入って行った。






  「古代です…入ります。」

進は沖田と向き合った。“短期決戦”だったので最初しかゆっくり話せなかった。地球に戻ったらゆっくり話が出来る…そう思っていたが地球に戻れるか、も分からない状態になってしまった…。




二人の話は合致していたが進の想像していた自動操縦では失敗の恐れがある、と言う事と“誰が波動砲の引き金を引くのか”で沖田の判断で沖田が残る事になった。進は沖田を失いたくなかったが“艦長”としての沖田には逆らえなかった…







  (乗組員を説得しろ)

進は相原に全員側面展望室に集合させたがどう説得したらいいかずっと考えていた。ひとりひとり説得してる時間はない…ここでみんなを説得しなくてはいけない…







沖田の決断にヤマトのクルーの呼吸が一瞬止まった。


沖田はその後のざわめきに見向きもせず側面展望室から出て行った。

  「古代さん、あんたはあんな命令、復唱できるのか?」

四郎が叫ぶ。

  「出来る!!!」

誰もが進の言葉に耳を疑った。進の眼は涙でいっぱいだった。

  「ヤマトが残って、地球が破滅して…それでヤマトは幸せなのか?」

クルーの心に地球で待つ自分の家族の顔が…友人の顔が浮かぶ。ヤマトと地球と天秤に掛ければどちらが大切なのかわかりきった事だ。だけどヤマトを失う事は誰もが身を切られるように辛い…。

  (古代くん…島くんに会いに来たのはこの報告を先にするためだったのね。
   それから艦長に相談しに行ったのね…。決断するのにどれだけ勇気が必要
   だったのかしら…ここまで回復したのはヤマトのおかげ…もしヤマトを
   失う事になったら古代くんの心はどうなってしまうの?)

ユキはヤマトを失った後の進の事が心配だった。