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島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)2

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  「相原です。」

相原は艦長室に入った。いつもより表情がやわらかい沖田が迎える。

  「おつかれだったな…相原。」(沖田)
  「いえ…なんだかずっと走り続けて…ゴールが見えてきた、そんな感じです。」

相原はそう言って真っ赤な目で笑った…が、すぐに気を引き締めた。

  「側面展望台での…」

と言いかけた時沖田がそれを止めた。

  「誰だって…ヤマトを失いたくない。」

沖田は一呼吸置くと

  「藤堂のお孫さんとお付き合いしてるそうじゃないか。藤堂も孫の中で
   一番かわいがっているらしい。大事にしなさい。」

相原は沖田が晶子との事を知っているので驚いたが

  「藤堂はお前を応援しているらしい。一生、同じ女性を守りぬくという事は
   たやすい事ではない。最初の航海の相原ならとてもじゃないが任せられな
   いが今の相原なら大丈夫だろう。強くなったな…。何事も前を向いて
   行きなさい。強い心を持てばきっと道は開ける。」

沖田はそう言って相原に握手を求めた。相原も右手を出す。

  「お前は…ヤマトの子…私の子だ。頑張りなさい。」

沖田は“行きなさい”と眼で言った。相原は敬礼して艦長室を出た。














  「生活班に続き、技術班…移動願います。」

ユキの艦内放送が響く。技術班が別れを惜しむようにひとりひとり真田と握手をした後連絡艇に乗り込んで行く。次に戦闘班。コスモタイガー隊は自分の艦載機に乗りヤマトを離れた。そして砲手が戻ってきた連絡艇で冬月へ移動する。真田と南部は全員下りたのを確認すると一緒に第一艦橋へ戻った。次は機関士。地球で初めて造られた波動エンジンと名残惜しそうに別れる太助を始め誰もが涙をこらえてヤマトを下りて行った…そして最後に航海班…



  「南部です。」「太田です。」

南部が戦闘班を太田が航海班を代表し沖田に挨拶に行った。

  「ご苦労だった。」

沖田は南部と太田と握手をした。

  「二人は同じ訓練学校の予備生だったな。」(沖田)
  「「はい。」」
  「南部、お前がいたから古代がよく動けた。本当にすばらしいコンビだった。
   普段は立場が逆転してると藤堂から聞いているが…(ふたりとも笑ったのを
   みて)はやりそうか。古代は普段、抜けてるからなぁ…面倒見るの、大変
   だろう?これからも面倒掛けると思うが…頼むな。」

南部は沖田の話し方に少し疑問を持ったので話しかけようと思ったが沖田は話を続けた。

  「太田、お前はヤマトの運命を握っていたと言っても過言じゃない。太田の
   トレースのお蔭でデザイアムを叩く事が出来た。もっと自信を持っていい。
   二人とも…ヤマトの子…私の子だ。これからもあの二人を頼む。」

そう言うと“行きなさい。”と言って艦長室から出るよう言った。南部と太田は腑に落ちないと思いつつも敬礼して艦長室を辞した。第一艦橋に戻ると真田と山崎と進がいた。

  「古代…先に行く。冬月で待ってるよ。」(南部)
  「俺も…南部と一緒に行くよ。」(太田)

二人の眼には涙が溢れそうだった。二人を見て山崎が“では次は私が…”と言って艦長室へ向かった。

  「じゃぁ…冬月で…」(南部)

進がうなずくと南部と太田はエレベーターに乗って格納庫へ向かった。