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島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)4

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進は目の前で行われている事が頭の中で理解できなかった。みんなが島の棺を囲い別れの言葉を掛けている…なぜ…島が死んで自分が生きているのか…島はずっと、ずっと一緒だった。もちろんこれからもずっと一緒のはずだった…

  「島?…島…帰ろう…寮に戻ろう。寝てる場合じゃないだろ?」

進がふらふらと真田と南部の間に割り込んだと思ったら突然島の肩を掴みゆさぶり始めた。

  「なぁ…お前がないと次の訓練計画、立てられないよ。今度さ、やってみたい
   訓練があるんだけどそれってお前の腕がないとちょっとキツいんだよ。
   だからさ、早く起きて一緒に訓練計画練ろう。島の部屋でさ。」

誰も進をとめられない。

  「島…島!寝てる場合じゃないんだよ。これからも俺と島は一緒に飛ぶんだ。
   起きろ!!起きろって、島!!!」

進の顔は涙が流れていた。

  「古代!古代!!島はもう起きないんだ!お前の気持ち…わかったから…
   島にも通じてるから…島を静かに寝かせてやれ!」(真田)
  「古代、お前だけが辛いんじゃない!俺だって…辛いんだ!わかってくれよ…
   古代…島は…今、幸せなんだ。そう思って送ってやろうよ…」(南部)

二人掛りで進を抑えるがどこからこんな力が出てくるのだろうか二人を振り切って島の遺体に縋る。

  「島ぁ…島ぁ…俺を置いて逝かないでくれ…島……起きてくれ…頼むから…
   起きろ…島…島ぁぁ…」
  「古代兄ちゃん…」

そんな進の手を引く次郎がいた。

  「僕、兄ちゃんみたいになりたい。」

進はその声に引かれるように次郎を見た。

  「兄ちゃんみたいにかっこよくなりたい。」
  「次郎…」(進)
  「待ってて…いつか古代兄ちゃんと一緒に仕事が出来るようにがんばるから
   だから…泣かないで…兄ちゃんと笑ってさようならしてあげて。僕ね、
   昨日父さんと母さんと約束したの。兄ちゃんを呼び止めるのは止めよう、
   って。兄ちゃんは幸せだから、って。だから古代兄ちゃんも…。」

進は次郎を抱きしめた。






  「よろしいでしょうか。」

係りの人が棺のフタを持ち上げてそう言った。誰もが島の顔をじっと見つめている。足元からゆっくりふたが上がって来て少しずつ顔が見えなくなった。そして最初にかかっていた旗が掛けられて台車は静かに鉄の扉の奥に入って行った。進はその鉄の扉が閉まるのがスローモーションのように見えた。

  (島…)

進はその場で立っている事が出来ず鉄の扉の前で座り込んでしまった。

  「古代くん…」

ユキの眼が真っ赤だった。

  「古代…」

真田が声を掛ける。

  「真田さん、少し遅れて控室に行きますから…先に皆様と一緒にいらして
   ください。」

進はそんな会話も聞こえないようでじっとその鉄の扉を見つけて動かない。真田はその様子を見てユキに向かって頷くとその部屋から出て行った。





  「古代くん…冷えるよ?」

ユキが横にしゃがんで声を掛ける。

  「島が…熱いって…」

進の眼から止めどなく涙が流れる。

  「古代くん…帰る?」

ユキはこのまま島が遺骨になった時進が耐えられないのではないかと心配していた。

  「島を置いて?」(進)
  「いい?古代くんちゃんと聞いてね。島くんは死んじゃったの。死んじゃって
   今荼毘に伏されてる…後何時間かしたら遺骨になって戻って来るわ。
   今の古代くんじゃそれを受け入れられなんじゃないかしら?古代くんの
   気持ち、痛いほどわかるけど…。」

進はそれでも鉄の扉の前から離れられない。

  「ごめん…」

小さな声がユキの耳に届いた。

  「わかってるんだ…だけど…止められないんだよ…島が死んだなんて信じ
   られなくて…生き返るんじゃないかって思っちゃうんだ。そんな事、起こ
   るはずなんかない、って思うけど…ユキだって…戻って来てくれた。
   ひょっとしたらもう一度奇跡が起こるかもしれない…って…。」

進は必死に訴えていた。ユキに起きた奇跡…死んだと思っていたのに進の腕の中で息を吹き返した事だ。

  「あの時もユキを何度も揺さぶったのに眼を開くことはなかった…そして
   温かかったからだがどんどん冷たくなっていって…だけどユキは戻って
   来てくれた…俺の腕の中でピクン、って動いたんだ。そしたら身体が
   温かくなってきて…氷のように冷たい体を抱いていたのにどんどん温かく
   なっていったんだ。だから…島もひょっとしたら、って思ったんだよ。」