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島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)4

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  「そう…北野君が進路変更した理由、ってそこだったの…」

ユキは驚いて聞いていた。

  「ヤマトに乗ると考え方が一変します。自分にできる事ってなんだろう、って
   常に考えるようになります。それは勤務中だけでなく普段からそう思うん
   です。最初はヤマトに乗った事を後悔した時もありました。いつもオヤジと
   比べられるので…だけど今はヤマトに乗れて本当によかったと思います。
   そしてそれを導いてくれたのはオヤジだからオヤジにも感謝しています。」

太助の顔はすっきりしていた。

  「あ…すみません、自分の事ばっかり…」

太助はそう言って顔が真っ赤になった。

  (よく考えたらヤマトのマドンナ一人につまらない話しちゃったかも…)

太助はそう思ったがユキが問いかけた。

  「太助くん、島くんの手紙、受けとった?」
  「はい…いただきました。こんな僕にまで、って思うと嬉しくなりましたが
   島さんがいなくなった事を決定付けるようで…。」(太助)
  「そうね。」(ユキ)
  「一緒に仕事が出来てよかった、って書いてあって涙がでました。足を
   引っ張ってばかりだと思っていたのに…。」

太助のつぶらな瞳から涙が落ちる。

  「島くん、時々太助くんの話出てきたわ。だからかわいがってるの私、
   知ってたの。島くん、ってすごく面倒見いいじゃない?私が思うに弟くんと
   年齢が離れてるからかなぁ、って勝手に思ってたのよ。古代くんは反対に
   10歳離れたお兄さんがいたわ。同い年なのに…古代くんが艦長でも島くんの
   方がお兄ちゃんみたいだったもの…。」

ユキが何か思い出したのかクスクス笑った。

  「何か…あったんですか?」(太助)
  「うん、古代くん…医務室嫌いだったからよく島くんに手を引かれるように
   来ることが多かったのよ。それも一度じゃないわ。何度も…」

太助はヤマトに乗って噂を聞いたことがる。

  「あ…」

太助は何か言おうと思ったが話すのをためらった。…のをユキが見逃すわけがない。

  「なぁに?」

ユキの美しい顔が太助のすぐそばにある。

  「いぇ…あの…森さんは…(ユキがじっと太助を見つめている)最初のケガ
   の時は優しいけど二度目のけがはすごい怒られる、て…だから古代さん
   医務室行くと怒られると思って…?」

おどおどしながら太助が答えると

  「やぁだ、普通にけがしたらそうだけど古代くんの場合戦闘でのケガよ?
   怒りようがないじゃない?それなのに来ないのよ。来る時はMAXの時。
   熱も高いし足元はふらふら。島くんが支えながら来るのよ。だから治りも
   遅いし…今でもオフレコだけど古代くん、小学生の時放射線治療してるから
   無理するとすぐに高熱が出ちゃうの。島くんと相原くんはそれを知ってる
   から調子悪そうだな、って思うとしばらく様子を見て…しょうがないな、
   って頃につれられてくるのよ。それはいつになっても変わらないヤマトの
   風景の一つだったわ。」

ユキがつい先日までヤマトに乗っていたのにとても懐かしそうに話している。

  「一度…目の前で倒れた時はこのままふたりとも死んじゃうんだろうな、って
   思ったわ。」

ユキの眼が真剣な目になったのが太助にわかった。

  「森さん…」(太助)
  「ほんの数年なのにね…いろいろありすぎて…。」

ユキの脳裏に亡くなって逝ったクルーの顔が過る。

  「太助くん、この先古代くんと一緒になる事あると思うけど…よろしくね。」

ユキが右手を出すと太助は慌ててズボンで右手をこすってからユキと握手をした。

  「あ!太助がユキさんの手、握ってる!!!」

その姿を南部が見て叫ぶと

  「太助は向こうの席!」

と言われユキの隣の席を追われてしまった。






  「にぎやかですね…。」

進はその様子を真田とビール片手に見ていた。

  「島、見てるかな…でもあんな姿見られたくなかったかな。」

進がおおきくためいきをついた。

  「俺は…あの時のお前と被っちゃって…」

真田はユキがコスモクリーナーDを試運転前に作動させて仮死状態に至った時の事を言っていた。

  「あの時も…お前はユキを引き戻そうとして…ユキがバラバラになるんじゃ
   ないかと思うほどユキの肩を掴んで……。」

真田はそう言うが進は余り覚えていない。

  「俺は…姉の事故以来、地球から出ないようにしていた。だけどヤマトが
   俺を導いてくれたような気がする。……俺はもう、戦艦に乗らないよ。」

突然の告白に進が驚く