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島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)4

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  「腰を据えて未来を見たいんだ。イスカンダルの科学力…膨大な資料を
   持ち帰ったがまだそれを解読できていない。ガルマンガミラスの科学力も
   そうだ。バイオの研究もしたい。いつか…まだ残る砂漠地帯を木々が覆い
   元の…いや、以前より豊かな地球にしたい、って思っている。それを可能に
   してくれるのはイスカンダルの科学力だと思う。だけど今までの戦闘を忘れ
   てはいけない。同時進行でヤマトと同等の戦艦を造りだし守りを完ぺきに
   しないと平和を維持できない。」

真田の言っている事はもっともの事だった。

  「そのためには…地球にいて腰を据えないとダメだ。まぁ…ユキみたいのが
   助手を務めてくれたらずいぶん楽なんだけどな…長官がユキを手放すわけ
   なさそうだし…(南部たちとじゃれてるユキを笑いながら見て)古代…」
  「はい?」
  「ユキのあの笑顔を守ってやってくれ。あの子は私にとっても宝だった。
   ユキの涙だけは見たくないんだよ。」

進はユキに対する真田の深い想いを感じた。前からユキに対する愛情の深さは知っていたが今回の戦いはまた別の想いを感じてた。それがなんなのかわからなかった。

  「実は…ヤマトが満身創痍で帰って来た時…古代がメットを被らず倒れて
   いるところにユキがやってきて…お前が死んだと思ったんだろうな…
   お前のコスモガンを抜いて…ユキは死のうとした…俺が偶然意識を取り
   戻してコスモガンをはじいたから何事もなかったが…いつも付けている
   鎧が綻びたんだろう…弱いユキが珍しく出てしまった。」

進は初めて聞く話に息を飲んだ。

  「取り敢えずで結成された移民船団もまとめなくてはいけない、護衛艦も
   揃えなくてはいけない、艦長同士連絡を密にするために会議も行わなく
   てはいけない。そのなかでクルーの見舞いもしてお前の様子も見に行って
   いたはずだ。ユキは弱い自分を誰にもさらけ出せないままヤマトに乗り
   込まなくてはいけなかったんだ。ヤマトに乗ったら乗ったで万全じゃない
   クルーの健康管理もしなくてはいけないし古代に関してはもっと厳しく
   管理しないとダメだっただろ?ユキは生活班を離れた、と言っても結局
   同じ仕事をしていたからヤマトに乗る前も乗ってからも大変だったんだ。」

真田は笑いながらため息をついた。

  「だけどユキは何も考えていないんだろうな…それがどれだけ大変で自分が
   しんどいか、を…。お前もそうだが…ユキにブレーキを掛けられるのは
   古代だけだ。時々そのブレーキ役を島がしてくれた時もあった。
   けどもうヤマトはない。その役目はお前にしかできない事なんだよ。
   俺にとってユキは妹と同じ…無理しないようしっかり監視してくれな。」

進は思い当たる節がありすぎて苦笑いした。

  「ユキは…俺を庇ってデスラーと対峙した事もあります。俺がデスラー艦で
   白兵戦の最中…ユキは何も教えてくれなかったからガルマンガミラスに
   招待された時、その時の話をしてもらいました。デスラーは笑いながら
   話してましたが俺はもしデスラーが引き金を引いていたら…と思うと
   恐ろしくて…多分顔面蒼白で話を聞いていたと思います。」

真田は当時の事をフラウスキーから聞いていた。ガルマンガミラスの間では有名な話らしく“地球の女性は男性以上の活躍をする”と伝説になっているそうだ。

  「だから…ユキをほしいと思っている人間が多いのだろうな。ユキの見た目
   に惹かれ、外見だけじゃない事に気付き深く知りたくなる…。マークもきっと
   同じだろう…まぁ…その辺りはお前が一番感じてる所だろうからな。」

真田の顔は“俺も同じだよ”と言っているような気がした。