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島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)6

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  「でも坂巻さん、護衛艦だったら砲術長…いや、メインクルーですよね?」

南部が聞く。

  「そうですね、だけどヤマトと他の艦を比べちゃいけません。多分、ヤマトが
   人を選ぶんです。ほら、ヤマトは生きていますから。」

坂巻と話をしていると太助が全員を連れてやってきた。

  「坂巻さぁん!集合してもらいましたよ!」

ずらりと並ぶメインクルー。何もなくても勢ぞろいするだけで圧倒されてしまう。

  「はい、揃っていますね。それでは…今日はお疲れ様でした。日付はもう
   変わっていますが古代さんと森さん…いや、ユキさんの結婚式という事で
   皆様からも一言お祝いを頂こうと思いこちらに来ていただきました。
   まず総監督、南部砲術長から…」

坂巻が南部に振ると

  「いやいや、ここは年長者の山崎さんから…」

と南部が譲る

  「え?私ですか?私じゃなくてふたり、どっぷり世話している真田くんが
   適任じゃないですか?」

山崎が真田に振る

  「いやぁ、私は先程一言言いましたから…ここは…(相原を見て)ヤマトに
   乗ればユキの部下、護衛艦に乗り込めば古代の部下になる相原でどうだ?」

真田が相原に振る。

  「私ですか?いやいややっぱりここは普段は古代くんの部下だけどプライベート
   は真逆の南部くんで。」

相原が太田と目配せする。

  「なんだかんだ言って世話好きだしな。」

太田がどうぞどうぞと南部を押す。南部も仕方なさそうにビデオに向かった。

  「うぇ~これ一生残るんでしょ?言葉選ばないとまずいですよね。
   まぁ私が見る事はないと思うのでまぁいいか…。まずはお二方、ご結婚
   おめでとうございます。ユキさんの晴れ姿、やっと見れました。これで
   安心して相原にシフトします。」

かなりあっさりした挨拶で南部はマイクをその相原に渡す。

  「南部くん、俺にシフトってどう…」

相原の言葉に南部が鋭い視線を投げかける。

  「あのねぇ、古代が結婚しちゃったらつまらないでしょ?」(南部)
  「だからって僕で遊ばないでよ。」

相原の視線の先に晶子がにっこり笑ってこちらを見ていた。

  「ユキさんはみんなに免疫があるけど晶子さんは免疫ないんだから。」(相原)
  「相原、そんな事言っていいのか?古代にコキ使われるぞ?」(南部)
  「南部くんのに乗ってもコキ使われるんでしょ?」(相原)      「当然だろ。」(南部)
  「まぁまぁ…南部ももう少しユキさんへお祝いの言葉ちゃんと言ってよ。
   古代くんはまぁ由としてもユキさんは女性なんだから。」

太田が助け舟を出す。

  「まぁそうなんだよ。みんなでユキさんを守って来て…いずれは古代の所へ
   行く、ってわかってても見守っていないと、って気持ちになるんだ。そう、
   俺たちは白雪姫の小人役。古代は王子様で姫を一瞬で奪って連れて行っ
   ちゃうんだ。そうだ、本当は王子役は悪役なんだ。一生懸命食事を作っても
   全員のベッドを取られても文句いわず一緒に楽しく暮らしていたのに
   “きれいな人だ”ってキスして姫は目覚めて連れて行っちゃう…。はぁぁ~」

南部の長いため息に坂巻は笑うしかない。

  「南部、お前もあきらめが悪いな。」

真田が突っ込む。

  「南部のバックグランドもユキは動じなかった…」(真田)
  「そうですよ、私のバックグランド、ユキさん完全スルーですから。」(南部)
  「そんな所が好きだったんだよな。」(真田)
  「…そうなんですよ。私を100%スルーしたのユキさんだけですから。誰だって
   好きになっちゃうでしょ?きっとユキさんみたいな人なんて現れません。
   まぁ強いて言えば晶子さんもスルーでしょうね。だって長官のお孫さん
   ですから。“南部”に魅力なんて感じないでしょうね。」

確かに…相原は頷く。きっと反対にその“長官の孫”でいろいろ付きまとわれそうだ。

  「晶子さんは私の良き理解者になってくれそうです。」(南部)
  「勝手に味方に付けないでください。」(相原)
  「南部さんも人気あるんですけどねぇ」

山崎が話題に入ってきた

  「確かに。」(太田)
  「結構勘違いしてる女子クルー、見た事ありますよ。」

山崎が苦笑いをする。

  「軍の女性に手を出したことはないぞ!」

南部が叫ぶ。

  「まぁ…場所を選ぶって言ってますが…手広くお店を広げるタイプです
   からね。」(太田)
  「確かに。」(相原)
  「なんで相原が合槌を打つんだ?」(南部)
  「だってお父さんのお供であちこち行くでしょ?時々晶子さんも…」

そうだ、証人がいる。

  「大人はいろいろあるんです!」

南部が断言する。