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島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)6

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  「新郎、お待たせしました。」

悠輝がユキを連れて進の控室に入った。数日前と変わらない姿なのにやはり息を飲んだ。

  「ブーケがたいそう気に入ったそうで…写真、撮ってもらいましょうか?」

悠輝が提案すると係員が二人も“そうね”と合槌を打つ。

  「でも…先撮りした意味が…」

途中進がそう言ったが

  「結婚式は一度きり。ましてこの花は生花だから今しかこの瞬間はありません。
   私もこちらの方がおすすめですし…。」(悠輝)

進は髪飾りが新しい事に気付いた。

  (そうだな、今日の方が絶対いいな。)

進はそう思うと素直に“お願いします”と言った。








  「新郎、新婦の入場です。」

オルゴールの音楽と共に進とユキが並んで式場に入ってきた。司会は相原だ。

  「さぁこちらへ。」

30センチほど高くなっている所へ二人を案内すると係員がシャンパンを配り始めた。

  「乾杯のご挨拶を賜ります地球防衛軍長官藤堂様、よろしくお願いします。」

その言葉に藤堂もマイクを借りて壇上に上がった。

  「ただいまご紹介に上がりました藤堂です。え~普段は地球防衛軍の長官を
   させていただいておりますが今日は一般の参加者としてここにいます。
   まず、先に乾杯してのどを潤しましょう。…みなさまお手にシャンパンは
   ございますか?(あたりを見渡して…)大丈夫そうですね。それでは
   古代、ユキ、結婚おめでとう!」

藤堂がそう言ってシャンパンを掲げると全員が“おめでとう”と言って乾杯をした。

  「え~…乾杯は終わりましたが一言…ご挨拶をさせていただきます。」

藤堂が再び話し出すと一気に静かになった。

  「皆様もご存じの通りふたりはヤマトと共に愛を育んでまいりました。
   ユキは訓練予備生になる予定でしたが医師になりたい、と言う事で本当は
   九州の訓練学校に通う予定でしたが急きょトウキョウシティの中央病院の付属
   大学へ入学する事になりました。古代は予備生でなく飛び級のある中学へ
   入学。途中、訓練生を目指すために予備生の編入試験を受けました。
   この試験は合格者0名と言う厳しいモノでしたが古代はそれをクリアーし
   編入する事になりました。その時のクラスメートが今司会をしている
   相原です。この代は大変すばらしい成績を残す子が多く古代の指揮の下、
   第一艦橋に詰めている南部、太田がいます。残念ながら戦死してしまい
   ましたが島航海長…そして初代ブラックタイガー隊の隊長と副長の加藤と
   山本がいました。彼らは優秀な成績を修めヤマトに配属となりました。
   ユキは私が真田くんに預けました。彼女はこの代でテストをすると必ず
   TOPの成績でした。医師から看護士に変更したい、そして訓練学校に通い
   たい、と聞いた時、真田くんの顔が浮かびました。彼なら、しっかり指導
   してくれるだろう、と。その予想は思いのほかいい方へ流れました。
   真田くんがヤマトに乗る事を承諾してくれたのです。
   ヤマトは最高のメンバーと地球でいちばんと言われる頭脳を乗せて旅立ち
   ました。
   その後ヤマトが戻って来てユキは私の秘書になりました。彼女は大変気の
   利く女性で…とにかく仕事がスムーズになりました。ただ…一つ、私を
   困らせる事がありました。……ユキを紹介してほしいとあちこちから声を
   掛けられ…それを断るのが大変でした。だから婚約発表させたのですが
   それでもユキを紹介してほしいと言うラブコールは絶えず…それを断るのも
   私の仕事ひとつでした。

   古代は防衛軍に入ってからメキメキ実力をつけ軍に無くてはならない存在に
   なりました。普段はごく普通の青年なのに“ヤマトの古代”と言われ本当の
   古代らしさが表に出ず辛い思いをさせています。私は残念ながら戦闘指揮を
   執っている古代を知りません。どちらかと言うと軍の食堂で緊張感のない
   普通の古代しか知りません。でも…だから誰もが古代に惹かれるんだろう、
   と思います。古代は…中学に上がったばかりの時に両親を失いました。
   憎しみからは何も生まれない、それを一番知っているのは古代だと思いま
   す。だからあれほど地球を欲していたガミラスのデスラーも変わったのだと
   聞きました。

   ふたりは“人を愛する”事、“人を労わる”事の深さを良く知っています。
   地球の平和と共にふたりがいつまでも幸せでいられるよう、皆様もどうか
   見守ってください。」