島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)6
「はぁい、みなさま~ご歓談中すみません!少しお時間よろしいですか?」
南部と太田が少し高い壇上に上がりマイクを持って手を振っている。
「古代、ユキさん!こっちに来てください!」
進とユキが不思議そうな顔をしてふたりで南部と太田の所へ行った。
「え~宴は始まったばかりですが…酔う前に二人のなれ初めなどを…と思い
まして…最初の航海を経験してるわずかなクルーはリアルタイムで見てる
のでほくそえんでいてもらいたいのですが新乗組員は知らない事もあると
思うのでぜひ、お聴き逃しないように…それと問い合わせはいつでも受付
ますので慌てず騒がずお待ちください!」
進もユキも何も聞いていなかったので南部に抗議しようとしたが
「まず…ベタですがお互いの第一印象を聞いてみましょう。」
太田がメモをみながら進にマイクを近付ける。南部が早くしゃべれと眼で合図…進はマイクに入らないように小さくため息をつくと小さな声でポツリと言った。
「きれいな人だなぁ、だよ。(怒)」
結構飲まされたアルコールで顔が少し赤くなっていたのでその質問で赤くなっているのかはわからない。
「え??なんですって?」
ユキにはしっかり聞こえていたので恥ずかしさで真っ赤になったがこちらもアルコールのせいかもしれない。余りに小さな声だったので南部が耳の手を当てて“もっと大きな声で”とアピールする。
「ほら~古代くん、今更照れたってしょうがないでしょ?大丈夫、ユキさん
みたら誰でもそう思うから!大きな声で!」(太田)
進が太田ににらみを利かす。普通の乗組員ならビビるところだけど第一艦橋のクルーにそんな睨みが効くわけない。
「(うるせぇなぁと言う顔で)キレイな人、だよ!!」
マイクに向かって進がケンカ腰で…そして大きな声で言った。フロアーは“おぉ~”とか“やっぱり”とか“きゃぁ~ステキ!”と声が飛び交う。
「そうですかぁ~やっぱりそうですよねぇ!…って事は一目惚れですよね!
絶対一目惚れですよね!ちなみにその時、ユキさんはどんな格好でした?」
太田がメモを見ながら進を攻める。
「ナース服だよ。中央病院の!」
投げやりに進が答える。
「おぉ~当時は前のユキさんの制服と同じで黄色に黒でミニでしたね。あの後
お蔵入りになったそうで…超レアものかもしれません!」(太田)
誰もが想像してるらしくため息しか出てこない。
「ココだけ情報ですがはやり人気の高い看護士だったそうですよ!」
南部が追加情報を付け足す。
「それでは今度はユキさんに質問です。同じく古代くんに対しての第一印象を!」
ユキは困った。なんせ第一印象は余り良くない。後から聞いた話もあるが…
「あのぉ…ごめんなさい。実はあまりよくなくて…古代くんと島くんと一緒
だったんだけどかなり凝視されたから“なに?あの人たち”って感じで
すごくツンツンしちゃったんです…。」
ユキが申し訳なさそうに言う。これは進も以前に聞いてたので苦笑いするしかなかった。
「そうですよねぇ~ふつう、ガン見されたら誰だってそう思います。まぁ誤解を
解くわけではありませんが島の名誉のために…あ、古代もか。ふたりの名誉の
為に一言付け加えさせていただくとイスカンダルからの使者が火星に不時着し
亡くなった事は軍関係者なら誰でもご存じだと思います。その亡くなった
方がイスカンダルの女王、スターシアさんの妹サーシアさんでした。この
サーシアさんを確認したのが古代と島だったんです。そしてそのサーシアさん
とユキさんが余りにも似ていたので二人は驚いてユキさんをガン見しちゃった
という経緯なんです。なので余りにもきれいだったからガン見、ではなく
キレイだった+サーシアさんに似ていた、でガン見…というわけですね。」
南部がコメントすると“そうだったんだぁ”と言うような空気が流れた。
作品名:島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)6 作家名:kei