二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

【腐】 愚問 【亜種】

INDEX|3ページ/13ページ|

次のページ前のページ
 

赤い髪、赤い瞳。正規品ならば青であるはずの色を持たないヒト型は、不良品として処分されるはずだった。目覚めるはずのない彼は目覚め、あるはずのない意志を持って、処分場を抜け出した。まるで落とした針に偶然糸が通るような奇跡を積み重ね、町をさまよっていたアカイトは、まだ幼い主人と出会い、父親との暮らしに迎え入れられた。
貧しいが暮らしていけない訳ではないと、父親はなけなしの金でアカイトに時間を与え、アカイトは恩に報いようと、父娘を支える。寄り添うような暮らしに転機が訪れたのは、マスターの何気ない一言だった。

『ねえ、アカイト。これ、何て書いてあるの?』

本好きなマスターの為に、アカイトが拾ってきた本。その中の一冊は、意味不明な列が並んでいるだけだった。最初は誰かの落書き帳だろうと放置していたが、ある日、それが意味のある言葉であることを、アカイトは唐突に理解した。

それは、時間を消費して、魔法のような効果を生み出す方法。

アカイトは、試行錯誤しながらその方法を身につけた。宙に浮くのに五分、一瞬で遠くまで移動するのに一時間。アカイトは夢中になって本を読みふけり、マスターと共に様々な方法を試し、そして、見落としていたのだ。

父親の、変化を。

酒の空き瓶が増えたことも。父親から渡される金が減っていくのも。不審な人影がうろついていることも。
マスターはまだ幼く、アカイトは世間について無知だった。
そして、父親は、貧しい暮らしを耐え抜くには、弱すぎたのだ。


作品名:【腐】 愚問 【亜種】 作家名:シャオ