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島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)8

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  「大分いいね。」

進はモリタの所へ三度目の定期検診に来ていた。ガルマンガミラスに向かって帰って来てから無理がたたって2か月ほど点滴を受けていた。そして月に一度ユキが付けている白血球の検査の記録を持って検診を受ける事になっていた。

  「数値もずっと平常だし…でもまだ検査は続けてもらうよ。時々数値が
   高い時があるから…。」

モリタは進の様子をユキから聞いていたので眠れなかったり“夢”を見た時後などは少し数値が高い事を知っていた。この発作の様に訪れる夢を克服するまで検査は続けようと、ユキと話し合っていた。

  「はい…」

ほんのチクっとする程度の検査だったが毎日となるとやはり面倒な時もあって気が進まない。

  「まぁ入院する事を思言えば全然苦じゃないと思うけど。」

進はそう言ってにっこり笑うモリタの顔を見て“年を取ったな”と漠然と思った。

  「そうですね、そればっかりは避けたいです。」

進が苦笑いする。進の笑顔が出た所でモリタは気になっていた事を切り出した。

  「古代くん、ちょっと別の検査、してみないか?」

進はモリタに言われ真顔になった。

  「…何の検査でしょう?」





話しは一週間ほど遡る…………………

  「今月も…来ちゃった…。」

ユキは自宅のトイレでひとり呟いた。なかなかコウノトリは来てくれない。式を挙げてからもう三か月も経つ。子供が欲しいから避妊も何もしていないのに全くその気配がないのだ。

  「母親になる資格がないのかしら…」

ユキは深く落ち込んでいた。ただ若い人に子供が出来にくい現象が起きている事をユキは職業柄判っていた。ガミラスの遊星爆弾の放射能の影響で子供が出来にくい身体になっているのだ。

  (子供は授かったら奇跡よ。母体が元気ならお腹の子も元気。自分を一番
   に考えなさい。)

母が言っていた事を思いだす。





ひょっとしたら自分に原因があるのかもしれない…そう思ってユキは佐渡の元へ向かう決心をした。







月一のモノが落ち着いた後、ユキは佐渡の診療所を訪れた。相変わらず余りきれいじゃない雑居ビルのなかに診療所はあった。

  「お、ユキ、入りんしゃい。」(佐渡)
  「ヨウコソゆきサン、汚イ所デスガドウゾ、ドウゾ。」

アナライザーも健在だ。アナライザーの横でみーくんがにゃぁ、と鳴く。

  「女性の先生を呼んどる。」

奥から若い女性のドクターが出てきた。

  「女性は女性の方がよかろう。」

佐渡は気を利かせてアナライザーを連れて診療所を出て行った。

女性のドクターは婦人科専門という事だった。








  「結論から申しますと余り…状況はよくないと思われます。」

ユキが看護士の資格を持っている事も事前に聞いているので遠まわしに言ってもダメな事は佐渡から聞いている。

  「卵子を作る組織がほぼ機能していません。ただ、100%機能していない、
   と言うわけではないのです。」(女医)
  「先生、どれぐらい機能していますか?」(ユキ)
  「……15%下手をすると10%切るかもしれません。」

ユキは女医の言葉に頭が無になってしまった。

  「10%以下?」(ユキ)
  「そう…なので可能性は0ではありませんが…」

ユキは厳しい現実を突き付けられた感じがした。

  (古代くんの家族を産めるのは私だけ…)

そう思っていただけにまさかの告知だった。

  (地上にいる時ちゃんと定期的にあった生理も無排卵生理だったの?)

ヤマトに乗っている時はかなり不定期で実際、無い月の方が多かった。

  「まだ…何かあるのでしょうか?」

女医の“0ではありませんが…”の“が”がユキの耳に残る。

  「子宮も余り良くなく無事に妊娠しても出産まで耐えてくれるか…」

ユキはまだ22歳だったが仕事の疲れか精神的な事から来ているのか………

  「でも0ではありません。まだお若いので避妊治療しながら、と言うのは
   もう少し待ちましょう。自然に妊娠できる可能性があるので少し様子を
   みましょう。」

女医はそう言った

  「待ってください、一日も早く子供が欲しいんです。お願いします、すぐにでも
   治療を始めてください!」

ユキはお願いするが

  「不妊治療はご主人の協力がないと出来ません。」

女医にピシャリと言われてしまった。

  「その辺り、一番よくご存じなんじゃないですか?」
  「でも排卵誘発剤を飲む事は私一人でも…。」

ユキが食い下がる。

  「ご主人に異常がなければ。」

女医は厳しい口調を改めて優しい口調になった。

  「聞けば同じ職場、と……宇宙は危険な放射線の嵐。」

ユキは進が幼い時に受けた治療を思い出した。