島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)8
「私的には潰れなきゃいいけど、って感じかな。いろいろ考えすぎて…。」
紫は率直な感想を述べる。
「そうだな、あの二人は良く似てるから…。」
モリタもユキとは何度も話をしている。
「まぁ…進くんの事は私に任せて…今日はお疲れさんでした。」
紫はモリタのラボを出て行った。
そして進が検査の日、モリタから子供を作る事が出来るか調べる検査がある事を聞いた。
「…もし、子供が出来ない、ってなったら?」
進が恐る恐る聞く。
「まぁ男性の機能として精子が0という人は余りいないから…少ないならば
少ないなりに女性の妊娠しやすい時期に性交渉する、という方法もある。
進くんの場合、学生時代に受けた放射能汚染と先日の戦闘での事…それに
宇宙には無数の有害な放射線がある。リスクが高すぎるんだ。だから
調べて将来、進くんが子供を抱けるよう、協力したい、って思ったんだ。」
モリタが力説する。その言葉に嘘はない。事実、モリタは患者として進に接していない。まるで自分の息子と同じように幸せになってほしい、と思っている。
「これも…政府の指示ですか?」
進は自分が放射線治療の実験台だった事を思いだした。
「違うよ…進くんが火星基地に行った時点でもう、あの治療は終わりだ。
5年間、本当によく頑張ったと思う。それ以来、進くんのカルテは新しく
なって私やこの病院の一部の者以外は見れないようになっている。だから
進くんがここにくると私に直結なんだけどね。」
普通に中央病院にかかろうとすると待合室で2時間は待たされる。
作品名:島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)8 作家名:kei