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島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)9

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ヤマトのメインクルーはよくユキの病室に顔を出してくれた。特に相原は毎日顔を出してスケジュールの調整の仕方や面会の相手の癖などユキじゃないと気付かないような情報を仕入れていた。そのおかげか相原の評判もとてもよかった。南部もよく顔を出していた。そのたびにおいしい差し入れがあるのでユキは“太るから”と言うがそこは南部、栄養も考え、カロリーもきちんと計算されているものだけを持ってくる。食べ物だけでなくかわいい花が咲けばそれを一輪だけ持って来てそれが枯れそうになると次の花をまた一輪だけ持ってくる…。真田も太田も山崎も顔を出してくれた。山崎は妻も時々顔を出していて藤堂の妻も晶子と一緒に来たりする。

ユキ自身辛くもなんともないのでただベッドの上にいるだけの一日が辛かったが誰かしら来てくれるので退屈でたまらない、と言う事はなかった。

  「ご飯食べた?」

進が小さくノックをして入ってきた。時間を見ると午後2時。手には食堂でテイクアウトした昼食がぶら下がっている。

  「食べたわ。」

進はそのままミニキッチンに行くと山崎の妻が作ってくれたスープを温めてユキに渡す。

  「ありがとう。」
  「やけどしないようにね。」

ユキが頷きながら受け取った。

  「今日はさ…」

進は午前中にあったことを食事しながらユキに話す。訓練学校の下見に行った事を話す。戦闘が続いたからか訓練にも力が入っている事、ヤマトでの訓練を取り入れていることなどを話した。

  「今日訓練学校に行ったら女性が増えてるような気がしてちょっと調べた
   んだ。そしたら確実に女性が増えてる。体力も辛いだろうによくついて
   来てるな、って感心したよ。訓練を見ていたら休憩中の訓練生に声を
   かけられて…女の子だったんだけど開口一番“森ユキさんのご主人です
   よね?”って。今までは“ヤマトの古代さんですよね?”なもんだから
   驚いて“そうです”って言ったんだけど…彼女、ユキにあこがれてるん
   だって。何を専攻してるか聞いたら航海士だそうだ。専攻してるものは
   違うけど一つの分野で満足しないユキを見てみんなより長く訓練生を
   してもいいから次は宇宙栄養学を専攻して生活班の仕事もできるように
   したい、って言ってた。ヤマトは最低限の人数で飛び立ったから兼業は
   当たり前だった。今は機械化が進んでるから複数専攻しなくても何も
   問題ないが…でもそう思ってくれる後輩がいるってすごいよな。」

進が満足気に話す。

  「だから追加しておいたよ。」(進)
  「なにを?」(ユキ)
  「ユキは看護士とパイロットの資格も持ってて艦載機、小型艇のライセンス
   持ってるんだ、って。まぁ航海士だから大型艦のライセンスは必須種目
   だから当然持つべきモノだろうけど…看護士からパイロットの資格を
   取った、って聞いたらすごい驚いてたよ。看護士になるいきさつも話し
   たんだけど…。」

進がユキの顔が怒ってるように見えて話を途中でやめた。

  「古代くん、そんなこと言ったら彼女、やる気なくしちゃうわ。私たちの
   時代と今と違うのよ?…」

ユキがため息交じりに言うと

  「大丈夫だよ、そんなで挫けてたら何一つモノにできない、って。」

進の言葉にユキは納得してしまった。

  「……そうね、そうだわ。なんでもやってみないとわからないものね。」

ユキはスープを一口飲んだ。








進が戻った後、紫がユキの病室に訪れた。

  「紫先生、私いつになったら退院できますか?」

ユキが退屈そうに尋ねる。

  「そうね、この出血が収まらないと自宅に戻す事は出来ないわ。」

もともと生理だと思っていたのは子宮からの出血だった。今も時々出血する。

  「前にも言ったように自然に妊娠できたことは奇跡に近いの。そしてあなたの
   子宮の状態は決してよくない。もし胎盤が下部にできると自然分娩も無理
   かもしれなわ…。」

ユキは紫の言っている事はもっともだ、と思いながら聞いていたが全く自覚症状がないので気持ちが受け付けない。

  「今は横になっているから気付かないと思いますが少し動くだけでお腹が
   張ったりするかもしれません。流産の危険があります。母体を安静にして
   防げるならそれに越したことはないわ。…ユキさんは辛いだろうけど
   頑張って耐えましょうね。」

紫はそう言うとユキに向かってにっこり笑った。