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島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)9

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ユキはベッドから下りて窓のそばに椅子を置いて外をぼんやり眺めていた。青い空と海が広がり所々戦火の後は残っているが復興している様子が手に取るようにわかる。あちこちで動くクレーン、人、トラック…。人はくじけず前を向いて生きて行く事が出来るんだ、と実感した。

  (島くん…私を守って…)

視界に英雄の丘が入る。ユキはお腹の上に手を置いて眼を閉じた。

  <ユキ、退屈そうだな>
  {島くん!}
  <よかったよ、いい式だったな。>
  {テレサさんも見てくれたかしら?}
  <もちろんだよ。>

島の言葉にホッとしたユキ。

  {島くん…とっても寂しいの。みんながいつも来てくれるのにやっぱり
   島くんが来てくれないと寂しいわ。}
  <ユキ…>
  {何度後悔しても島くんは戻ってこない、ってわかってるけどやっぱり納得
   できなくて…いつも一緒だったのに…島くんにこんなこと言ってもダメって
   わかってる。古代くんの親友だけど…} 
  <いいんだ、ユキ。俺は後悔してないよ。俺は宇宙戦士だから。宇宙でそれも
   ヤマトの操縦席で死ぬなんて一番幸せだと思う。俺はずっとヤマトと一緒だ
   よ。もちろんみんな乗ってる。誰もが苦しまず笑顔で乗ってる。だから
   安心して。俺の事で後悔しないで。俺の事を思う時は笑顔で笑って話し
   かけてくれよ。まぁ古代に言えない事とかあると思うからそれはこっそり
   話してくれな。>

島がユキの頭をなでる

  <よかった…ユキが生きていてくれて…お腹の子、大事にしろよ?大丈夫だ
   ちゃんと生まれてくるから先生の注意ちゃんと聞けよ。さすがに俺もそこ
   まで守る事はできなからな。>

島がいつもの笑顔で笑う。

  <ユキ、俺の初恋の人…>
  {島くん…}

ユキは自分も最初島の事が好きだったと告げそうになった。

  <初恋は実らないんだ。でも今はいいと思う。ユキには古代がいて俺には
   テレサがいる。でも初恋って忘れられないんだよな。だからかユキの事
   放っておけなかった…。気付いたらユキの事ずっと眼で追っていた。
   やましい気持ちじゃないぞ?手紙にも書いたけど!
   ほら、そこは冷えるからベッドに入らないと危ないぞ?>





ふとユキは椅子の上で転寝していた事に気付いた…と立ち上がると椅子が真っ赤になっている。ユキは慌ててベッドに戻ろうとするがヒザが震えてベッドに戻れない。

  (助けて…)

ユキがそう思った瞬間目の前が真っ暗になった。












  「気分はどう?」(紫)

ユキが静かに眼を開けた。そこには進と真田が心配そうにのぞきこんでユキを見ていた。隣には紫とモリタがいる。

  「先生…古代くん…真田さん…」

ユキが焦点の合わない眼で確認しながらつぶやいた。

  「ベッドに寝てないとダメでしょう?危険だったんだから…」

紫が怒った口調でユキに言う。

  「偶然古代さんがいらしたから処置が間に合ったものの…」

ユキは思い出した、進が来るには早い時間だと思いながら司令部を眺める為に窓の所にいすを置いた事を…。

  「この点滴が終わったら知らせてくださいね。」

紫はユキにそう言うとモリタと一緒に病室を出て行った。




  「古代くん、真田さん…」(ユキ)
  「真田さんは偶然さっき、お見舞いに来てくれたんだ。」(進)

そう言って進はユキのベッドの横にいすを二つ置いた。

  「びっくりしたよ、ユキが倒れてたから…ベッドから降りるのはトイレと
   シャワーだけ、って言われてたのに…」(進)
  「病室に来たらユキの病室が慌ただしくて…帰ろうと持ったが古代が声を
   掛けてくれてな…すまんな、調子の悪い時に。」
  「いえ…私こそ…大事にしないといけないのに…古代くん、ごめんなさい。」

ユキの大きな瞳からポロポロ涙がこぼれる。

  「じっとする、なんて難しいよな。俺なんか本当によく怒られた。だからユキの
   気持ちよく解る。」

進がユキの手を握る。

  「だけどユキは今一人じゃないから…気を付けようね。」

真田が二人を見て苦笑いする。

  「本当に似た者夫婦だな…生まれてくる子が気の毒だ。」

真田はそう言うと立ちあがり

  「ユキにチョコレートを買ってきてたんだ。体調が良くなったら食べろ。
   お邪魔の様だから俺は仕事に戻るな。古代は早退したんだろう?」

真田がユキに教えるように言う。進は“ハイ”と頷く。

  「古代くん、平気なの?」

ユキが進を見る。

  「大丈夫だよ、優先順位守ってるだけ。」

進の言葉に真田が“そうだな”と言うと手を振ってユキの病室を出て行った。