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島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)9

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  「具合はどうだ?」

予告通り真田がユキの病室を訪れた。ユキは点滴を受けていた。

  「それじゃ何もできなくて退屈だろう?」

真田が心配そうな顔を隠して笑う。

  「そうなんです。点滴、一日4本…。」

ユキの深いため息を真田が笑う。

  「でも…この子の為、ですから。」

ユキが微笑みながら自分のお腹をさする。

  「そうだな…まぁユキはずっと走り続けてきたから少し休憩してもいいと
   思うんだが?」(真田)
  「そうですか?」(ユキ)
  「夢中で今まで来ただろう?医師になるために大学に通って…看護士に転向
   した時訓練学校に通って…病院に勤めながら訓練学校通い…普通じゃ無理
   だ。そしてそのままヤマトに乗り込んで…地球に帰って来たら長官の秘書
   だけど休日返上で看護士の研修もしてたし佐渡さんの所で看護士の手伝い
   してただろう?」(真田)
  「真田さん…」

ユキは真田が自分の事をしっかり見ていてくれたことが嬉しかった。

  「古代は仕事へ行ったのか?」(真田)
  「えぇ、行きました。」(ユキ)
  「お昼はここに戻って来るんだろう?」(真田)
  「はい。」

そう返事するユキの顔はとても幸せそうだった。

  「あの日…ユキが食堂で倒れた日…すごかったんだぞ?」

真田が含み笑いをしながらユキに話し始めた。

  「ユキが立ちあがってフラっとした瞬間古代はユキが床に崩れ落ちる前に
   しっかり受け止めて…ほほを叩いても意識がないから来ていた士官服を
   ユキの膝に掛けてそのまま抱き上げて中央病院までダッシュだ。」

ユキはその場面を想像して顔が真っ赤になった。

  「俺も病院まで付いて行ったんだが…俺が付いて行くの大変なぐらいの
   全速ダッシュだった。」

真田が笑顔で続ける。

  「病院に着くなり受付で“モリタ先生呼んでください!”だからな。
   全く余裕がなくて…三回ぐらい叫んでたな。受付の人から“お静かに!”
   って注意されて…まぁユキの顔色も真っ青だったし…焦る気持ちも分かる
   がな…そのうちモリタ先生が走って来て…ユキの顔を見てすぐにタンカを
   持ってくるよう指示して…。気付いたらもう一人女医さんが傍にいてさ。
   で、診察中は俺らは入室禁止で外で待ってたんだけどしばらくしたら看護士
   が病室に移動しますので、って案内されたのがここだったんだ。なんで
   VIPルームなんだ?って古代と疑問に思ったんだがその後モリタ先生と
   紫先生に理由を聞いて納得したんだがな。」

真田が今に至るいきさつを話してくれた。

  「ユキの事になると今も…余裕がないって思ったら…ラボに戻った後笑いが
   止まらなくてな…ユキが大変な時に悪いと思ったが…」

真田が思い出し笑いをする。

  「真田さん…」

ユキもお姫様抱っこされたまま司令部を走り抜け中央病院まで、と想像すると真っ赤になる。

  「まぁなりふり構わず、って事だ。それだけユキだけしか見えてない、って
   事なんだよな。」

真田はユキの頭をくしゃ、と撫でる。

  「ユキは俺の妹分…お腹の子供は姪っ子分、て事か?」

強面の真田だがユキと接する時はとにかく優しい。

  「ふふふ、お年玉ねだりに行かせます。」

ユキがそう言って笑った。……と、そこへノックの音。ユキは“相原くんだわ”と言って扉を開ける。(手元のリモコンで開く)

  「失礼します…お邪魔します…。」