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島を想う(宇宙戦艦ヤマト完結編の後)10

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  「真田さんですか?」

進は病院を出て立ち止まり真田に電話を入れていた。

  <古代?どうした?お前今日、早退だって言ってたよな?>(真田)
  「真田さん、女の子でした。さっき帝王切開で産まれて…ちっちゃいんです
   がちゃんと手も足も動いてていて…」

進の声がつまる。

  「1498グラムの小さな女の子です。今日、退院の予定だったのですが破水
   してしまってそのまま全身麻酔で子供を取り上げてもらいました。ユキは
   元の病室に戻っています。」(進)
  <そうか…おめでとう。…行っても大丈夫だろうか?>(真田)
  「ありがとうございます。余り調子良くなさそうですが真田さんは特別なので
   来てくれたら喜ぶと思います。私はちょっと一度家に戻るのでよろしければ
   行ってみてください。用事が済んだらすぐに戻ります。」(進)
  <わかった。少し手が空いてるから行ってみるよ。>
  「ありがとうございます。」(進)

真田はそう言って進との電話を切った。

  (古代も父親になったか…守…よかったな。)

真田は眼を閉じて親友を思う。そしてサーシァを思い出す。

  (また…お前のような子供を抱けると思うと俺は幸せ者かもしれない)

真田は白衣を脱ぐと早歩きで中央病院に向かった。







  「あ、お義母さん、進です。」

進は慌てていてヒロシマにいる両親に連絡する余裕もなかった。

  <あら、どうしたの?>(ユキの母)
  「実は今日、退院する予定だったのですが破水してしまってそのまま帝王
   切開で子供を取り出してもらいまして…先ほど1498グラムの女の子が
   生まれました。お義母さんはおばあちゃんに、お義父さんはおじいちゃんに
   なったんです。」

進がそう告げるといつも攻撃(口撃)してくる母が黙り込み後ろを無てしまった。進は何も言わなかったから怒っていると思い

  「すみません、急にこうなってしまって…ユキも今は病室で…あかちゃんは
   NICUにいますが元気です。」

慌ててそう言った時母は涙を拭きながら振り返った。

  <進くん、ありがとう。本当にありがとう。孫が抱けるなんて…私達は幸せ
   よ。あなたのおかげね。ユキはどう?大丈夫?>

さすがに母親。娘が一番心配らしい。

  「はやり出血が多かったので今頃輸血してると思います。私は一度自宅に
   戻ります。すぐに病室に戻りますが…」(進)
  <そう…明日、飛行機を取って主人と一緒にそちらに向かうわ。ユキに何か
   食べたいものがあったらいいなさい、って伝えて。>
  「わかりました。」(進)
  <進くんもあちこち連絡しないといけないでしょうからメールでいいわ。>

母は“じゃぁ”と言って電話を切った。進は藤堂に連絡し再び走り出した。









  「島…沖田艦長…」

進は英雄の丘に来ていた。そして沖田の像のふもとに立ちユキが出産した事を告げ、島と加藤、山本、斉藤とレリーフを見て回った。そして女神の名前の刻まれた所をそっとなで今度は自宅に向かって走り出した。




  「どうぞ。」

ノックをするとユキが扉を開けた。

  「俺だって判っちゃったか。」

真田が病室に入ってきた。

  「えぇ、もちろんです。」

真田はベッドの横に置いてある椅子に座った。

  「大変だったな…おめでとう。よかったな。」

真田の眼から涙が落ちる。

  「やだ…真田さんったら…泣いてる!」

ユキもつられて涙が出る。

  「これを…」

真田がユキの手をとり何かを手渡した。ユキが自分の手を開くとそこには小さなベビーリングがあった。石は当然ダイヤモンド。その石はサーシァの大事な石だ。

  「後でチェーンを作るから待っていなさい。」(真田)
  「真田さん…」

ユキはこんな大事な石を…と思ったが真田のいろんな気持ちの込められた石を返す事の方が失礼と思い素直に受け取る事にした。

  「ありがとうございます。大切にします…この石の意味を…理解できる年に
   なったら教えてあげようと思います。」

ユキの言葉に真田がにっこり笑う。

  「古代がNICUに赤ん坊がいる、って言ってたから…外から見れるかな?」

ユキの元職場の中央病院

  「えぇ、古代ベビー見に来ました、って言えば大丈夫ですよ。」

ユキがそう言うと真田は立ち上がって

  「赤ん坊見たらすぐに戻って来る。……気分は悪くないか?」

まだ顔色の悪いユキに真田が聞く。

  「大丈夫です。」

真田はユキの笑顔を見て“ちょっと行ってくるな”と言ってユキの病室を出て行った。