ガルマンガミラス滅亡の危機2
「最初見た時は子供の集団かと思いました。」
ククク、と笑うタラン。
「まさかそんな子供にしてやられるとは総統も考えなかった事でしょう。
総統もそれまで負けた事がなかったしそれなりの将軍をヤマト討伐に当てた…
信じられない結果でした。」
当時を思い出してタランの顔も苦しそうになる。
「今地球はどうしているんでしょうか?」(リィ)
「そうですね…ヤマトがあれば大丈夫だと思いますが…。」
タランもアクエリアスが消えたのが気になっていた。
(明日になれば何かがわかる…待つしかない。)
やがて食事を全部食べるとサランとリィは食事を下げて部屋を出て行った。
「デスラー総統。」
食事を終えたタランが総統の部屋を訪れた。
「タランか…入れ。」
タランは部屋に入り敬礼するとデスラーはデスクの前のパネルで太陽系のあるオリオン湾を見ていた。
「アクエリアス…」
星が消える…デスラーはイスカンダルの暴走を思い出していた。
「まさか…しかしそれを人工的にすることができるだろうか?」
デスラーの独り言にタランが考える。
「ガミラスの武器の一つである瞬間物質移送機を大型化したもの…と考えれば
よろしいのかもしれませんが…アクエリアスがどれぐらいの星なのかわかりま
せんが不可能ではないが実現するにはかなり無理がある、と申しましょうか…」
タランが歯切れ悪くつぶやく。
「ふむ…全ては明日、わかる…か。」(デスラー)
「そうです、今日はゆっくりお休みください。」
タランはそう言うとデスラーの私室を後にした。
「デスラー総統…こちらをご覧ください。」
デスラーとタランは朝一番で銀河の谷に来ていた。
「これは…」
アクエリアスの軌跡が一部抜けていた。
「ここから…ここへ…軌跡がありません。おそらく…。」(観測員)
「ワープか?」(デスラー)
「はい、間違いないと思われます。」(観測員)
「そんな事が可能なのか…」(タラン)
「我々の計算上、決してできない事ではありませんが…しかし…誰がなんの
ために…」
観測員もパネルを見上げて言葉なく立ち尽している。
「この事はルダ女王へは?」(タラン)
「ご報告してございます。ルダ様なら何か感じてらっしゃるかもしれませんが
なにせこの状態ですので…」(観測員)
「確かに…」(デスラー)
「ただこのままワープしながら進むとなりますと他の星に影響を受けずまっすぐ
進む計算になります。」(観測員)
デスラーとタランの視線の先には地球がある。
「このままでオリオン湾の側を通る可能性は?」(デスラー)
「かなりの確率で通ります。先ほど計算したところオリオン湾の中の太陽系を通過
すると出ました。」(観測員)
「太陽系…。」(デスラー)
「このワープの距離は150光年…銀河系を抜けるのに何百年以上と申しましたが
その太陽系に入るのに十数日で通過してしまうでしょう。」
観測員の言葉にデスラーは何も言えなかった。
「これを防ぐとしたら?」(タラン)
「このワープを止めるしかないでしょう。しかしこれが自然現象なのか誰かが
故意にワープさせているのか、で違ってくると思いますが…私は今まで他方面
の銀河の映像を見て来ましたがこのような星がワープするのを見るのは二度目
です。過去一度、拝見した事がありますがその後その星は消滅しました。」
デスラーとタランはそれがイスカンダルだと知っている。
「原因を掴まないといけません…が今外宇宙があのような状態なのでそこまで
状態を掴む事が出来ません…しかしルダ女王なら何か察知しているかもしれ
ません。恐らく何かわかれば女王から連絡があると思うのでそれをお待ちい
ただけませんか?」
観測員もわからない事ならば仕方がない…デスラーとタランは静かに銀河の谷を出た。
「デスラー総統…いかがされますか?」(タラン)
「ふむ…このまま地球へ行っても混乱を招くだけかもしれない…ルダ女王に
話をしたうえで判断したい。なにせ我々だけの力ではここから出る事も不可能だ。」
確かにここから出るのも門代わりになっているあの惑星へアクセスが必要なのだ。
「今は機を待つしかない。」
デスラーは帆船の上で静かに腕を組んで眼を閉じた。眼を閉じれば進とユキの笑顔が見える。
(古代、地球は大丈夫か?)
デスラーの胸に不安がよぎった。
作品名:ガルマンガミラス滅亡の危機2 作家名:kei