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ガルマンガミラス滅亡の危機3

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  「余が…行かない事が不服かね?」

デスラーが右の口角を少し上げてタランに話しかけた。タランはどう返事をしていいかわからずただ苦笑いをした。

  「もし…今、余に何かがあったらボラーの様になってしまうだろう。指揮系統も
   バラバラになり市民の生活も今まで通り、と行かなくなる可能性もある。
   しかし国家としてそれはどうなのか、と思ったのだよ。やはり余はガルマン
   ガミラスの総統…。次の事を見据えなくてはいけないと思ったのだ。」

戦いに明け暮れたガミラスの日々…ガルマンを解放したが同盟国から怖れられる日々…その過ちに気付き修正し今がある。

  「賢明なお考えと思われます。」

タランが深く頭を下げて告げた。

  「タラン、ウルフに準備が出来次第出発せよ、と。そう申し伝えよ。」

デスラーはそう言うと執務室を出て私室へ入って行った。









  「なんと…総統がそのような事を?」

タランがウルフの自宅へ訪れて直接話を伝えた。ウルフは驚きの余り言葉を失った。

  「左様…よほどウルフの事を信用されている。万一の事など起きぬ様今後も
   精進されよ。デスラー艦はそのままウルフに預ける。クルーもそのままだ。
   総統の指揮系統がそのまま生きている。万一の時は彼らの戦闘指揮も執る
   ように。」

タランがいつにもまして厳しい顔でウルフに伝える

  「心して任務遂行に当たります。」

ウルフがタランに深く頭を下げた。

  「しかし…なぜ?」

ウルフもデスラーの変わりようが不思議でならない。

  「いろいろお考えがある様子…。ボラーの残党が仕掛けてこない限り大きな
   戦闘はないと思い周りを固めるためかもしれない。ガルマンガミラスが本当に
   一つになりシャルバートと地球と連携を深め余計な争いのない平和な世界を
   造ろうとお考えなのだ。」

タランの言葉にウルフも頷く。

  「では平和になった暁には総統もお世継ぎをお考えになりますかね?」

仕事の話は終わったと思いウルフがグラスに紫色の液体を注ぎタランにすすめた。タランもそれを受け取ると軽く上に掲げ口にした。

  「どうだか…そうお考えてあれば私もひとつ肩の荷が下りるのですが。」

指揮官故、本妻はいずとも…

  「こればかりは私がどうこう言える事ではないですから…」

タランも言葉を濁した。

  「さて、わたしはそろそろ失礼する事にしよう。」

タランは空になったグラスをテーブルに戻すと立ち上がった。

  「予定通りの出発となります。その前に総統に直接お目にかかりたい。このような
   大役をお任せいただいたお礼を直接お伝えしたい。」

ウルフの言葉にタランが頷く。

  「わかった。総統にお伝えしておこう。」

ふたりはがっちり握手をするとタランは部屋を出て行った。














  「それでは総統、行って参ります。」

ウルフは先程デスラーと接見して挨拶を済ませるとデスラー艦に乗りこみシャルバートを後にした。シャルバートを出るとすぐにルダが異次元走行ができるよう指示しておりウルフが率いる船団はすぐに見えなくなった。

  「行ったな…。」

いつもデスラー自身が乗っているデスラー艦を見送った。数々の戦いを乗り越えてきた艦…。

  「おかしなものよ…。」

デスラーはその感情をどう表現していいか判らず誰にも聞こえないよう小さくつぶやくと執務室へ戻った。