ガルマンガミラス滅亡の危機3
<地球>
「なに?」
デスラーは耳を疑った。ヤマトがガルマンガミラスに来てそのまま戦闘に巻き込まれた事…その戦闘に敗れ偶然自動操縦で地球へ戻って来た事。
進が再起不能寸前だった事も聞いた。
そして戦った相手が地球を水没させようとアクエリアスをワープさせ現在に至る事を…。
「何という事だ…ヤマトはトリチウムを積み自爆する、と言うのか…」
デスラーは今までにない脱力感を覚えた。憎むべき艦だったがいざ自沈すると聞くと何とも言えない愛おしさを感じた。
(これがヤマトの魅力なのかもしれない)
通信した時にちらりと見えた艦長…艦長席にいたのは進じゃない事を確認した。
(あれは?誰だ?)
以前の航海の時艦長だったのは進だったはず…デスラーは不思議に思ったが深く考えずこの先の事を考えた。しばらくするとウルフから連絡が入った。
<ヤマトを囲っていた敵を殲滅しました。>
デスラーは静かに頷いた。
(…あれは…沖田か?)
「デスラー総統…。」(タラン)
「ヤマトが自沈するのか…なんとかならないのか?」
デスラーはどうしようもできない事だとわかっている。
「そうしないと…地球が破滅してしまうのだな…ヤマトはいつも命がけで地球を
守って来た…。古代は…大丈夫なのだろうか?ヤマトを失って生きて行ける
のだろうか?」(デスラー)
「デスラー総統…」(タラン)
「ヤマトのワープアウトした先は?」(デスラー)
「アクエリアスが地球と最接近する点と地球との中間地点です。」(タラン)
「そうか…そこでヤマトは…」(デスラー)
「ヤマトをこの目でみる最後の場所となるでしょう。」(タラン)
こころなしかタランも涙声だ。
「タラン…懐かしいな。最初にヤマトと戦った頃が。」
デスラーが思いにふける
「全艦…地球の月へ向けワープせよ。」
デスラー艦とデストロイヤー艦は土星の戦闘空域からワープした。
デスラーは静かにその時を待った。ヤマトの周りを惜しむかのように艦載機が飛んでいる。
(コスモタイガーには手ひどくやられたものだ。)
その姿を見て数々の戦いが思いだされる。
(しかし…イスカンダル上空に彼らが現れた時…あの時の気持ちを言葉で表現
するのは難しい…)
かつての敵が救いを求めているのを信じてくれた。恐らく相手が進でなければデスラーの通信など受信しても信じてくれなかっただろう。
(余に真正面から意見を言う青年…古代、余は古代がこれで潰れる事はないと
信じる…例えヤマトが無くなっても古代の傍にはユキがいる。あの美しい
娘が古代を支えるだろう。)
ヤマトが動き出した。波動砲発射口に見慣れないものがあった。
(なるほど…)
あれだけのエネルギーを封じ込めるとなるとかなりの威力だろうとデスラーは推測する。
「デスラー総統…まもなくアクエリアスが参ります。」
タランの言葉を受けデスラーは静かに艦橋を出た。
作品名:ガルマンガミラス滅亡の危機3 作家名:kei