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ガルマンガミラス滅亡の危機4

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  「今日も一日お疲れ様でございました。」

リィがいつものように就寝前の酒を注ぎにデスラーの私室へ来ていた。

  (今日は私も疲れちゃった…あれから詰め所に戻ったけどサラン様、なにも
   聞かないからなんだか変に緊張しちゃって…)

リィは考え事をしながらデスラーに酒を注ぐ。

  「リィ殿。」

デスラーに声を掛けられ我に返るリィ。

  「は、はい…。」
  「ラージベルと中庭で少し話されていたようだが?」

デスラーが聞いて来た。

  「あ、ご覧になってらっしゃいましたか?」(リィ)
  「タランがラージベルはアンダンに駐在していたと…話も弾んだであろう?」

デスラーの問いにリィは口ごもってしまった。

  「どうした?ラージベルが何か失礼な事でも?」

リィはどう返事をしたらいいか判らず黙ってしまった。

  「ラージベルが失礼な事でも聞いたのか?リィ殿は客人だ…客人に失礼な事があった
   ならば…。」

デスラーの口調が強くなる感じがしたのでリィが慌てて返事をした。

  「いえ…違うんです…違うんです。」

リィの瞳から大きなしずくが落ちた。

  「違うんです……違う…ん…です。」

デスラーはリィが酒を注ぐ姿勢で立ったままだったのでとりあえずソファーに座るよう言うとリィは素直に座った。

  「どうした?すまない、私の口調が怖かったか?」(デスラー)
  「いえ…そんなこと…ありません。総統はいつもお優しいです。」

思ってもない言葉がリィの口から出たのでデスラーは少し驚いた。

  「私が優しい…そんなことを言われたのは初めてだ…。さぁ何があったか
   言いなさい。」(デスラー)
  「あの…私がベムラーゼの献上品で…いい暮らしを…して…来れました。その
   事がどうしても……私の中…で…引っかかっていて…ラージベル様が私を褒
   めてくれたのですが…それは…誰もが…私を献上品…として扱って…きて
   くれたからで…そう思ったら…なんだか…苦しくなって…私の為に誰もが…
   苦しい生活を…していたと思うと本当に申し訳なくて…。」

その間にも涙はぼろぼろ落ちる。

  「そんな事も…最近まで…気付かず…とても申し訳…なくて…王や王妃に
   謝りたくても…できない…浅はかな私が…こうして…生き残って…ごめんな
   さい、って謝りたい…。」

リィの告白をデスラーは黙って聞いていた。







  「落ち着いたかね?」

リィはしばらく泣き続けてやっと涙が収まったようだ。ふとリィが背中をさする暖かい手に気付いた。

  「す、すみません…総統の酒のお相手をしなくてはいけないのに私、こんな
   風に…すみません。」

リィが慌ててソファーを立とうとしたのでデスラーは背中に回していた手でリィの手を掴むと反対の手にリィの小さなグラスをとりリィに手渡した。

  「リィ殿、今日は余の相手をせず帰るおつもりか?」

デスラーの言葉に“そうだった”と言う顔をして恥ずかしそうにグラスを手に取るとデスラーが満足そうに酒を注いだ。

  「ベムラーゼの事はもう、忘れるがいい…余が始末した…。安心せよ。」

デスラーがそう言ってリィのグラスにカチンと自分のグラスを当てた。

  「そなたは美しい…もっと自信を持つがいい。」(デスラー)
  「…え?」

真っ赤な眼でリィはデスラーを見つめる。

  「そうだ…そなたも誰にも負けない強さがあればもっと美しくなるだろう。」

デスラーの言葉の“強さ”がなんなのかリィにはわからない。

  「心を強く持ちなさい。なにかひとつでも信じられるものがあれば人は強く
   なれる。」

スターシァはイスカンダルを誇りに思い一人の男を守り通した強い女性だった。サーシァは一つの星を救うために命を懸けた強い女性。ユキは地球を護るために必死な男を守り抜こうとする愛を信じる強い女性…。

  「信じる…力?」(リィ)
  「さよう…。」(デスラー)
  「あの…総統は何を信じてらっしゃるのですか?」(リィ)
  「余は…余を信じる者全てだ。」

デスラーが真っ直ぐな眼を自分に向けてそう言い切った。リィは呼吸が止まってしまいそうなほどの眼の強さを感じた。