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ガルマンガミラス滅亡の危機4

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リィは全く気付かなかったが要人たちがリィの事を聞きつけ娘を侍従としてデスラーの元へ送り込んでいた。デスラーに見初められお手付きとなれば運よく妃になるかもしれない。もし、成婚しなくても子が生まれれば母星が無くなったとしても自分たちはガルマンガミラスの続く限り身の安全とこれから先の生活も保障される…


もちろんリィはそんな先の事など知らないし考えてもいない。しかし世の中は計算で成り立っているものもある。

  「もちろんリィ様のご両親はそんなお気持ちは全くなかったはずです。ただ
   それをそうとらえる人もいるのだと…。」

サランはリィの手を取りにっこり笑った。

  「あなた様が慣れない仕事を一生懸命こなし総統に尽くしている事は私が一番
   よくわかっています。総統も飾らないあなた様だから寝室に入る事を許したと
   思います。寝室は一番気持ちの安らぐ場所…一番危険な場所でもあるのです。
   総統の寝室はほんの限られた人間しか入る事はできません。タラン様と私、
   そしてあなた…。後は護衛兵だけです。今まで女性で寝室に入る事を許され
   ていたのは私だけ。」(サラン)
  「あの、今まで聞こうと思いながら聞けなかったのですがサラン様は総統と
   どのようなご関係で?」

寝室に入れる、という事はそれなりの関係かとリィは思っていた。

  「総統と私ですか?総統のお母様と私の母が姉妹でございます。故、総統は
   私の従弟になるんです。幼い時はよく一緒に遊びました。遊びだけでなく勉強も
   ご一緒しました。でも総統の父君…前総統がお亡くなりになられて総統は
   お忙しくなりました。私の父が植民地の統制を執るために派遣されそれ以降、
   総統にはお会いになっていません。私の父は総統と合流したのはヤマトと
   二度目の戦いをした時…その後私の父はイスカンダルを護るために戦って
   命を落としました。」

リィはサランの告白に驚くだけだった。

  「母は植民地で病にかかり病死…身寄りのいなくなってしまった私を総統が
   呼んでくださいました。何もしなくていいと言われましたがさすがにそれは
   できない、と(にっこり笑う)なので侍従の仕事を始めたんです。もちろん
   総統は止めなさいと言いました。まぁ普通に考えたら母方とはいえ親戚に
   あたるんですからふんぞり返ってても総統は文句言わなかったと思います。
   だけど周りから見たら母方の血の繋がり程度で、としか捉えないのです。
   当時侍従頭が私の母の事をよく御存じの方で…引退を考えていると伺い私に
   その仕事をさせてほしいと申し出て今があります。」

リィはすごい、と思った。自分は父方で王家の血を引く者…それに高をくくっていた張本人…とても恥ずかしくなってしまった。

  「サラン様…。」(リィ)
  「リィ様…昨日、総統とどのようなお話をされましたか?」

サランがにこやかに聞いて来た。

  「あ、あの…昨日の事、とか…いろんなことを話しました。とても楽しくて
   時間が過ぎるのがわからない程でした。」

就寝前の酒を運ぶだけでなかなか帰ってこなかった事にどう理由をつけていいか判らずたどたどしくそう答えた。

  「そうですか…ぜひ今後もお相手なさいませ。」(サラン)
  「サラン様!」(リィ)
  「総統も少しいろんな事で目処が立ちゆっくりなさりたいのでしょう。私が
   お相手しても幼い頃からの事を知りすぎて話したくないでしょうから。
   多分、私がリィ様に幼い頃の話をしてるんじゃないかと心配で仕方ないと
   思いますよ。」

サランが笑いながら言う。

  「え!総統の幼い頃の話、ぜひ聞きたいです!」

リィが前のめりになって嬉しそうに言った。

  「ダメですよ、それこそ私、処分されてしまうわ。」

何を思い出しているのかサランが今まで見た事ない様な笑みを浮かべている。それはとても楽しそうだ。

  「男性は自分の幼少期を知る人とおむつを替えた人間には頭が上がらないのです。」

サランがそう言って笑うとリィもプッと笑ってしまった。確かに自分も乳母に頭が上がらない。

  「それは女性も同じですよ。」

リィの言葉にサランも“そうね”と同調した。