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ガルマンガミラス滅亡の危機5

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  「何もかも…元通りではないか…。」

デスラーがデスラーズパレスを見てつぶやく。

  「ハッ。」

タランもそれを見て右手を挙げて見上げる。

  「みながよく頑張ってくれたのだな…この短期間にご苦労であった。」

デスラーの言葉にタランは頷くだけだった。デスラーを先頭にタラン、ウルフと続き親衛隊が周りをがっちり固めてデスラーズパレスの中に入って行く。少し遅れてサラン達、侍従が護衛に囲まれパレスのなかへ入っていく。

  「今までとほぼ変わりませんが今まで使い勝手の悪かったところを少し修正
   いたしました。それと…増えた侍従の為の部屋を造りました。」

デスラーに親衛隊が報告する。

  「サラン様は今まで通り個室をご準備してございます。指示は頂きませんでしたが
   リィ様のお部屋もサラン様の隣にしつらえましたがよろしかったでしょうか?」

デスラーに報告するのが遅れた事で冷や汗を流しながら報告する親衛隊長。

  「よい…ふたりはよく働いてくれいている。それぐらい当然の事…。」

あからさまにホッとした顔の親衛隊長にタランが笑顔を送る。

  「明日から忙しくなる…私の警護はよいから市民の様子を見てくれ。暴動や
   略奪などが起きたらすぐに鎮圧するように…。軍は秩序を守り市民の安全を
   第一に。」

デスラーの言葉を右手を挙げて聞く親衛隊長。

  「暴動など起きぬ様、食料は配給制にし混乱を避けるように。それと…」

タランが親衛隊に細かく指示を送る。デスラーはそれを静かに見ていた。








  「お疲れ様でございます。」

サランとリィが夕食の準備をしに執務室の隣の食堂へ来た。ふたりはシャルバートにいた時と同じように食事を並べた。そしてデスラーとタランが向かい合って座るとサランがグラスを二人に渡しリィが酒を注ぐ。

  「ではごゆっくり…。」

デカンターをテーブルに置くと二人の仕事は完了。深く頭を下げ食堂を出ようとしたリィにデスラーが声を掛けた。

  「リィ殿…。」(デスラー)
  「お呼びでしょうか。総統?」

リィが振り向きデスラーを見る。

  「辛い報告をせねばならない…アンダン…は…消滅していた。」

デスラーが酒に口もつけずコトリとテーブルに置くと同時にリィの瞳からポロポロと涙が落ちる。

  「すまない…いつ報告しようか悩んでいるうちにこの時間になってしまった。」

デスラーが立ち上がりリィの涙を拭く。それでもリィの涙は止まらない。

  「リィ様…総統はこちらに来てすぐにアンダンの安否確認をすぐにされました。
   残念な報告しかできず本当に申し訳ない…。」

タランの報告がリィの耳に届いているかどうかわからない。



ふとリィは暖かい何かに包まれた気がした。

  「思い切り泣くといい。」

デスラーがリィを抱きしめていた。そこにいたタランとサランは驚いたがリィはデスラーの腕の中でしゃくりあげる声だけを出して泣いた。













  「す、すみません…。」

落ち着いたリィはハタと気付いた。この暖かい何かはデスラーだという事に。リィは慌ててそっとデスラーの腕の中から抜け出すと真っ赤な顔を見られまいと下を向きながら食堂の扉の前で頭を下げると急いで食堂を出た。その姿をサランが追う。

  「すみません、私…どうしよう…総統の服を汚してしまいました。」

早歩きで少し息を切らせながらリィがとんでもない事をしてしまった事に気付き別の涙が浮かんでくる。

  「リィ様、総統はそんな事お気にする方ではございませんわ。」

護衛のラージベルがリィとサランの後ろを付いてきている。サランはリィに“今日は私の部屋で休みましょう”、と言い

  「ラージベル様、リィ様のご気分がすぐれないようですのでここは私が…。」(サラン)

ラージベルはそう言われていしまうとリィの後ろを追えない。

  「かしこまりました。」

ラージベルはそこで足を止め二人を見送るしかできなかった。