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ガルマンガミラス滅亡の危機5

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  「サラン様、行って参ります。」

デスラーの言葉を告げたサランは門のところでリィを見送るために立っていた。リィの傍には護衛でラージベルが一緒に立っている。

  「ラージベル様、よろしくお願いします。」(サラン)
  「かしこまりました。」

ラージベルは右手を挙げてサランにそう告げるとリィの乗るエアカーの隣い乗り込みパレスを後にした。





  「すみません、ラージベル様。」

リィが静かに口を開く。顔を見せたくないのでうつむき加減で下を向いたままそう言った。ラージベルもアンダンの事は聞いている。

  「いえ…私もアンダンにいたので…。」

そうだった、ラージベルはアンダンにいた事があったから少なからずショックを受けているはず…

  「そうよね、ラージベル様もお辛いですわよね…すみません、私、自分の事
   ばかりで…でも幼い頃に遊んでもらった王や、王妃…皇太子の事を思い出すと
   涙が出てきてしまうの。皇太子は二人いて…いつも一緒に遊んでいたわ。
   王妃は女の子がほしかったから私をとてもかわいがってくれていたの。私が
   遊びに行くとおいしいものを出してくれて…今思うと私がアンダンの犠牲に
   なるから一生懸命よくしてくれのかもしれない。だけど王妃はそんなの
   関係なくかわいがってくれてた、って信じてる…。」

リィは静かに言葉を選ぶように話している。

  「皇太子もとても優しくて…恰好よかった。やさしいお兄様がふたりいるような
   感じだったの。」

手元のハンカチを何度も目元に送るリィ。

  「アンダンの生き残り…我が家と我が家の使用人だけ…でもサラン様が言ったの。
   私にはもう一つ、故郷が出来たでしょう?って。ガルマンガミラスがあるで
   しょう、って。サラン様の言葉に私、助けられちゃった。たかが異星人なのに
   そこまで言ってくれる人がいて…私、って幸せだな、って思ったの。
   ガルマンガミラスがアンダンを救済してくれなかったらどうなっていたか
   この星の衝突で私はいない存在だったかもしれない…でしょう?」

ラージベルはリィの話を静かに聞いていた。

  「お父様…お母様…どれだけショックを受けてらっしゃることか…。」

リィは静かに涙を拭いた。

  「リィ様…お心を強く持たれてください。私達が一生を掛けてお守りいたします。
   どうか異星人などと寂しい事をおっしゃらずに…。」

ラージベルはリィの手を握りたい気持ちを堪えた。

  「ラージベル様…。」(リィ)
  「リィ様は縁あってガルマンガミラスへ来られました。偶然とはいえ助かった
   大切な命でございます。どうかアンダンの民の分までしっかり歩まないと
   いけないと思います。」(ラージベル)
  「…そうね、私が女の子として生まれてきたからここに生きている…そう思うと
   これが運命だったのかもしれないわね。」

リィがもう一度涙を拭いた。ふと顔を上げると懐かしい道が見える。

  (そう…あの角を曲がると…)

軍用のエアカーがリィの家の前で止まった。






  「お父様、お母様…ただいま戻りました。」

リィがラージベルを伴い家の中に入ると侍従が泣きながらリィを出迎えた。

  「リィ様がお戻りになられました。」

侍従が震える声でそう叫ぶと奥から父親と母親が泣きながら出てきた。

  「リィ…戻ったか。ご苦労だった…リィ…聞いたと思うが…。」

ルイサーが肩を落としている。普段威厳に満ちた父とかけ離れ別人のようだった。

  「お父様…私も昨夜、聞きました…総統が直接伝えてくださいました。」

リィもそれを伝えると涙がほほを伝う。

  「リィ…私達だけになってしまったわ…。」

母が力なく崩れる。

  「お母様…気を確かに。これからの事を考えましょう…」

リィが母親を支えた。

  「これからの事?私達は後ろ盾が無くなってしまった…これからどうするも
   何もできないわ…。」

母が不安気に父を見つめる。アンダンが万一の時はガルマンガミラスに世話になろうと心に決めていたが実際現実を突きつけられると母星の事ばかりが頭に浮かびこれからの事なんて何も考えていなかった。

  「リィ…どうしましょう…。」

強制労働は無くなったもののアンダンができる事は今までと同じ、物資をガルマンガミラスに収める、ぐらい。もちろんデスラーが強制させていたわけではないが宇宙船を持たない星ゆえ資源と物資、それぐらいしか護ってもらう代わりの対価を表す事が出来なかったのだ。

  「私がガルマンガミラスで働こうにも何をしたらいいのか…何ができるのか
   全くわからない。」

父も深くため息をついた。