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ガルマンガミラス滅亡の危機5

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リィが両親の元へも戻って一週間が過ぎた。

  「リィ様は戻ってこないのでしょうか?」

サランの元へそのような問い合わせが多くなった。誰もがデスラーの横を狙っているのだ。

  「あなたの星も消滅してしまったのでしょう?ご両親が心配ではないのですか?」

サランは母星が消滅してしまった要人宅へ娘を戻すようにしていたが誰もがそれより自分と家族の安泰を、と思いデスラーズパレスに留まっていた。

  「心配ですが無くなってしまった星をどうしようと言うのですか?」

そう切り返されればその通りなのだがそう言う簡単に切り捨てられる問題ではないはずだ。

  「そうですね…どうしようもできないですわね。」

サランもそう返すしか言葉がない。

  「今晩、私が総統の就寝前の酒を運んでいいですか?」

念入りに化粧を施して香水を振りまいている娘にサランは心の中でため息をつく。

  「いえ、総統は私室に侍従を入れるのを嫌がりますので…。」

サランはそう言うと立ち上がりその娘を自分の部屋から追い出した。

  (リィ様…早く戻って来てください。他の侍従たちの遠慮が全くなくなって
   来ました。)

サランは要人たちの集まる集落の方角をじっと見つめた。









  「ラージベル様…私は大丈夫ですからどうか総統の元へお戻りください。」

さすがに一週間もラージベルを小さな館に閉じ込めておくわけに行かない…リィはそう思いラージベルに言った。

  「いえ…私は総統からサラン様とリィ様の護衛の任務を命じられております。
   今回は総統から直々にリィ様をお守りするように、との直々の命…決して
   そばを離れないように、との仰せでございます。」

ラージベルは総統の命令が嬉しかった。任務とはいえリィの傍にどうどうといられるのだから。

  「すみません…せめて母の体調が良くなるまでそばにいてあげたいのです。」

リィの母はアンダンが消滅したと聞いた直後から体調を崩し寝込んでしまった。

  「父もどうしたらいいか判らず途方に暮れる日々…私がいなくなったらこの
   家はおかしくなってしまう…。」

リィの母も遠縁ながら王家の血を引いている。今まで苦労なく生きてきた。ボラー連邦に植民地化されてからはリィがいたからいい暮らしを送る事が出来た。

  「私はリィ様のお体が心配でございます。少しお休みください。」(ラージベル)
  「私は大丈夫よ。」

明らかに疲れているのにリィが微笑む。ラージベルはその細くなった体を抱きしめたい衝動に駆られるが何とか理性が勝った。







  「リィ…ここはいいから総統の元へ戻りなさい。」

母親が眠りにつくとルイサーがリィに声を掛けた。

  「お父様…。」(リィ)
  「お前が親の犠牲になる事はない…聞けば総統のお世話のほとんどをしている
   と聞いた。お前がいなかったら総統も困るだろう?」

ルイサーはすでにリィがデスラーの手付きになったと思った。

  「いえ…もともとサラン様と言う侍従頭の方がしていた事を私が代わりにして
   いただけなので…私が宮殿に入った後、何人もの侍従が宮殿に来ました。
   総統の身の回りのお世話をする方は私だけではないのです。ご安心ください
   それに…私は…総統との間に何もございません。」

リィが笑顔で答える。

  「リィ…。」(ルイサー)
  「だから…このままこの館に戻る事もまだ許されると思うのです。」(リィ)
  「お前はそれでよいのか?」(ルイサー)
  「…よいのです。私など相手になさいませんわ。」

ルイサーはリィの哀しそうな顔が気になった。

  「なにかあったのか?」(ルイサー)
  「いえ…総統には想いを伝えきれなかった女性がいる様子…きっとその方に
   お心を残されていらっしゃるのでしょう。」

リィが静かに答える。