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ガルマンガミラス滅亡の危機5

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  「…じつは総統にご相談したい事がある…そう、伝えてはくれまいか?」

ルイサーの言葉にリィが顔を上げる。

  「一般市民でいいからガルマンガミラスの市民になりたい、と。その為には
   どうしたらいいのか相談したいと、そう伝えておくれ。以前、総統から
   話があった時にもしもの時はガルマンガミラスの市民になろうと心に決めて
   いた…。私にできる事など限られた事しかなさそうだが…。」(ルイサー)
  「お父様…私の働きでお父様とお母様を養う事が出来たらいいのに…。」

リィが肩を落とす。

  「兄上を思えば命があるだけ幸せだと思う…さぁ…行きなさい。」

ルイサーはすでに準備を整えておりラージベルを呼んだ。

  「すみませんがリィを…娘をパレスへ送り届けて頂けませんか?」(ルイサー)
  「よろしいのでしょうか?」

ラージベルが聞く。

  「…よいのです。娘をここに残しておくわけに行きません。」(ルイサー)
  「ルイサー様…私は…」

ラージベルはついリィの事、“お慕い申しております”と言いそうになってしまった…がアンダンと言う星の王家の血を引く姫に畏れ多くその言葉を飲み込んだ。

  「私は…この命に代えても…必ずリィ様をお守りいたします。」

ラージベルはそう言うと通信機でエアカーを呼んだ。






  「お父様…行って参ります。」

リィが父に挨拶を済ませるとラージベルが右手を挙げエアカーに乗り込んだ。

  「リィ様をお預かりいたします。」

エアカーは静かに走り出した。しばらく走っているとずっと付いてくるエアカーがある事に気付いた。護衛ではない…運転手もそれに気付いている。リィの乗るエアカーの運転手はラージベルの同期のフィールだった。

  「…フィール…」(ラージベル)
  「あぁ…わかってる。」(フィール)
  「リィ様…どうも付けられているので急いでパレスに戻ります。つかまっていて
   ください。少し運転が荒くなります。」

リィが返事をする前にフィールの運転はスイッチが入ったかのように急に加速し始めた。

  (なに?)

リィは慌ててドアにしがみついた…が、急ハンドルに体が耐えられなくて悲鳴を上げそうになるがそれが声にならない。

  「リィ様、私におつかまり下さい…」

ラージベルがそっとリィの体を抱き寄せる。がっちりした体のラージベルはその動きに全く動じていない。リィの体を抱き寄せてしっかり守りつつ眼はフィールと同じ、前を見て次の動きを予測する。リィはそのラージベルの腕にしっかりつかまるがふらつく。するとラージベルが更に体を寄せて守る。

市民が町に戻って来たがまだ活気付くわけもなく町は静まりかえっている。だから振り切ろうにもずっと付きまとい振り切る事が出来ない。

  (リィ様の事をよく思わない他国のしわざか?)

ラージベルは震えるリィを強く抱きしめるように包んだ。










パレスに近付くにつれエアカーは姿を消した。







  「なんとか…。」

パレスの前まで来るとさすがに姿も見えなくなっていた。

  「リィ様…大丈夫ですか?着きました。」

腕の中で震えるリィをいつまでも抱きしめていたい衝動に駆られた…がラージベルの声でリィが我に返った。

  「…あ、ごめんなさい…ありがとう。」

真っ赤な顔なのだろう、うつむきながらそっと手でラージベルの胸を押して離れた。

  「降りられますか?」

ラージベルはそう言うと車から降りリィの手を取りエアカーから下そうとした。リィはラージベルの手を取ろうとせずエアカーから降りようとしたが地に足をつけようとしたが力が入らず転びそうになった。

  「あぶない…だからお聞きしましたのに。」

ラージベルがしっかり腕を掴んでくれたのでリィは転ばずに済んだ。

  「フィール、助かったよ。ありがとう。」

リィがエアカーから降りた所でドアを閉める前にラージベルは礼を言った。そしてドアが静かに閉まるとスーっと窓が開いた。

  「いや、俺でよかったよ。しっかり姫をお守りするんだな。」

フィールはパレスの中でドロドロしたものがある事を知っている。

  「あぁ、任せろ。」

ラージベルが低い声で返事をするとフィールはリィの顔を見て軽く会釈をするとエアカーを走らせた。リィもその会釈に深い礼をして返した。