二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ガルマンガミラス滅亡の危機5

INDEX|9ページ/14ページ|

次のページ前のページ
 

  「大丈夫ですか?」

ラージベルがリィの手を取り腰に手を添え侍従頭、サランの部屋の前に来た。その間に数人の侍従や兵とすれ違った。誰もがリィとラージベルを見て振返る。でもリィは下を向き唇をかみしめて足を前に出す。足を前に出さなかったら膝から崩れそうだった。

  (強くならなくちゃ…)

そう心で思いながら必死な思いで歩いていた。パレスの入り口からサランの部屋までとても長く感じた。

  「サラン様。」

ラージベルがノックをする。

  「リィ様をお連れしました。少し話をさせていただきたく。」

ラージベルがそう言うとサランの部屋の扉が開いた。

  「リィ様…どうされました?」

サランはリィの顔色がとても悪い事に気付いた。

  「こちらへ…。」

サランは何かを察して侍従の入ってこない別の部屋にリィとラージベルを案内した。





  「大丈夫でございますか?」

サランが温かい飲み物を用意してくれた。

  「なんとか…。」

ソファーに座ったリィはまだ顔色が悪い。

  「ラージベル大尉…なにが起きたのですか?」(サラン)
  「実はリィ様のご実家を出てしばらくしたらエアカーが追って来まして…
   リィ様をパレスに無事送り届ける為に少し乱暴な運転をさせました。
   追いつかれたら危ないと思い…リィ様はそれに恐怖を感じ…すみません。」

ラージベルが静かに頭を下げる。

  「追って来たのは誰だか判りませんか?」(サラン)
  「そこまでは…でもリィ様の事をよく思わない侍従の親かもしれないと…。
   あくまで私の判断ですが。」

ラージベルが断言する。

  「心配だわ。」

サランがリィの様子をもう一度見る。

  「少し休めば大丈夫です。」

温かい物を飲んだおかげか少し顔色が良くなった。

  「サラン様、父が…総統にお願いしたい事があると。私はその伝言で戻って
   参りました。お時間いただけますでしょうか?」(リィ)
  「リィ様、少し休まれたようがよろしいです。」(サラン)
  「いえ…こんな事で…大丈夫です、少し驚いただけです。」

リィはこんな時だからこそ強くならなくては、と思った。デスラーの周りの女性だったらどう行動するだろう…ふとそう思ったのだった。サランはリィの今まで見た事のない強い瞳を見たような気がした。

  「わかりました。聞いてまいりましょう。」

サランはそう言うと少し待つように伝え侍従頭の部屋に戻って行った。







  「リィ様…総統が執務室に来るようにとの仰せです。」

サランがリィの待つ部屋に入って来た。

  「そうですか…よかった。」

リィは心底ほっとした顔をした。

  「執務室まで私もご一緒します。」(サラン)
  「では私も…リィ様の護衛を総統より仰せつかってございますから。」

ラージベルはそう言って二人を見て頷いた。






  「リィでございます。」

執務室の扉をノックしてリィは静かに執務室に入った。一週間程暇をもらっただけなのにとても懐かしく感じてしまった。

  「お帰り…リィ殿。」

デスラーが静かに声を掛ける。

  「ただいま戻りました。長い間お暇を頂きありがとうございました。」

リィが深く礼をする。デスラーは眼でサランとラージベルに下がるよう指示を出す。ラージベルは一瞬否定しそうになったが相手はデスラー、否定する理由もなく渋々執務室を辞した。



  「待っていたよ。」

デスラーがリィに向かってそう言った。

  (待っていた?総統が私を?)

その言葉にリィが驚いた…がリィは父からの言葉を伝えなくては、と思ったがふと視界がぼやけている事に気付いた。

  「リィ殿?どうされた?」

デスラーが立ち上がりリィの所まで来た。

  「そんなに余の所へ戻りたくなかったのか?」

デスラーの声が優しくリィの耳に届いた時リィは自分が泣いている事に気付いた。

  (強くなりたいと思っているのに…なぜ?)

そう思うと余計に涙が溢れてくる。リィはその場で崩れるように泣いた。

  「どうされた?辛い事でもあったのか?」

デスラーもその場に座りリィの震える肩にそっと触れた。リィは首を横に振る。

  「余の所へ戻りたくなかったのか?」

そんな事はない…ただ母が心配で戻りたくなかっただけ…リィはもっと首を横に振った。余りの勢いにデスラーの手にリィの涙が飛んだ。

  「そうか…安心した。リィ殿は余に愛想を尽かせ出て行ったのかと思った。
   ルイサー殿の要件をすませたらまた戻ってしまうのではないかと思ったが
   このままパレスにいるか?」

デスラーの言葉にリィは静かに頷く。

  「そうか…よかった。こちらへ来なさい。」