ガルマンガミラス滅亡の危機6
「なんて素晴らしい…。」
リィは初めて新生ガルマンガミラスを見た。若い星らしく緑が青々と茂り青い海が見える。
「イスカンダルのようだ。」
デスラーが隣でつぶやく。
「イスカンダル?」
リィは初めて聞く“イスカンダル”を口にした。
「スターシアの星…かつてガミラス星の隣にあった双子星の名だ…。」(デスラー)
「星としての命は短く緑は少なくなっていったが森があり、海は青くそれは
とても美しい星だった。余は…この星を命を懸けて護る。」
リィの腕に抱かれた幼子をデスラーが抱く。
「フォーク…見えるか?この星はそなたの星だ。そなたが治める星になるのだ。
かつて…ガミラスはマゼランをこの手に治めた。しかし今後は共に歩む星と
なり平和なマゼランを創ると誓う。」(デスラー)
「総統…。」
リィは静かにデスラーの言葉を聞いていた。森の先に近代的な建物が並び中心にそびえたつデスラーズパレスが見えてきた。
「総統、デスラー艦は間もなく着艦いたします。」
タランがデスラーに伝える。デスラーは幼子をリィに渡すとラージベルがリィの傍に来た。
「ラージベル、頼む。」
デスラーがそう言うとラージベルは右手を挙げリィを連れて貴賓室へ向かった。貴賓室にはサランがいる。
「これでやっと落ち着いた生活が送れそうですわね。」
サランがフォークをリィから受け取った。
「えぇ…。」
ガルマンガミラスで産まれた我が子…リィはサランに抱かれた我が子の顔を笑顔で見る。
「本当に美しい王子様でございますわ。」
サランは自分の腕に抱かれた子を見て笑う。
「抱くたびに自分がおばあちゃんのようで。」
その言葉にリィとラージベルは笑う。
「おばあちゃんには若すぎますわ。」
リィは心から幸せだと思った。
「デスラー艦、着陸しました。」
デスラー艦はパレスの前の海に着水しそのままパレスの地下へ続くドッグへ入った。真っ先にデスラーがリィと一緒に下艦しようと甲板にでるとずらりと兵が出迎えに並んでいた。
「デスラー総統、万歳!」
誰もが右手を挙げそう叫ぶ。大合唱の中デスラーを先頭にデスラー艦を下りパレスの中に入る。デスラーの後ろを歩くリィの腕にはフォークが抱かれている。
「リィ、重くないか?」
デスラーはそう言いながらリィの腕に抱かれたフォークを抱き上げた。その瞬間群衆が歓喜の声を上げる。
「「デスラー総統、万歳!」」
合唱の声が大きくなる。
「聞こえるか?フォーク。いずれそなたの治める星だ。よく見ておくがよい。」
大歓声の中デスラーとリィはパレスの中に入った。
「デスラー総統。」
ウルフがパレスの中に入ったところで立っていた。ウルフはデスラーに右手を挙げるとデスラーも右手を挙げた。
「ご苦労だった…。」
デスラーの言葉にウルフが頭を下げる。
「建物の中をご案内します。」
ウルフがデスラーの前を歩きだした。建物自体はほぼ前と変わらずだがデスラーの私室を今までより広く最上階に作った。ウルフは兵の控室から軍事演習室、兵器の貯蔵庫、中間層に作られたドッグなど案内した。デスラー自身、パレスが出来る途中、マゼランに来ていたが完成したのをみるのはやはり感慨深いものがあった。
「最後に…総統のお部屋でございます。」
エレベーターが最上階で止まった。大きな扉の前に護衛兵が控える部屋がある。
「こちらは護衛兵の控室となります。」
ウルフがラージベルを見た。ラージベルは右手を挙げて立ち止まった。
「この先はお二人でどうぞ。」(ウルフ)
ウルフの言葉にデスラーは頷くとデスラー自らその扉を開けた。
作品名:ガルマンガミラス滅亡の危機6 作家名:kei