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ガルマンガミラス滅亡の危機6

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  「総統!」

重鎮が会議室に勢ぞろいしていた。

  「リィ様は…。」(タラン)
  「一度目覚めて今は眠っている。今、サランが付いている。」(デスラー)
  「左様でございますか。お気付きになられたのならば大丈夫でしょう。この
   ガルマンガミラスの最先端の医療でたちまち元気になられる事でしょう。」

タランも安心したのか大きく息をつく。

  「それで…ベルーサはいかがいたしましょう。」

デスラーの側近が発言する。誰もがデスラーを見て微動だにしない。ベルーサの関係者はすでに館から出ないよう、通達があり門扉にはデスラーの親衛隊が立っている。

  「ベルーサはすでに銀河系に存在しない星となっております。」

タランが報告する。帰させようにも帰る星がないのだ。

  「リィを殺そうとした…未来の余の妻を殺そうとしたのだ。罪は重い。恐らく
   単独犯ではなかろう…。一族をガルマンガミラスからつまみ出せ!」

デスラーの声は静かだったがその声は震えていた。誰もがデスラーの顔を見る事が出来ない程、怒りのこもった声だった。








  「…ん…。」

寝返りを打とうと思ったが右肩に痛みを感じてリィは眼が覚めた。

  「お目覚めでございますか?」

デスラーの寝室にいたのはサランだった。

  「私でごめんなさい。総統は外せない仕事があるそうで…。」

サランがリィを見てにっこり笑う。

  「のど、乾きませんか?」

窓の外を見るとすでに日は落ち星が見えている。

  「リィ様が心配する事は何もありません。今はお怪我を治す事だけをお考え
   ください。」

サランはベリーサの事など考えるな、とそう言っているとリィは思った。気性の激しいデスラーを知らないリィに今回の処分の事を知らせたくなかった。

  「ベリーサ星の人たちはどうなってしまうのかしら…。」

リィが窓を見たままつぶやく。サランは何も答えなかった。

  「何かしら罰を受けてしまうのかしら…」

リィはサランの顔を見た。

  「私は何も知りません…総統も政治の事は今までもなにもおっしゃいません
   でしたが何もなく穏便に、とはいかないでしょう。まだ未発表とはいえ
   パレスに出入りしている人なら誰もがリィ様がデスラー総統の未来の妃
   だと知っているわけですから…。未遂に終わったとはいえ暗殺計画を実行
   してしまったのですからお咎めなく、と行くはずがありません。」

サランが珍しく厳しい意見を言う。

  「それぐらい…総統はリィ様を大切に思っている、ということなのですよ。」

サランが優しくリィに話しかける。

  「傷も跡が残らないとドクターが申しておりました。総統もこれを機にご成婚の
   準備を急がせるような事を言ったとか言わないとか…。」(サラン)
  「結婚…?私と…総統?」(リィ)
  「他にどなたがいらっしゃいます?先に婚約を発表して…これからお忙しく
   なりますわ。」

サランが嬉しそうだ。

  「従姉としてお祝い申し上げます。おめでとうございます…私の従弟はとても
   気性が荒く一度決めた道を信じて突き進む事しか考えられない人間です。
   その従弟の息抜きはリィ様でないとさせられません。リィ様のお仕事は他の
   誰もが出来るものではありませんから…どうぞよろしくお願いいたしますね。」

デスラーに近しい肉親はこのサランを置いていない。

  「サラン様…。」

リィは静かに頷いた。










  「痛みはあるかね?」

デスラーが寝室に戻って来た。リィは“少しだけ”と答えた。

  「ケガが治ったら婚約式を行う事にした。痛みがなくなったらドレスを作ったり
   と準備で忙しくなる。先に明日、婚約発表をする事にした。」

デスラーはベッドに静かに腰かけた。

  「周りは慌ただしくなるが…今はゆっくりするがいい。」

デスラーはリィの体に負担を掛けないよう、そっと軽くリィの唇に自分の唇を合わせた。