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ガルマンガミラス滅亡の危機6

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ラージベルは静かに控室でニュースを見ていた。ずっと流れているニュースはデスラーが婚約した事だった。

  (とうとう雲の上の方となられてしまった。)

紙切れの様な手紙を手渡したのはいつだったか…。もっと早くリィにアプローチしておけばよかったのか…。ラージベルは自分の手を見る。思い出すのは震える細い肩。自分を信じてくれたあのぬくもり…

  (一生…忘れられないだろう…)

ふと気付くとまたため息がもれる。

  (ダメだ…こんなお祝いムードのなかため息などついていたらすぐに気付かれて
   しまう…。)

ラージベルは腰に据えたレーザーガンを確認すると控室を出て今日の任務に就くために執務室へ向かった。パレスの中はすれ違う人のほとんどが笑顔だ。暗い顔をしているのはデスラー目当てにパレスに来た侍従たち。

  (アンダンの国王が生きてらっしゃったら喜んだことだろう)

ラージベルは執務室の扉をノックして中に入った。

  「デスラー総統、ご婚約おめでとうございます。」

ラージベルは右手を挙げてデスラーに挨拶をした。

  「…ラージベル、ありがとう。そして…すまん。」

デスラーがラージベルに近付いてそう告げた。ラージベルはなんのことかさっぱりわからず右手を挙げたままデスラーを見ている。

  「こちらへ。」

デスラーが執務室の奥にある総統の部屋にラージベルを招き入れた。











  「余が…自分の気持に気付いたのはそなたがいたからだ。」

デスラーはラージベルをソファーに座らせた。

  「リィも…そなたといると笑顔だった。」

ラージベルは静かにデスラーの言葉を聞いた。

  「お聞きしても…よろしいでしょうか?」(ラージベル)
  「なにかね?」(デスラー)
  「なぜ…リィ様だったのですか?」

ラージベルはデスラーがスターシァの事を深く愛しているのを知っている。

  「スターシアは気高く…美しい女性だった。芯のある強い女性だった。それ
   故に命を落とした…。」

デスラーはスターシァ星を見つめる。

  「私の知っている女性はみな強い女性ばかりだ。そして誰もが命を懸けて
   守るものがありそのために常に必死だ。でもリィは違った。普通の女性だった。
   余が護らなければ壊れてしまう、そんな女性だ。だから惹かれた。余だけを
   見てくれる…それだけで余は充分なのだ。多くは望まない…心から護りたいと
   思った女性がリィだったのだ。」

ラージベルはデスラーの告白を黙って聞いていた。

  「そなたをみて微笑むリィを見て嫉妬したのも確かだ。余は今まで女性に
   対し、そう思った事などなかった。」

デスラーの脳裏にラージベルをみて微笑むリィの顔が浮かぶ。

  「だが…信頼のおける兵は数少ない…。」

デスラーの言葉にハッとするラージベル。

  「リィの護衛でそなたが辛い想いをしているのも余は分かっている。もしリィが
   そなたを選びパレスから出て行ったら、と思うと余はそなたを追放したかも
   しれない…それぐらい余は心が狭い…」

デスラーは自分でそう言いながら苦笑いをした。

  「余は…そなたを信じている。リィもそなたを信じている。そなたから見たら
   余は恋敵だが…余の婚約者を護ってはくれまいか?」

ラージベルはデスラーがそこまで自分の事を見ていたとは思わなかった。

  「…総統…」(ラージベル)
  「これは命令ではない。余の頼みだ。」(デスラー)
  「総統…私は総統に一生の忠誠を誓った身でございます。リィ様を…私の命に
   代えてもお守りいたします。」

ラージベルは右手を挙げてデスラーに忠誠を誓った。

  「ラージベル…頼むな。」

デスラーはそう言うと静かに握手を求めた。