ガルマンガミラス滅亡の危機6
<未来>
「ラージベル様。」
リィがラージベルに声を掛けた。
「リィ様、私の事は呼び捨てにしてください。私はリィ様の護衛でございます。」
ラージベルがデスラーと話す時と同じように右手を挙げてリィと話す。
「二人の時は今まで通りにしてほしいわ。」
リィも仕方なさそうに右手を挙げる。ラージベルはその姿を見て右手を下げた。
「そればかりは…リィ様のご希望に沿えそうもないですね。リィ様は総統の
奥様になられる方…。こうしてお話しする事も許される事では…。」
ラージベルが一歩下がって話す。
「もう…誰もがそうやって扱う…私は何も変わっていないのに。」
リィが口をとがらせる。
(いいえ、リィ様は変わられました。以前の侍従として働いていた時とは
全く違います。総統に見初められ美しくなられました。前も美しかった
ですが今は侍従のコスチュームを脱ぎあなたのその美しさを際立たせる
ドレスを身に纏い…)
ラージベルは心の中でリィに話しかける。
(更に美しくなられました…私がお相手だったら…あなた様をそこまで
美しく際立たせる事、出来ないでしょう。)
「…ラージベル…様?」
リィが急に黙り込んだラージベルの顔を見ている。
「あ、なにか御入り用ですか?お飲物でもお持ちしますか?」(ラージベル)
「ううん、いらないわ。」
デスラーが執務室にいるのでリィは執務室の隣に作られた小さな部屋にいた。いつもならサランが一緒にいるが侍従の仕事で外せない用事があってその部屋にリィと二人きりだった。
「本当に…忙しくなっちゃったみたいね。」
リィがつぶやく。ガルマンガミラスに戻ったら忙しくなる、とデスラーは言っていた。本当にその通りでそばにいる事は出来るけどシャルバートにいた時と全然違う。
「シャルバートにいた時の方が時間がゆっくり流れてた…」
デスラーは忙しかったがリィは仕事が無くなってしまったので時間がなかなか過ぎず一日が長く感じていた。
「明日、ですよね。総統とお出かけされるのは。」(ラージベル)
「えぇ…。」
リィの顔が少し赤くなる。明日は結婚式のドレスの合わせに行くのだ。昨日、仮縫いが終わった、と連絡を受けたからだ。
(リィ様の一生ので一番美しくなる日…私はお傍でお守りいたします。)
ラージベルは心の中でつぶやいた。
「でかしたぞ、ウルフ。」
ウルフからの連絡にデスラーが答える。
「タラン、さすがはウルフだ。ガルマンガミラスは永遠だ。」
デスラーとタランが握手をする。
<総統のご指示に従い惑星をいくつも探しました。やっと…見つける事が
できました。この星はまだ若く新生ガルマンガミラスにふさわしい星と
なる事でしょう。>
ウルフが母星になるべく星を見つけ出したのだ。ウルフも嬉しさを隠せない様子で手振り身振りの話し方だ。
「本当にご苦労だった…ウルフ。」
デスラーが改めてウルフを労う。
<いえ…総統のご決断故、でございます。一日も早くこちらの星で地固めし
総統をお迎えできるよう努めてまいります。>(ウルフ)
「いや、一度こちらに戻って来るように。」
デスラーがウルフに戻るよう指示をする。
<総統、一度戻っている間にここを別の民族が見つけてしまう可能性があります。
なので一部の兵士が残ろうと思っております。>
ウルフが自分が残るつもりでデスラーに伝える。
「ウルフは余の結婚式に出ないつもりか?」(デスラー)
<あ、いえ、そのようなつもりで言ったわけではございません。>
ウルフが否定をする。
「少しの間、兵がいなくてもそこが新生ガルマンガミラスだとわかるように
アンドロイドを置いてくるなり簡単な建造物を造るなりして戻って来る
ように。…タランは余の右腕…ウルフは余の左腕だ。よいな?準備出来
次第戻るように。」
ウルフはその言葉に右手を挙げて忠誠を誓う。
<もったいないお言葉でございます…ウルフ、用意出来次第、ガルマンガミラス
に戻ります。>
ウルフは満足そうなデスラーの顔を見ながら通信を切った。
作品名:ガルマンガミラス滅亡の危機6 作家名:kei