ダンガンロンパ・ファンタジック/リロード-Chapt.1-1
「おはよーございまーす」
今日香が学生食堂についた時、居たのは霊だけだった。
「あらおはよう。結構な荷物ね」
と霊が香の持ちモノを見て言う。
2つの紙袋を香は重そうに持ってきていた。
「今日、お菓子作りでもやろうと思いまして!」
「あら、これはタイミング悪い日に水泳勝負了承しちゃったわね……」
「しかたないですよー、クッキーいっぱい作るんであとで食べてくださいねー」
「そうね、楽しみにしてるわ」
次にやってきたのは楓とエーエル。今日は珍しくイティアが遅い。
「おはよう」
「おはようございます」
「エーエルさんってお料理苦手だったりするんですか?」
「ん?」
「え、いや別に……」
「いえ、今日お菓子作りの女子会しようと思ってたんですけど、エーエルさん丁重に断られたので何かあるのかなと……」
「ああ、こいつ強気に見えて意外とシャイだからなー。あんまり俺以外の人間と話すこともないし」
「あーなるほどー」
「誰がシャイですか、その無駄話しかしない舌はそのうちひっこ抜いたほうがよさそうですね?」
「あーはいはい俺にはいつも通りですねと」
(主に楓さんに対して)ドSなのは間違いなさそうだが、意外に他人とのかかわりが苦手……
そう、エーエルさんの新しい一面が見えた気がした。
続いてやってきたのはまたもや早いのは珍しい顔。
「おはよう、ハニーたち。今日も素晴らしいくらいの晴天だね!」
加藤である。
「あーめんどくさいのが来た」
とは霊の反応である。
「実は予想してました、なんとなくこの人の気だけ判りやすいんで……」
「気に判りやすいとかあるのか?」
楓はあまり香にとって今唯一判っている『気』の能力を知らない。
まぁ、これは誰にも話してないけど。
「一人で動いてる場合のみなんですけど、気ってやっぱりその人の特徴が出て、それで大体判るんですよ。
信念の強さとか、その他もろもろで」
「加藤の気はどんな感じなの?」
そこで、霊がそう聞いてみる。
「えと……どっちつかずでひょろひょろで……全然信念もなく、何考えてるかさっぱりタイプの気ですね;」
「ダメ人間以下じゃないですか……」
「おや、エーエルの頭の中でも俺以下って評価あるんだな」
楓からしたら今のエーエルの発言は意外な発言だった。
いつもなら『ダメ人間と同等』くらいで楓を弄りに行くはずだが。
「楓には少なくとも信念はあるでしょう、何考えてるかはさっぱりですが」
そういうと、納得できる回答が返ってきて、
「……それもそうだな」
たまにこういうところあるから困るなエーエルって。と思う楓なのだった。
「皆してボクに酷いね、ハニーも男たちも!
っていうかその『気』の能力が香ちゃんの才能なんだろう?
そうなると香ちゃんの能力は『超高校級のストーカー』とかじゃないのかい?」
まぁその間、見事に加藤は忘れられているわけだが。
目立とうとしてこんなことをいいだす。
「加藤、それお前が言えたことじゃねぇぞ絶対……」
存分に判りやすいくらいの苦笑いでなんとかここを済ませようとした楓だったが、
流石にこの加藤の軽率すぎる発言にはいつも静かな香も怒ったらしい。
「加藤さん……?」
いつもの香の声色とは違う、ドスの聞いた声が飛んでくる。
「な、なんだい……?」
その気配は気が判らない加藤でも判る。加藤は少しのけぞる。
「後で包丁持ってくるので腕一本くらい斬らせてくださいそしたら許してあげます」
その香の口からいきなり超物騒な発言が飛んでくる。
「え、ちょ、ちょっとどゆこと香ちゃん!?コロシアイとかそんな宣言じゃないよね!?」
「それくらい怒ってるってことです。大丈夫です殺しはしません。
まぁそのくだらない話しかしない口は使えなくしてもよさそうですけど……」
「あ、あえっと……ご、ごめんなさーーーーい!」
ダークモードの香に盛大に恐怖感を植え付けられた加藤は、
最後にジャンピング土下座で謝るのだった。
「……まぁ1度の過ちは誰でもおかすものです。でも、2度はないですよ?」
「は、はいぃ」
「香ってあんな一面あるのね……」
「香を怒らせたら命いくつあっても足らんなこりゃ;;」
「やっぱり"可愛い薔薇には棘がある"って所なんでしょうね……」
なお、それを見ていた約3名も、若干香に引いたそうな。
作品名:ダンガンロンパ・ファンタジック/リロード-Chapt.1-1 作家名:暗妖



