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ダンガンロンパ・ファンタジック/リロード-Chapt.1-1

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希望が峰学園プールは、学生宿舎2階と応援席が通路でつながっている構造になっていた。

その通路は学生宿舎の階段から見ると香の部屋の少し奥にある。

なお、さらにその奥には清掃と雪音の部屋があり、
さらにその奥には夜時間になると学生宿舎から入ることができなくなる非常階段がある。

ちなみに、朝の彼女曰く実験中の理科の部屋は雪音の部屋の向かいで、
3階に向かう非常階段側に位置していた。

その隣が恵美の部屋で、さらにその隣が牧園の部屋。
その隣でプールへの通路の向かい側に当たる場は学生宿舎2階と3階の吹き抜けのラウンジとなっており、
ちょっとしたパーティができそうな場所になっていた。

そのラウンジの隣に雲隠の部屋、さらに隣で香の向かいの部屋がイティアの部屋、
イティアの部屋の隣で一番3階への階段に近い部屋がギィズの部屋だ。

ちなみに霊の部屋、華の部屋は香の部屋の両隣で、華の部屋は階段側、霊の部屋はプール通路側にある。

残りのメンバーの部屋と先生の部屋は3階にあった。




香が応援席に着くなり、

「えーこれよりー、超高校級のスイマーこと華さんと、それに続く実力を持つ霊さんの2名による水泳対決を始めまーす!」

と妖が現れてそう宣言した。

「司会妖かよ!?」

楓がさっき理科からもらっていたクッキーを食べながらそれに突っ込む。

「だってさー、朝日奈先生は解説でしょー?
 それで、霧切先生と苗木先生は測定係になっちゃったし、
 日向先生と七海先生があなた達の見張り兼バカップルになっちゃったから私しかいないんだよねー」

「「バカップル言うな!」」

と観戦してる日向先生と七海先生がツッコミを入れた。というかいたのか。

「とまあそんな先生達の立ち位置はさておき、さて選手入場です!」

と乗り気で妖が進行するのだが

「もう入場してるって」

霊に突っ込まれた。

「…まあいいや、それじゃあ…3200m個人メドレータイムレース決勝の競技を行います!」


学園長空気を読まないなぁと内心思いつつ、朝日奈先生が用意の合図をする。

程なくして電子音とともに競技が始まった。



『まずは華っちが得意なバタフライ800m。
 ここで霊さんがいかについていけるかが勝負の大きな分け目になると思います!
 しかしやっぱり華っち早いわー。入りの50m、華っち24秒11、霊さん26秒21』

朝日奈先生の実況を聞きながら、観戦している香達は雑談を交わしつつクッキーを食べる。

「さすが超高校級のスイマーだな!もう早すぎてびっくりだ」

と楓が熱中している。

「というか…3200m個人メドレーを普通に実施するのにまず私はびっくりです…」

そう驚く香。

「……ごめ、ちょっとお手洗い……」

と、ここで恐らく恵美のクッキーを食べてしまったのだろう一輪が席を立った。

「あ……注意するの忘れてました;;いってらっしゃいです;」

「お、クッキーか。美味しそうだな、俺たちももらっていいか?」

「美味しそう」

クッキーに気付いた日向先生と七海先生。

「いいですよー、でも恵美さんのクッキーだけは気を付けてくださいね;」

「さっき一輪が喰ってたのがそれか……」

苦笑でご愁傷様、と呟く楓なのだった。


まぁその後も、被害者は続出するわけで、

「なんですかこれ……楓とは比べられないレベルでヤバいですよ;」

エーエルや、

「ぶっは……これはリアクションをとれっていうことなのかなぁ…?僕には無理だよ……」

加藤や、

「ぐへぇ;これ無理無理;」

ギィズや、

「これはひどい」

何とか平然な顔でトイレにダッシュした楓や、

「ぐはっ!?毒か!?」

「ち、違います違います……単に不味いだけです……」

毒と勘違いし真っ先にトイレに駆け込む骸や、

「みんなの気持ちが判るな……」

と言いながら青い顔をしてトイレに行く日向先生など、

香と七海先生以外の全員が一度はトイレに行く羽目になった。

「七海先生……むしろなんで平気なんですか……?」

なぜ耐えられる、と思った香である。香はどれか判っているので食べていない。

「不味いけど……吐くほどのものでも無くない?」

「あ。あはは……そうなんですかね?」

そんな少数派意見である……。



そうこうしているうちに、約30分の後、勝負はラスト100m程になった。

『3100m時点、華っち30分55秒29、霊さん31分7秒16!
 さあ迫ってきたぞ華っち!逃げ切れ!』

朝日奈先生の実況にも熱が入る。
今は華が30m程先行している状況。しかし霊は最後の自由形で怒涛の追い上げを見せる!

「がんばれー霊さーん!」

「負けるな華ー!」



応援も白熱した中、結果は……


『ゴールタイム、華っち31分56秒61、霊さん32分6秒88!
 華っちが約10秒差で勝利です!』


「いやー完敗ね。やっぱバタフライ苦手だわ私」

「いや、私と比べて苦手って言うのは間違ってると思うんだ……ともあれ霊もお疲れー!」

「また勝負したいわ。次は勝つ」

「こっちこそ、逃げ切っちゃうもん!」

と、二人が握手したタイミングで、

「ね〜華っちー、生きて帰ったら折角だし1度私の世界で最速チームでも作ってみようよー
 霊さんと私と華っちと私の知り合いで−」

朝日奈先生がこんな提案を。

「え、ほんとですかー!」

「人間の限界を見てみたくなっちゃうよ、ほんと」

観戦席からも拍手が上がる。

「すごいですよふたりとも!」

「結果は華の勝ちだけど、2人とも超高校級レベルだね!
 でもやっぱり超高校級のスイマーは華ちゃんだって証拠を示した感じだね!」

と加藤。素直に凄い。

「今度は2人が協力したメドレーリレーなんかも見てみたいな…」

「それはそれですごいタイム叩きだしそうだなぁ……」

と一輪が呟く。

「さて、健闘をたたえてより大きな拍手を――」

ここで妖がそうまとめようとするが

「って、妖?もう2人とも着替えに行ったよ?」

朝日奈先生がそう拡声器を使って報告。

「かくっ、なんで私がいいところに持ってく時に限って2人とも空気読まないのさー」

貴方も大概でしょうが。

「だってあと15分で夜時間だもの。
 さすがにこんなすごい勝負をしたのにシャワー使えないのは酷でしょ?だから私が許可したの」

「あ…それもそうか…じゃあこれにて解散ってことで−!
 今日は学園長アナウンスしない予定なんでー。」



そして皆は興奮冷めやらぬ感じで解散した。
2人の勝負は、皆の気合を入れ直す意味でも、大きな影響があったようだ。


しかし……


「あれ……」

香の"気"を読む力が、




違和感を、知らせた。