ダンガンロンパ・ファンタジック/リロード-Chapt.1-1
2階、衣服売り場に華をはじめとした水着決めの一同が居た。
「おっ、霊きた!ってお疲れ様だねー」
香達3人を見かけた華が労をねぎらう。
「主にイティアに負担かけてすまないと思っているわ」
その霊の言葉通り、重い危険な薬のケースを持っているイティアが大変そうに見える。
「あ、あはは…私とイティアさんの労力が違いすぎますけど……」
「このくらい、平気……」
香が凄く悪い気がしている。
が、イティアは平気らしい。
ふと周りを見ると、既に牧園・恵美・雪音・清掃・楓・エーエル・一輪・雲隠は来ており、各々水着を選んでいる。
「さーて、せっかくだし競泳用の水着新調しましょうかねえ」
「私もそのつもり!」
「あ、私は皆と一緒に普通の水着選んでこよーっと」
「私も、そうする…」
超高校級のスイマーと、彼女曰く『趣味』ながら実際は華に匹敵するくらいには早い霊…そんな水泳部2名は競泳水着を、
あと全員は普通の水着を見に行ったのでした。
「私どうしようかなー」
と、香が水着を迷っている所、
「香ちゃんだったらこれどう?」
近くに居た牧園が、アロハな感じのスカートの付いたワンピース型の水着を取って渡す。
「緑地に白のアロハ柄って珍しいですね……」
と香は渡された水着に苦笑いだが、
「でも、香ちゃんのその髪飾りとあってると思うんだ!」
牧園がそう言って指差したのはこれも香の宝物である、鈴蘭の髪飾り。
香の茶色の髪の中で、それは香のシンボルでもあるかのように、存在感を放っている。
「なるほどー、なら折角ですしこれにさせていただきますね!」
よく見てるなー牧園さん。って思いながら、香は折角だしそのままそれを選ぶことにした。
「いえいえ。さて私も探さないとなー」
「私も一緒に探しますよ、お返しってことで」
「あ、ありがとー」
少し香と牧園はそう水着選びを楽しんだ。
……ちなみに、牧園はスリングショットと呼ばれる、かなり過激な、グラビアでしか見かけない気がする水着を選んだ。
しかし平気で着こなし、さらに平然としている分、流石"グラビアアイドル"だな、と思う香。
ただ、……そのあとで、お揃いの競泳水着着た水泳部2人を見る。
「どう?これ」
霊がそう感想を聞く。だが、
(やっぱり風格が違うなあ…)
と、全員が思ったそうで、反応は帰って来なかった。
反応が返ってこなくてつまらないのか、
「せっかくだし、海行こうよ!北東の海岸は今でも行けるよ!」
とそのまま華が提案した。
「他のメンバーも呼んでさ。理科ちゃんとか!」
「いや……ギィズは、やめたほうが……いいと、思う」
「いやいや、ここは親交を深める意味でも、全員呼ぶべきなんだよ」
ギィズだけはやめるべきだと言うイティアに反論する華。
「え?」
「だって、一人ぼっちになって、ここの世界でぼっちになったらどうなるか…
イティアちゃん考えてる?」
「……あ」
「そう。学園長の"動機"に耳を傾けさせてしまって、
コロシアイの危険性が増すだけなんだよ」
華がそう諭す。
「……それなら、しかたない。
あいつは女たらし、だけど……人を、殺すような……奴じゃ、ないから」
「そうと判れば決定ね!皆に電子生徒手帳のSNS機能で連絡するよ―」
華の企画したこの海水浴の誘いには、全員参加の返答が返ってきた。
理科なんかは"やば、そうなったら急いで水着持ってこないと!"とか大慌てで
その連絡の10分後位にデパート2階にやってきた。
「理科ちゃん、今まで何やってたの?」
そこで、牧園と香が理科の水着選びにも付き合う事になった。
こんな話を振りながら、理科の水着を選んでいく。
「勿論実験!」
即断言。さすが化学者。
「こんな状況でも実験するんですね……」
凄いなーとか思いながら香がそう呟くと、
「勿論じゃん!この状況を打開する発明ができれば、それで助かるかもしれないじゃん!」
そう力説がかえって来た。
「あーなるほどー」
「だから、皆の為にも頑張らないといけないし、頑張るよー」
ちなみに、結果的に理科の水着は何の変哲もない青基調のタンキニになった。
どうせ白衣は脱がないつもりだし、普通の服に近いこれでいいよ、って言っていた。
作品名:ダンガンロンパ・ファンタジック/リロード-Chapt.1-1 作家名:暗妖