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機動戦士ガンダムSEED DESTINY~Flugel~

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ダーダネルス海峡上では激しい戦闘が繰り広げられていた。
イージス艦からの対空ミサイルランチャーや対艦ミサイルランチャーが次々と放たれ、モビルスーツ隊の援護やミネルバをけん制する。

「…っ、えええぇぇいっ!!」

オーブと戦う。
そう思うと頭の中にかつての家族の姿がちらつく。
そんな未練を断ち切るようにシンは叫びながらビームサーベルを振るう。

迫りくるムラサメのビームライフルを避けながら近づき胴体を一閃。間髪入れずに攻め込んでくる機体に返す刀で胴体から一閃する。

少し離れた上空ではアスランのセイバーがミネルバへの砲撃を撃ち落とし、近くにいるアストレイの武装やメインカメラを狙って戦闘不能にする。

「くっ…」

戦う決意はすれども、なるべく死人は出したくないという思いからである。

海上を進むミネルバ艦内では、タリアが一つの決断をしていた。
(このままでは海峡を塞がれる、そうなる前に手を打たないと…。背後にはまだあの母艦がいるはず)

「取り舵30、ターンホイザーの射線軸をとる。海峡を塞がない位置ににきたら一気に薙ぎ払う」
「は、はい」
慌てながらアーサーが了解の返事をする。

ターンホイザーはミネルバに搭載されている武装の中で最も火力のある武装である。が、陽電子砲であるため連続使用はできず、また環境にも少なからず悪影響を与える。

「ターンホイザー軸線よろし!」
「よし起動!照準、敵護衛艦群」
「はっ!ターンホイザー起動、照準敵護衛艦群。プライマリー兵装バンクコンタクト、出力定格、セーフティ解除」
ミネルバ全面にあるハッチが開き、砲身が前へとせり出し、陽電子光がちらつく。

そんな様子を、離れていたタケミカズチ艦内でも捕捉した。
「敵艦、陽電子砲発射態勢!!」
「退避っ!面舵20!」

時すでに遅し。
回避動作を取ったとしても、とても避けきれるものではない。

「撃てーっ!」

無常にもアーサーの発射命令が下る。
まさに今発射される

その瞬間


上空から一筋の閃光がターンホイザーの砲身を貫いた。

エネルギー充填を行っていた砲身は大きな爆発を起こし、艦全体を振るわせる。

「なんだ!どこからっ…!」

シンが敵影を探して周囲を見回す。
すると上空から迫りくる見慣れない機体が現れた。

白と青を基調にしたトリコロール。背中には特徴的な羽が開いている。

「あぁ…、フリーダム…キラ!?」

初めて見るシンとは別に反応したのはアスランであった。

アスランとキラは幼馴染であり、一度は敵対するも和解し、前大戦終結まで共に戦った親友である。

「ターンホイザー被弾!FCSダウンしました!」
「消火急げ!FCS再起動!ダメージコントロール班待機」

ミネルバ内ではパニックになりつつ、艦長の適切な判断で着水姿勢をとる。

「着水する!総員衝撃に備えよ!!」

突然の介入に一時戦闘は止まり、ミネルバに手を出す機体はない。
大きな水しぶきを上げながら、ミネルバは着水する。

ターンホイザー攻撃後、動かずに停滞していたフリーダムの背後からアークエンジェルが現れる。
更にアークエンジェルのハッチが開き、一機のモビルスーツがフリーダムに並ぶように躍り出た。

機体の色は赤に桃色を基調として背中にはオオトリのストライカーパックを装備し、左肩には獅子とユリの花が描かれている。

ストライクルージュ

それがその機体の名称であった。

「私はオーブ連合首長国代表、カガリ・ユラ・アスハ!」

突然ストライクルージュから全戦場に向けて声明が拡散して流れる。

「なっ!?」

その一言は戦場にいるすべてに混乱を与えた。
カガリが拉致されたことは公にはされていないが、軍内部では知ることとなっていたからである。
その元首が急に戦場に現れたとあっては混乱は避けられない。

「オーブ軍、直ちに戦闘を停止せよ!軍を引けっ!
 現在訳あって国本を離れてはいるが、このウズミ・ナラ・アスハの子 カガリ・ユラ・アスハがオーブ連合首長国代表首長であることに変わりはない!
 その名に於いて命ずる、オーブ軍はその理念にそぐわぬこの戦闘を直ちに停止し、軍を引けっ!!」