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銀魂 −アインクラッド篇−

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・・・

『ソードアート・オンライン』
第七十四層 カームデット郊外 鉱山地帯

リンダースの痩せこけた男からの配送依頼はとても複雑かつ大変だった。
まず、痩せこけた男が作ったという何かの設計図を鉱山地帯に住む友人へと届け、そこで設計図に示された鉱石を受け取り、次に第一層のはじまりの街にいる加工職人の元へ鉱石を運びそれを加工、加工を終えた鉱石を次は第四十七層のフローリアからやや離れた森にいる木工職人へと配達してほしいという依頼だった。複雑な配送依頼の為、かなり値が上がるが大丈夫という問いに対し、依頼人から元値をはるかに超える額を用意してくれるとのことだったので、必要としている各階層の人たちの為にも、目の前の男の人の為にもサムはその依頼を受理することとした。

やせた山と岩に囲まれたカームデットの街へと移動した3人はそのまま鉱山地帯に入る。辺り一面に間欠泉が存在し、アインクラッドにこれから冬がやってくることを忘れさせてくれる程とてもジメジメとして蒸し暑く、銀時と土方の汗腺から大量に汗が噴き出す。
「あの、ギンさん。それに、トシさん。汗すごいけど・・・・大丈夫?」
「え゛っ!?何゛ッ!?べ、べつに暑いとか思ってませんけどッ!!?」
「おい、むむむ無理してんのバレバレだぞッ!!?あああ暑゛いなら暑゛いって、いいい言えば良いじゃね゛ぇがッ!!」
「お前こそ無理すんじゃねぇぞッ!!?暑゛すぎるのかなッ!!?額からマヨネーズ吹き出てますけどッ!!?」
「そそそそいつは都合良゛い゛ッ!!念願のマ、マママ・・・マ゛ヨ゛ッ・・・」
「おッ・・おまッ・・・暑゛くてッ声でてな゛ッ・・・」

「あの〜・・・大変なら僕運びますよ?僕は慣れていますので・・・ははっ」

「「うるせェェェェェェッッッ!!ガキは黙って大人に頼りやがれェェェェェッ!!!!」」
「は、はいっ!すみませんっ!!」

仲が良いのか悪いのか不明だが、何故かこういう時にだけ息がぴったりの2人に圧倒をされつつもサムはその2人に自分の身を任せた。無意識なのか2人の口からは「暑い」「重い」「しんどい」と連呼をしているので、やせ我慢をしているようにしか見えなかった。

「あれれ〜・・・土方くん。なんか歩くの遅くなってない・・・?はぁッ・・・はぁッ・・・まさかラフィン・コフィンの討伐をしているギルドの副長様がこんな程度で根を上げるわけないよねぇ〜・・・・はあッ・・・はぁッ・・・」
「おいおい誰に口聞いてんだあ゛ァ゛ッ・・・てめぇこそさっきから息上がってんじゃねぇか・・・その頭の天パーも心なしかチリチリになってますけどぉ?ウー〇ー・ゴールド〇ーグぐらいチリチリになってますけどぉッ!!?」
「誰の頭がウー〇ー・ゴールド〇ーグだアァ゛ッ!?あのチリチリは自らチリチリになっただけだからッ!! ウー〇ー・ゴールド〇ーグがラブソングを歌うためにわざわざチリチリにしただけだからッ!!むしろウー〇ーになれるなら本望だわッ!! ウー〇ーでハッピーになれるから余計に本望だわッ!!」
「どこの誰がウー〇ーになれっつったッ!!てめぇごときがウー〇ーのあの声量出せると思ってんのかゴラァッ!?てめぇは天使の歌声じゃなく悪魔の唸り声がお似合いだわッ!!ラブソングよりデビルマン歌っているのが一番お似合いだわッ!!」
「ア゛ァ゛ッ!!?デビルマンは悪魔の力を身につけた正義のヒーローだからッ!!見た目あんなんだけど一応ヒーローだからッ!!デビルチョップ食らわせたろかア゛ァァッ!!?」
「上等だッ!!どちらが先に身体にデーモン宿して目的地までたどり着けるか競争だゴラ゛ァァァァァァァッッッ!!!!」

「あっ!え、ちょっと!」

―――次の瞬間、銀時と土方は加速!
道なき道を走り抜き、無骨な大岩も軽々と飛び越え一気に目的地へ向かっていく。
先に銀時が前に出たと思いきや、土方からの「デビルキック」が右足の脛に炸裂、次に土方が前に出たと思いきや、お返しと言わんばかりの「デビルチョップ」が銀時から放たれ、土方の首が負傷、なぜ仲間通しでここまでするのか・・・と、その2人の奇怪な行動にサムは恐怖を感じていた。
「・・・そうだっ!ギンさん!!荷物壊れちゃいます!!もっと慎重にっ!!あと喧嘩もダメですよっ!!」
サムの警告が聞こえていないのか、二人は我を忘れたかのようにあの手この手で互いを妨害しつつ、ようやく見えてきた目的地の山小屋の入口に向かって突進、勢いよく小屋に突入した!
「「どうも、裏切者の名を受けて全てを捨てて戦う男ですッ!!」」
「い、いいえ!アルゲード・デリバリーです!」
「びっくりしたっ!だ、だよね!?デビルマン来られても困るからねっ!」
突撃してきた2人の大人に山小屋の主は初対面なのにもかかわらずツッコミ、あまりにも失礼な行動にサムは何度も何度も頭を下げるものなので肉付きのよい無性髭を生やした40代前半ぐらいの山小屋の主は「大丈夫だよ」と彼を落ち着かせた。

「まさかこんなに早く到着するとは思っていなかったよ。彼からメールがきてからまだ2時間も経っていないのに。いや流石だ。さてと・・・なるほど。この鉱石が必要なのか。最前線で戦うプレイヤーに使用する剣に使用するものだ。こんな貴重な鉱石を必要とするとは――――あぁ、すまない。立ち話もあれだから、少しそこでくつろいでくれ」

男はサムから受け取った設計図を見て髭を触りながら独り言を呟き、3人をソファへと誘導させた。

・・・

――――カン、カン、カン・・・と男は慣れた手つきで鉱石を叩き削る。
配達を終えてから30分が経過、大人二人は相変わらずデビルマン討議を繰り広げており、聞くに堪えなくなったサムは男の作業を邪魔しない程度に話しかけた。
「いつも、一人で作業を行っているのですか?」
「あぁ。昔から一人が好きでね。このゲームに囚われて以来、色々な層を移動して作業を行っているんだよ。とても、前線で戦えるような腕前はないからね。・・・でも、現実―リアル―に比べたら今のこの仮想での生活が充実しているよ。毎日残業に追われて日々生きるのが苦痛だったもんで。おっと・・・現実の話はタブーだったね。すまんすまん」
「いえ、別に大丈夫ですよ!気にしないでください!気分転換にもなると思いますし、どうぞ続けてください!」
「優しいね坊や。ははっ・・・これでも私はとある企業の部長だったのさ。きっと、名前を出せば一度や二度は聞いたことがある会社だよ。そんな人がこんなゲームをしているだなんておかしいだろう?私にもね・・・坊やよりもう少し大きいぐらいかな?息子がいるのだよ。反抗期なのか全く言う事を聞かなくてね。そんな息子がとある日、このゲームを手に入れてあまりにも浮かれているものだったから私は取り上げた。まぁ〜それが罰当ったのかな?そんなに面白いものなのか息子よりも先に興味本位で起動させてしまってね。この有様だよ」
「そうだったんですか・・・でも、そのおかげで息子さんは―――」