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銀魂 −アインクラッド篇−

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「まぁ、結果的に息子一人を囚われる事態は回避できたけどね。ただ・・・この仮想の現実だっていつまでも続くわけじゃない。いずれ、どの様な物でも終わりの時がくる。その時、あちらの世界で息子や妻、部下達は私を快く迎えてくれるだろうかねぇ。今でさえ、2年近くの時間が流れているんだ。この時点で現実の情勢は間違いなく変わっている。私が居なくなった空白は埋まっている。・・・すまないね。少し難しい話になってしまったよ」

サムは幼いながらも男の話は全て理解していた。
この世界に囚われてから長い時間が経過している。さまざまな人たちとの交流のおかげで現実―リアル―では得られない知識を得ているつもりだ。だから、この男の言葉の意味も察することができる。

あと、何年待てばこのゲームから解放されるのだろうか?

だけど、解放された後に自分の帰る場所はあるのだろうか?

囚われている時間が長くなるほどそのような不安が頭を過ぎる。

「生きてさえいれば良いことはあるさ」
「え?」

ふと、デビルマン討議をしていた銀時が話の間に入ってきたので突然のことにサムは驚きを言葉に出してしまう。銀時は頭をわしゃわしゃとかきながら話を続けた。

「たとえ、帰る場所が無くったって必ずあんたを迎えてくれる人がいるはずさ。もしそれが失われていたとしてもよ、無くなっちまったもんは取り戻せねぇが、今、あんたが作っている『それ』みたいに、生み出すことはできる」
銀時は男が加工していた鉱石を手に取り、それを男の胸に差し出した。
「この石っころみたいによ、誰かに手を加えてもらえば石だろうが価値が生まれる。あんたにはそれができる。だから、現実から目を逸らしちゃいけねぇ。もがいてもがいて、もがきにもがきまくって歩き続けろ。それが人生だ」

銀時から差し出された鉱石を男は受け取る。
不思議と安心したのか男の顔に笑顔が戻っていた。

「ありがとう。君の言うとおりかもしれないね・・・残りの人生、もう少し努力してみるのも悪くなさそうだ」

土方もどこか満足そうに鼻を鳴らしながらほんの少しだけにやりと笑った――――。