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銀魂 −アインクラッド篇−

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・・・


『ソードアート・オンライン』
第一層 はじまりの街 商店街

加工を終えた鉱石を受け取った3人は次の目的地である「はじまりの街」を訪れた。銀時は決闘の件もあってじろじろと多数の視線が突き刺さる中、お構いなしに商店街を歩く。
「この街に来るのも久しいな。お前も最初はここに来たんだろ?」
「ああ。丁度、この外のフィールドでキリトと出会ってよ、いろいろと教えてもらった」
「あの・・・ギンさん?なんか街の人たち心なしかずっとギンさんの事を見ていませんか?」
「いや、別に。ただ酒注いでコスプレしただけだ」
「へ?・・・・そ、そうですか・・・」
銀時の言葉の意味がさっぱり理解できなかったサムは目的地まで二人を誘導する。サムにとってもはじまりの街に訪れるのは久しぶりだった。階層が解放される度に人々の拠点が移り変わる。この第一層に商いもせず永住をしているプレイヤーのほとんどが前線に立つことができないやや高齢の人々である。並大抵の物資は第一層で事足りるので配送以来はほとんど発生しないのだ。
「おい、なにかフードとか持ってないのか?てめぇは気にしなくても俺が気になるんだが」
「鬼の副長様が今更何を目線気にしてんだ。目線が突き刺さった程度であーだこーだとぬかしてんじゃねぇ。あ、そっか。お前は他人を突き刺しても突き刺されたことないんだもんね。高橋○典さんみてぇにズッコンバッコン突き刺しても突き刺されたことはないんだものね」
「だれが特命係長だゴラ!高橋○典さんは闇雲にズッコンバッコン突き刺してるわけじゃねぇから!!会長から特命を受けて事件の真相を掴むべく磨き上げた己の身体を駆使しているだけだから!!梅宮さん見習って日焼けもしたし、もう日焼けしすぎて高橋さんの身体は鉄(くろがね)の城だから!!」
「ほう?だったらてめぇも高橋さんみてぇに何発もロケットパンチ持ってんの?高橋さんみてぇにベッドの上でパイルダーオンしたり下からブレストファイヤー出すことできんの?ちょっとマジンパワー開放してもらってもいい?」
「いやもうそれただのマジンガーZだろうがァァァァァッ!!!!光子力ビームかませたろかア゛ァ゛ッ!!?」
「やれるもんならやってみやがれ!!てめぇなんざルストハリケーンだけで十分だゴラッ!!」
「うぉッ!き、きたねぇだろうが!!もう許さねぇッ!!」

銀時の口から放たれたルストハリケーン(唾)の直撃を受けた土方は頭に血が上ったのか再び戦闘を開始する。サムは心の中で「もう勝手にして・・・」と呟きながら土方に再び身を託し、二人は戦闘を開始しようとした。

―?――その時、遠くから何かが崩れ落ちるような音が鳴り響いてきた。ここまで聞こえてくるということは余程の大惨事なのではないか?銀時たちは大急ぎで音が聞こえてきた方向へ走り始める。
「おい!こっちから聞こえてきたよな!?」
「あぁ、間違いねぇ!」
「一体何があったのでしょうか?」
街角を曲がり小路へと入る。道は狭く大人二人が並列するのがやっとだ。すると、そんな狭い小路に大量に積まれていたであろう木箱が散乱しており、その崩れ落ちた木箱の中心に70代後半程度のやせ細った老人が押しつぶされていた。考えるより先に身体が動き、すぐさま大量の木箱をどかし老人を救出する。

「お、おい爺さん大丈夫か!?」
「あ、あい・・・痛てて・・・・いやはや、物を取ろうとしたら失敗こいちまっただよ。HPがちょっと減っちまったなぁ」
「NPCじゃねぇ、間違いなくプレイヤーだ・・・何故だ?」
土方のその言葉にサムも同意見だった。先ほどの階層で出会った人物のような諸事情ならともかく、これほどのご高齢の方がこのゲームをプレイしていることは滅多に、いや、ほぼあり得ないからだ。何気ない気持ちでサムは老人のプレイヤーネームを見る。すると、その名前に見覚えがあった。何故なら、次の配送先の加工職人だったからだ。
「いや、こんなところに人が来るなんて物珍しい人たちだねぇ。おや、坊や。君のその恰好は――」
「「はい。空にそびえるくろがねの城です」」
「いえ、アルゲード・デリバリーです。マジンガーではないです。配送依頼を受けてここまで来ました」
「マジンガー・・・?うむ、最近の若者の流行りはさっぱりわからないなぁ」

・・・

加工職人の店は小路からそこまで遠くはなかった。
銀時は背中の荷物をサムに託し、老人を背負いながら指示された通りに道を歩いていく。店は大通りからかなり離れたところに位置し、店の前を通りがかるプレイヤーは一人もいなかった。店の中は薄暗くも非常に整理されており、このような場所でも固定顧客がいるのか、加工に使用する工具は全て年期が入っているかのように使い古されていた。

「しかし、噂には聞いていたがお早い到着だったねぇ。しかもまだこんなに小さな坊やが運んでいるとは。恐れ入ったぁ」
「いえいえ、滅相もございません。ここでこの鉱石を加工して頂けると伺っていますが・・・」
「もちろんちゃぁんと聞いているから安心せぇ。まぁ丁度お昼時でもあるし、どうだい?そこのお二人さんも食べていかんかねぇ?」
「いや悪いが爺さん。俺たち一応、今は商売人であって――」
「それではお言葉に甘えて頂きます。できればラグーラビットのシチューで」
「てめぇはちょっとぐらい遠慮しやがれッ!!仮にも高齢者なんだぞッ!!」
「ファファファッ!別に良いんだよぉ、こうやって『動いている』ことが好きなんだよぉ」

舌足らずな笑い方をしながら加工職人は店の奥へと入っていく。姿は見えないがキッチンから「ラグーラビットは無いがただのシチューでも構わんかぃ?」と問われたものなので、サムが率先して大丈夫ですと返答した。それから数分もしないうちに見た目に対して俊敏な動きをする職人が慣れた手つきで人数分の皿をテーブルの上に置き、大きな鍋からシチューをそれぞれの皿に注ぐ。

「爺さん、あんた見かけによらず動けるんだな」
「そりゃこの世界は『ゲーム』だからねぇ。あちらではできないことがこちらではできるんだよぉ」

あちらというのは、おそらく現実世界のことだろう。たまに忘れかけるが自分たちはゲームをプレイしているのだ。現実世界ではもちろん剣を所持することができないし、モンスターだって現れない。
三人はテーブルに座りスプーンを手に取った。料理スキルも所持しているためか味もなかなかのものでサムは一度動き出した手が止まらなくなる。

「おいしい!おじいさん、このシチューすっごく美味しいですよ!」
「おおそうかぃ?趣味程度で初めてみたんだが奥が深くてねぇ。休日はずっと練習をしているんだよぉ」
「なぁ爺さんよ。あんた、なんでこのゲームを始めたんだ?言っちゃぁ悪ぃが、あんたとはこのゲームと縁がねぇだろ」

銀時はさり気なく職人に質問をしたが、それを聞いた職人はスプーンを口に運ぶのをやめ、皿に置いた。土方は馬鹿野郎と言わんばかりに銀時を睨みつけ、流石にまずかったかと質問した本人も一筋の汗を流した。