銀魂 −アインクラッド篇−
第十七訓「世界の目覚め」
『銀魂』
・大江戸 かぶき町 万事屋銀ちゃん
「・・・よし、ようやくできたぜ。おい、ちょいとこっちにきてくれ」
正午を迎えようとした頃、源外は右手にレンチを持ちながらその手で額の汗を拭う。銀時と土方を寝かせている寝室から何かの作業を終えたのか、応接間で待っていた新八と神楽、昨日から押し寄せてきたお妙達一行を呼び出した。
新八達が部屋の中に入ると、銀時の頭部に装着されたナーブギアに何やらがちゃがちゃとした無数の無骨なからくりが装着されていた。
「源外さん、銀さんのナーヴギアから繋がっているそれは一体何ですか?」
「こいつは銀の字へ『声』を届けるためのからくりだ。本当はこちらへと精神を呼び寄せる為に作っていたんだが・・・まぁ、いろいろと問題が多発して無理だった訳だ。だがな、せめてこっちからの声援を銀の字に送り届けてやれば、まあ多少は励みになるんじゃねえかなっと思って作らせてもらったぜ」
「僕たちの声を銀さんに届けるってことですか?」
「ああそうだ。これでもかなり苦労したんだ。今のかぶき町にある機材だけじゃこれを作るので精一杯だ。そこでいびきかいて寝ている猫耳女に徹夜で走り回ってもらったもんで助かったぜ」
部屋の片隅ではキャサリンが大の字で大きないびきをしながら爆睡していた。よほど、走り回ったのだろうか、着物はひどく汚れていた。また、その近くには見たことのない計算式が掛かれた書類の束がびっしりと散らばっている。かなり苦労をしていたことが伺える。
「銀ちゃんから返事くるアルカ?」
「悪いがこちらからの一方通行だ。俺達が一方的に喋るだけであちらからは返答をすることはできねえ。それと、こいつを使えるのは10秒間だけだ。ミリコンマ1秒でも多いと銀の字の頭は無くなったも同じ、外部からの異常と認識されて内部の高出力マイクロウェーブが作動しちまう」
「それなら、銀さんに伝えたいことを事前にしっかりとまとめておかないといけないわね」
「妙ちゃんはこの男に何を伝えるつもりだい?」
「それはもちろん・・・銀さん、新ちゃんと神楽ちゃんが心配しているから早く帰ってきてくださいね・・・かしら?」
「妙ちゃんらしいね。寿限無寿限無ウンコ投げ機一昨日の新ちゃんのパンツ新八の人生バルムンク=フェザリオンアイザック=シュナイダー三分の一の純情な感情の残った三分の二はさかむけが気になる感情裏切りは僕の名前をしっているようでしらないのを僕はしっている留守スルメめだかかずのここえだめめだか・・・このめだかはさっきと違う奴だから池乃めだかの方だからラー油ゆうていみやおうきむこうぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺビチグソ丸も今のうちに銀時に伝えたいことをしっかりとまとめておくんだよ」
「キキィ!」
「若!・・・じつは、私は昔から若のことが・・・っ!」
「東城、お前はまだいたのか?」
「私は最初から決まっているから今すぐ始めても大丈夫よ!あぁ・・ついに私から銀さんへの愛のメッセージを伝える時が来たのね・・・!」
「猿飛、何も告白大会を始めるのではなく、銀時に声援を送るだけであって―――」
「なによツッキー!だったらあなたは銀さんになんて伝えるのよ!今ここで言ってみなさいよ!」
「わっち?わっちはただ、元気にしておるか?とか、体を大事にな・・・と、伝えるつもりじゃったが」
「折角だし、この際に月詠姐も銀さんに気持ち伝えてみたら?俺、月詠姐が毎晩、告白の練習している事知っているよ!」
「な゛っ!何を訳のわからないことを言っているんじゃ晴太!違う!違うからね!?今度、吉原で開催される予定の演劇に百華も出演することになったからその練習をしていただけだから!その演劇の内容が昼ドラみたいな内容でそのヒロイン役に何故かわっちが推薦されたから仕方なく練習をしていただけだから!」
「えっ・・・でも、壁に向かって練習をしているのかなって思っていたら、そこに銀さんの写真が―?――」
「どのような相手にでもちゃんとセリフを言えるように奴の写真を張っていただけだからっ!!あんな死んだ魚のような目をした世の中の豚共の代表的存在に奴の写真を使っただけだからっ!!!!奴相手に告白しているわけじゃないからっっっ!!!!!!頼む晴太!もうわっちの事を話すのをやめてくれっっっ!!!!!!」
『この男を通して、桂さんにエールを送ろう』
『ずっと話してないからとても心配だ・・・』
「いや、プラカードじゃ何も伝わらないから。声に出さないと意味ないから」
新八はエリザベスと話しながら、再度、銀時の顔を見据える―――。
身体中は色々な理由でボロボロだが、こんなにがやがやとうるさいのにまるで熟睡をしているかのようにピクリとも動かない。
自分達の声が目覚めるきっかけになってくれるだろうか?
早く目覚めてほしい。
新八の想いは、それだけだった。
「よし、全員の準備ができれば大丈夫そうだな。あともう一つ伝えておかないといけねえ事があるんだが・・・俺達の声が銀の字のもとにいつ届くのかはわかんねえ。それだけは覚えておいくれ」
源外はからくりに繋がれたマイクを取り出し、それを新八に渡す。
新八はそれを受け取り、胸元に寄せた。
「僕たちの想いを・・・銀さんへ―――」
「銀ちゃんに届くカナ?私たちの想い」
自分達ができる最後の悪あがき。
必ず伝えよう。
新八と神楽は窓の外を見る。
そこには、雲一つない青空が広がっていた―――。
作品名:銀魂 −アインクラッド篇− 作家名:a-o-w



