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銀魂 −アインクラッド篇−

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銀時から押し寄せる斬撃は確実な力量、角度、速度で抑え込んでいる筈なのだが少しずつではあるものの捉えきれなくなってきたのだ。銀時は刀身を振り下ろしている最中に手首を捻りつつ変則的な速度で微妙に刃の軌道を変えている。

刃は非常に脆く、基本的に腕より伝わる力は刀身が縦の状態のみでしか受け付けてくれない。ほんの少しでも力加減を間違えると刃に負荷が発生し、最悪、ぽっきりと折れてしまうのだ。

なので、言葉にすることは簡単なのだが、そのような芸当ができるのは幾多の戦いを潜り抜けた強者だけである。それも、一度放った斬撃と同じ動きは絶対に繰り返さない。理由は単純だ。同じ動きはすでに学習されているからだ。

だが、それ以上に彼を奮い立たせるものの正体は何か?

「貴様を強くするもの・・・これが魂の力だというのか?」
「あぁ、今のてめぇにはわかんねぇだろ!」
「ぐっ・・・されど、貴様の体はすでに限界を迎えているはず!」
「体がボロボロになろぉが諦めねぇ限り魂は砕けねぇッ!それに、今の俺の中にある魂は一つじゃねぇッ!!俺に託されたあいつらの気持ちはッ・・・・機械―からくり―ごときに計算できる代物じゃねぇぇぇぇぇエエエッッッ!!!!」

銀時の黒刀は左から右へと地面と平行するように宿敵の腹部を刻む。
「な゛ッ―――!」
大きな赤いエフェクトが現れ、HPバーがグイっと減少した。
「ッ・・・・。」
だが、宿敵は大ダメージを喰らったにもかかわらず、微動だにしない。
そのような状態の彼に銀時は少々恐ろしくなったのか二、三歩後ろへと下がった。


「――――。」
「ちったぁ、効いたか?」


今の斬撃は銀時の渾身の一撃でもあった。
先程の緊張感が無くなってきたためか、次第に己の身体の節々より痛みにも似た痺れが押し寄せてくる。


「・・・・っ・・・・くく・・・」
「あ?」
「くくくっ・・・・はははっ・・・・あはははははっ・・・っ!」


笑っているのだろうか?
肩をしゃくりあげながら次第に体を揺らすほど大きくなっていく。
その彼の姿に周りのプレイヤー達は言葉を失った。


「てめぇ、何がおかしい」
「はははッ・・・ふぅ・・・・・・笑止。メガ笑止・・・いや、これはギガ笑止以上のテラ笑止だ!」
「なんだテラ笑止って!しょ〇たんでもそんな使い方しねぇよ!」
「魂と魂の共鳴・・・絆の力など、ただのプラシーボ効果。俺が負ける筈がない!」
「だったらてめぇのその姿は一体何だ!その身体中に表れている赤い表示が何よりの証拠だろぉが!」
「確かに・・・貴様の力は俺の想像の遥か先にも及んだ。これは無念――――だが」


宿敵は、銀時に背を向けながらその二人の間の距離を広げる。

―――何か仕掛けてくる。

銀時は黒刀を構えなおした。


「その力があったとしても、人間は機械・・・いや、AIに勝利することなど不可能。今、俺がそれを証明する」


宿敵は何故か黒刀を鞘へと納める。しかし、柄から手を放さずそのまま腰を低くし抜刀をする体制を取る。
「居合の構えだと・・・?」
その型は、居合斬りの構えだった。しかし、あまりにも距離がありすぎる。一体何をするつもりなのだろうか。


「貴様は、確かに強い。だが、俺の唯一のソードスキルの前には足元にも及ばない。見せてやろう。エキストラスキル『断空斬』を所持するプレイヤーにのみ許される隠された片手剣最上位スキルの御業を――――」


その瞬間、キリトは察知した。
彼の技は間違いないく回避することはできない。どのようなソードスキルなのかは不明だが、キリトの長年の経験が自身にそう訴えかけているのだ。

(今までの彼の立ち回り、それにあの型、今まで以上のが確実にくる!駄目だ!!おそらくあれは回避してどうこうするという話じゃない!!)

「ギンさん!!気を付け―――」


しかし、惜しくもその言葉は最後まで伝わらなかった。




「秘技・ファイナル断空斬」




その動きは人間の技ではなかった。



まるで瞬間移動をするようにその構えのまま銀時へと何度も間合いを詰め、超高速の抜刀が容赦なく右脇下から左肩へと切り刻まれる。
断空斬による空間を切り抜いた移動。その変則的な移動とスピードには誰も予測ができない。



「ギッ・・・ギンさぁぁぁぁぁぁああああああんッッッ!!!!!!」



その直撃を受けた銀時は声もあげること無く力が抜けたように背中から倒れてしまった。
HPバーの減少が止まらない。
既に危険域に突入しているのにも関わらずまだ止まらない。


「終わりだね」


茅場は勝利を確信したのかにやりと笑いを浮かべる。


直撃を受けた本人は次第に視界が黒く、狭まっていく。




このまま、終わってしまうのだろうか。




「っ・・・・――――。」




これで、ゲームオーバーなのか?




銀時の視界に最後に映ったのは、自身のHPバーが限りなく0に近づいた瞬間だった。