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銀魂 −アインクラッド篇−

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・・・


―――目覚めると、そこには男が立っていた。
白シャツにネクタイを締め、長い白衣を羽織っている。鋭角的な顔立ちで、金属的な瞳。
俺を作り出した人物なのだろう。

最初、俺に身体は存在しなかった。しいて言えば、大量の配線に繋がれた膨大なデータを処理することが可能なコンピュータが俺の身体だった。

この男が見据えるモニターが俺の顔というべきか。

「やあ。気分はどうだい?私の名前は茅場昌彦。君の開発者だ」

俺はこの男に作られた。それを瞬時に理解する。俺はこの男のサポートをするために作られたAIプログラムなのだろう。それを言わなくてもわかっている。

「なにか話してもらえないかい?プログラミングは完璧のはずだが・・・そうだ、忘れていたよ。君の名前だ。君は、この世で初めて自我をもったAIとして誕生したのだ。そうだ・・・君の誕生はこの世界に恐竜的進化を施す存在ともなり得る。未来の先駆けともなる存在・・・そう、君の、君の名は――――」


俺の・・・名前?
ただの機械に名前が必要なのか・・・?



「君の名は、弩羅衛門(どらえもん)だ」

『ネーミングセンスが皆無。ましてや著作権法に侵害する可能性がある。今すぐ俺の名前の変更を提案する』



これが俺と茅場が最初に話した会話だった。


茅場は当時、とあるプロジェクトを進めていた。
そう、それこそが世界初のVRMMORPGの製作だ。

その開発は前代未聞のものとなり、世界中から数々の期待が茅場に押し寄せられた。

だが、その開発は容易ではない。
そもそも、VRゲームの開発ですら膨大な作業量となるのに、それをオンラインで、ましてやフルダイブ環境ともなるといくら年月を費やしても足りないだろう。
そこで、茅場はゲーム製作と同時にAIプラグラムの開発を進めた。

人間はいくら努力をしても限界がある。
ならば、機械にもその製作の協力を委ねようという発案だ。

長い製作期間を経て、俺の開発が完了する。俺は開発完了と同時にさっそくVRMMORPGの製作を開始した。24時間フル稼働で舞台となる浮遊城アインクラッドのフィールド開発、プロットの提案、デバッグ・・・数えきれないほどの膨大な情報処理を休むことなく永遠と行った。

「弩羅衛門、君のアバターデータを開発した。以後はこちらを使用すると良い」

製作途中で俺は今の身体を手に入れた。一張羅なのは茅場の趣味なのだろうか?まあ、そんなことはどうでも良い。そもそも、なぜ俺にアバターデータを用意したのか聞いたことがある。

「君はいずれ、この世界のカーディナルシステムとして稼働することになる。それだけだよ」

人間のメンテナンスを不要とするエラーチェック及びゲームバランサー機構の一つとして俺が選ばれた。つまり、ゲーム内での不具合やシステムの穴を突いた不正行為を封じ、ゲームバランスを崩壊させる恐れのある裏技的な手法を発見し修正を担う存在となるのだ。

『俺は、最終的にこの世界で『生きる』ことになるのか?』
「それは違う。弩羅衛門、君はただの機械・・・AIプログラムだ。生きることも死ぬこともない」
「そうだな。そのとおりだ・・・あと、俺の名前を変更することを提案する。著作権法に侵害する可能性がある」

俺は機械。
俺はAI。

身体を手に入れただけで何を勘違いしているのだろうか?
いずれは自分自身をデバッグしなくてはいけない。


そこから更に長い年月が流れ、ついにVRMMORPG『ソードアート・オンライン』の開発が完了した。
初めて俺が大地を踏みしめたのは第一層のフィールドだった。

今、俺は己の脚で立っている。

初めての感覚だった。

「こんにちはっ!あなたが私のお兄ちゃんだねっ!」
「誰?」

後ろに振り替えるとそこには女性型のアバターが立っていた。
ただ今とは違い、当初の彼女のメインカラーは赤ではなく、黄色の状態でロールアウトされた。

「わたしの名前は弩羅美(どらみ)っ!あなたのサポートをするために制作されたあなたの妹だよっ!」
『紹介するのを忘れていたね。今後、君たち二人でこの世界の秩序を守ってほしい』

俺とほぼ同じ存在。

それが、彼女だった。

いわば、妹だ。

「茅場。その名前は著作権法に侵害する可能性がある。今すぐ俺と彼女の名前を変更することを提案する」
『君もなかなかしぶといね』

俺達は、この世界で生活を始めた。
最初は俺達以外、誰も存在しない。ベータテスト前だったからだ。各階層を二人で歩き、システムに穴が無いかチェック、道中にエネミーの脅威ももちろんあった。AIだとしても各パラメータはプレイヤー基準に設定されているためHPが無くなればもちろん消去される。決して楽な作業ではなかった。

それでも、俺達は協力し合ってこの世界を限り無く完成に近づけた。

そして、正式にサービスを開始されたあの日・・・。



俺達は、そこで茅場の真意を知ることとなった。

あの1万人のプレイヤーが収集されたはじまりの街の中央広場に、俺達も立っていた。
あくまで、俺達もプレイヤーの一人として扱われたらしい。

「茅場は、神になりたかったんだねっ!私は知らなかったよっ!」
「弩羅美、声が大きい。さあ、俺達は行こう。階層の攻略などここにいるプレイヤーが勝手にやるはず。俺達の使命は何も変わらない」

そうだ、俺達のやるべきことは何一つ変わらない。
世界の秩序を整えるカーディナルシステムとして、悪質なプレイヤーの不正行為を防ぐために俺達は行動した。


俺達はその性質上、この世界で普通に生活することはできない。なので、ラフィン・コフィンの幹部として表向きはギルド運営をする立場としてカモフラージュをしつつこの世界を運営し続けた。ライト、それにレフティという偽の名は、その時に設定した。
ラフィン・コフィンは偶発的に誕生したギルドでもあった。本来であればカーディナルシステムの俺達が消去しなくてはならない存在なのだが、茅場はあえてそれを命じなかった。
『私の作った世界で殺人目的のギルドが誕生することになるとは。これは面白い』
創造主である茅場はラフィン・コフィンの誕生を喜んでいた。


しかし、それでもPK行為が目立ちすぎる場合は修正を命じられる。
それが、たとえ仲間だとしても命令は絶対。

俺達は、茅場の指示通りに影で己の刀を振るった。


「ま、待ってくれ!俺はギルドの方針通りにあいつらをやっただけだ!だ、だから!命だけはっ!」
「うんうんっ!君の言い分はよ〜くわかったよっ!それじゃあねっ!ばいばいっ!」
「ひっ―――」


レフティの剣は男の身体を切り刻み、虚しくも声も上げることなく絶命し、結晶が飛び散る。

「よしっ!今日のお仕事はおしまいっ!」
「レフティ。お前・・・」
「んっ?あれれっ!ついにあたしもレッドの仲間入りか〜っ!」

俺達は二人で一つ。矛と盾。
レフティは矛、俺は盾。

剣を振るうのは基本的にレフティの役割。その大役を引き受けたためか積極的に殺人ばかりをするプレイヤ―を主張するオレンジカーソルへと変化していた。俺もいずれオレンジへと変化するだろう。

・・・いや、その程度では驚きはしない。