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銀魂 −アインクラッド篇−

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その言葉と同時にアスナと銀時を見据える。
アスナ―――。
とても不安気な表情でこちらを見ている。
彼女はきっと、俺に戦ってほしくないのだろう。言葉にしなくてもその気持ちが表情を通して伝わってくる。


「てめぇの刀は何のための力だ・・・もう一度、思い出せ」


・・・そうだ。



忘れてはいけない。


俺は剣を握る。
君を守るために。

俺の剣は君を守るための力だから―――。

「キリト軍曹。人は、何かを守る時には己の身にとてつもない力が宿るものだ。それは、君が一番わかっている筈」
「桂さん・・・」
「キリト君!その信念を力に変えろ!俺達侍は己の刀にそれを宿している!」
「ゴリラさん・・・」

「キリト。・・・万事屋名乗ってんだったら、てめぇの魂を見せてみろ。あいつから散々教えられてきただろ」



―――呼吸を整えろ。
そして、意識を茅場にだけ集中させろ。


考えろ・・・。

必ず、茅場にも攻撃が通る筈。
鉄壁の壁だろうが、どこかにほんの小さな亀裂があれば、そこを突くことによってそれは次第に大きくなり、やがて砕け始める。どのような壁にも必ずそれが存在するはずだ。


集中・・・・ああ、周りの音が一切聞こえなくなった。

これが、俺だけの世界なのか。




己の世界・・・どこかで聞いた事があるな。
そうだ。思い出した。

あの人が言っていたんだ。


―――なあ、そうだよな?
ギンさん。





俺はあんたと出会って強くなれた気がするよ。

最初出会った時の事は今でも忘れない。

なんの装備無しに雑魚モンスター相手に決め顔で肉弾戦に持ち込もうとしたときにはさぞ厄介ごとに巻き込まれたなと思ったよ。

だけど、それは俺の勝手な思い込みだった。
ギンさんは、誰よりも強かった。

俺の見たことがない世界・・・きっと、俺はその世界に魅了されたのだろう。

そして共に歩んでいくうちに大事なことを教えてもらった。


己の剣に込める意味・・・人を守るための力の源・・・


きっと、俺はあんたに出会わなければ理解していなかっただろうな。





「キリト・・・お前ぇ・・・」
「クライン、あいつ、眼を閉じていないか?」

キリトは構えを解き二本の剣の先を地面に向け、眼を閉じ、ゆっくりと呼吸をしている。二人の声すらも聞こえていないのか、その言葉に反応すらしない。

「・・・そうだ、キリト。余計な感情を捨てて剣と一体化しろ。今のお前は剣そのものだ」
「ギンさん、キリト君は一体・・・」
「なぁに、ただ集中をしているだけさ」
「キリト君・・・」

彼は、一人で戦っているのに自分は何もできないのだろうか。
気が付けば、彼はいつの間にか自分のその先を走っている。

―――置いてけぼりにはされたくない。
私も・・・・君の隣に・・・っ!!

「うっ・・・うぅ・・・・ふっ・・・っ!!」
「お、おい嬢ちゃんどうした?」

アスナは額から一筋の汗を流しながら身体を震えさせる。その震えは次第に大きくなっていく。彼女は、システム的麻痺の身体を動かそうとしていたのだ。

「キリト君を・・・・っ・・・守るのは私の役目っ・・・・っ!・・・・こんなところでずっと寝ていられない・・・麻痺がなによっ・・・プログラムなんかでわたしがっ・・・止められるとっ!・・・・思っているのっ!?・・・ぁぁぁぁぁあああああっ!!」

その時、微かにアスナの右手の人差し指が動いた。
それに共鳴するように銀時の自由が戻っていく。弩羅衛門から受けたダメージが自然治癒によって回復していた。



「・・・何をしても無駄だというのに、何故無意味なことをするものだろうか・・・さて、もういいかい?キリト君。今度はこちらから攻撃させてもらうよ」

茅場は目の前の光景が茶番だと言わんばかりに再び長剣を構え、眼に見えぬ速さでキリトへと間合いを詰め、一刀両断するように高々と掲げられたそれが振り下ろされる。
その刀身がクリムゾンの光を迸らせる。

がひゅん・・・と、鈍い音が響き渡った。

「・・・っ!」
「―――。」

それに続くように金属と金属がぶつかり合う音が響く。茅場の刀身はキリトには届いていなかった。
その軌道はすぐ隣にいた土方ですら見えなかった。
気が付けば、キリトの右手の刀身が茅場の盾に重なっていたのだ。

「まさか・・・今の技を弾くとはね。予想外だった」
「あんたが再び防御することになるのも予想外なんだろ?今、オーバーアシストを使っただろ」
「っ・・・不覚にも君の言う通りだよ」
「システムに頼り切ったあんたにはもう、俺の剣は止められないよ」
「口だけは相変わらず達者のようだ・・・だが!」

この時、茅場は自身が押され始めていることに気が付いた。
茅場はキリトの口を止めるように再び長剣による垂直斬りを放つも今度は左手の剣でいとも容易くそれを止める。
「まさか・・・っ!」
キリトは左手の剣でそれを受けつつ両脚に力を込め体当たりを放とうとする。茅場は体制が保てなくなるもお構い無しに今度は十字盾でそれを受け止めるが防御しきれず、やむなく後方へと身体を逸らした。
だが、キリトはまだ止まらない。
そこへと更に追撃するように身体を半時計周りに急回転させ両手の剣で茅場へと左水平斬りを放った。
再び茅場の盾に衝撃を受け、構える左手にはビリビリと重い痺れが走った。
「無駄だ。私に盾がある限り君の攻撃は通らない」
「盾には、な。――――はぁぁぁアアアッ!!」

茅場の防御は絶対だ。
だが、・・・奴はそれを過信しすぎている―――!!

「盾?・・・なにッ!!」

盾だッ!!
盾に斬撃を放ち続けろ―――ッ!!

茅場の唯一の盲点は、自分に与えられたスキルに絶対的信頼を置いていた事!!
そうだ!奴の弱点は奴自身のスキル!!
そのスキルを支え続ける『左手』だッ!
攻撃を止めるな!盾は砕けなくてもそれを支える奴の『左手』には必ず限界がくるッ!!
俺の二刀流だってそうだ!使い続ければスキルの重圧に身体が追い付かなくなるッ!!
奴はそれを知らないッ!いつも、それを知る前に勝利していたからだッ!
今ならそれができる!!
骸骨百足からの連戦で間違い無く奴の左手にも疲労が貯まっているはずだッ!!

「もう終わりだ茅場ッ!!劣勢になったことを経験したことがないあんたにはこれ以上の攻撃には対処しきれないはずだッ!!」
「なにを・・・ッ!」

キリトの乱舞に似た斬撃の嵐は茅場の身体にではなく十字盾に放たれる。次第に、茅場は確実な真正面の防御から斬撃を受け流すような防御へと変わっていく。それは、キリトの読み通りだった。茅場は自身の盾を支える左手に限界が来ていたのだ。

「くっ・・・まさか、その筈は・・・!」
「ぁぁぁぁぁぁぁあああああアアア゛ア゛ア゛ッッッ!!!!」

茅場は反撃をしようにも覚醒したキリトの斬撃が止まないために防御することで精一杯だった。しかも、その絶対なる防御も次第に自身の脳からの指令を拒むように身体が動かなくなっていたのだ。茅場がそれに気が付いた時には既に遅かった。

「馬鹿なッ・・・それ以上動くと君が先に限界を迎えるはずだッ」

キリトの爆発的な成長が止まらない。