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銀魂 −アインクラッド篇−

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・・・

キリトが気づくと、不思議な場所に立っていた。足元は分厚い水晶の板で、透明な床の下には赤く染まった雲の連なりがゆっくりと流れている。振り仰げば、どこまでも続くような夕焼け空。かすかに風の音が聞こえる。

「・・・ここは・・・」

キリトは右手を伸ばし、軽く振ってみた。耳慣れた効果音と共にウインドウが出現する。だが、そのウインドウには無地の画面に一言、小さな文字が表示されていた。
『最終フェイズ実行中 現在54%完了』
見つめるうちに、数字が55へと上昇した。

「・・・キリト君」

天上の妙なる音楽のようなその声。キリトの全身に衝撃が貫く。
声の元に振り向くと、そこには最愛の彼女が立っていた。

「あ・・・アス・・・―――っ!!」

考えるより先にキリトの身体が動いていた。
一目散に彼女に向かって走り出し、その勢いを止めることなくキリトは彼女を力強く抱きしめた。あまりの衝撃にアスナの口から微かに驚きの声が漏れる。

「いるよ・・・ここに。ほら、こうやって・・・互いの身体に触れるでしょ?」

「ありがとう・・・っ!!・・・俺・・・何回も・・・諦めそうになった・・・っ!!辛かった・・・・怖かった・・・・」

「約束したでしょ?・・・私がキリト君を守るって・・・」

「よかった・・・君を・・・アスナを・・・守れた・・・・っ・・・」


キリトは抱きしめる力を弱め、彼女に触れられることを改めて確認する。

彼女の小さな肩。

彼女の栗色のサラサラな髪。

彼女の火照った頬。


そして・・・


彼女の唇―――。



キリトは無意識に彼女の唇を親指で優しく触れていた。
あっ・・・と、可愛らしい声を出した彼女は頬を赤くするも、キリトはお構いなしに互いの唇と唇の距離を縮めていく。
次第に互いの息が感じ取れるようになる。


「キリト・・・君・・・」

「アスナ・・・―――」




「おいおい、てめーら。そういうことは家に帰ってからやってくんない?見せられる側の複雑な心境をちったぁ考えてくれ。どうすんの?これ。銀さん、今どんな気持ちでここにいれば良いの?今日、どんな気持ちで寝れば良いの?」

「「―――っっっ!!?ギンさんっ!!?」」


互いの唇が1cmを切った瞬間、無愛想な男の声によってすぐさま引き離された。
気がつけば銀時は二人のすぐ真横に立っており、二人は別の意味で心拍数が上昇していた。

「いっ・・・いたならなんでもっと早く声をかけてくれなかったんだよ!!」
「いや・・・だって・・・気がついたら目の前で急におっ始めるし、なんか野暮だし・・・ていうか何?これって銀さんが悪い感じなの?銀さん最初から最期まで被害者なんですけど。仲間がいつの間にかアベックになっていて、三人組なのに、これから立ち位置とかどうすれば良い訳?やっぱエギルとくっついたほうが良かったわけ?」
「やっ!やめろォォォォ!!なんか急に恥ずかしくなってきたから!!もう恥ずかしいからほじくり返さないでほしいんだけどォォォ!!!!」
「というか、君達。前々から気になっていたんだけど、・・・結局のところ、どこまでヤったの?Aか?それともB?・・・・もしかしてCを通り越してK点超えちゃったりした?」
「・・・。」
「ほらァァァァ!!アスナも今回ばかりは恥ずかしくて黙り込んじゃったからァァァ!!いい加減やめてくれよォォォォッ!!!!」
「まあ、お前達の恋愛事情にこれ以上首突っ込むつもりはねーよ。んなことより、キリト。ここどこよ?」
「えッ・・・あ、そういえば・・・」
「ね、ねえ二人とも!・・・あれ」

銀時達の立っている小さな水晶板から遠く離れた空の一点に、それが浮かんでいた。円錐形の先端を切り落としたような形。薄い層が無数に積み重なって全体を構成している。目を凝らせば、層と層の間には小さな山や森、湖、そして街が見て取れる。
「もしかして、本当にあったのか・・・ラピュ―――」
「アインクラッド・・・」
キリトの食い気味な呟きに、アスナがこくりと頷いた。
無限に空に漂う巨大浮遊城。キリト達が二年間の長きに渡って戦い続けた剣と戦闘の世界。
それが、今、眼下にある。

そして、その鋼鉄の巨城は、崩壊しつつあった。
無数の破片をまき散らしながら剥がれ落ちていく。耳を澄ませると、風の音に混じって重々しい轟音がかすかに響いてくる。

三人は、その光景を無言で見守り続ける。


「なかなかに絶景だな」


不意に傍らから声がした。
三人は視線を右に向けると、いつの間にかそこに男が一人立っていた。

茅場晶彦だった。

聖騎士ヒースクリフとしてではなく、白いシャツにネクタイ、長い白衣を羽織っていた。線の細い、鋭角的な顔立ちの中で、それだけは変わらない金属的な瞳が、穏やかな光を湛えて消えゆく浮遊城を眺めている。

この男とつい数十分前までお互いの命を懸けた死闘を繰り広げていたはずなのに、感情は静かなままだった。キリトは茅場から視線を外すと、再び巨城を見やり、口を開いた。

「あれはどうなっているんだ?」
「現在、SAOメインフレームの全記憶装置でデータの完全消去作業を行っている。あと十分もすればこの世界のなにもかもが消滅するだろう。つい先程、生き残った全プレイヤーのログアウトが完了した。君達と、惜しくもゲームオーバーとなったプレイヤーを除いてね」
「・・・死んだ連中は?今までに死んだプレイヤー達だって元の世界に戻してやることができるんじゃないのか?」
「命は、そんなに軽々しく扱うべきものではないよ。彼らの意識は帰ってこない。死者が消え去るのはどこの世界でも一緒さ。君たちとは、最後に少しだけ話をしたくてね。この時間を作らせてもらった」
「それが四千人をやりやがった野郎の台詞か?・・・答えろ、なんでこんな事をしやがった・・・てめぇの目的は一体なんだ」

冷静ではあるものの、その心底に怒りの灯火が上がる銀時の質問に対し、茅場はあくまで静かな声で返答した。

「何故・・・か。私も長い間忘れていたよ。なぜだろうな。フルダイブ環境システムの開発を知った時、いや・・・その遥か以前から、私はあの城を、現実世界のあらゆる枠や法則を超越した世界を創り出すことだけを欲して生きてきた。そして私は・・・私の世界の法則をも超えるものを見ることができた・・・『君』だよ」

茅場は静謐な光を湛えた瞳を銀時に向け、すぐに顔を戻した。

「『パラレルワールド』が本当に存在したとは・・・今でも心底興味深い・・・が、もうその研究をしている時間もない。君は、私達とは違う世界から訪れたのだろう・・・」
「えっ・・・ギンさん・・・?」
「ギンさん・・・が・・・違う世界の人?」