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銀魂 −アインクラッド篇−

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『ソードアート・オンライン』
・74層 迷宮区内部 ボス部屋前の回廊

銀時たちは運悪くリザードマンの集団に遭遇し、戦闘を行っていた。しかし、キリトを筆頭に、精錬された腕前を持つメンバーを前にリザードマン達は手も足も出せない状況であった。
「ギンさん、2体そっちに行った!」
「任せとけ、キリト」
銀時の無双の剣を前にリザードマンは次々と宙を舞い、襲いかかる敵はバタバタと倒れていく。その銀時の動きにクライン率いる風林火山のメンバーは口をあんぐりと開けていた。
「あ、アスナ司令官殿!キリトはいつの間にあの方を仲間に!?いくらなんでも強すぎじゃないですかぃ!?」
「私もついこの前会ったばかりで!クラインさん、スイッチ!」
「は、はい!お任せを!!」
クラインの持つ刀で最後のリザードマンが一刀両断され、戦闘は終了した。敵はさほど強くはなかったのだが、銀時たち九人が最上部の回廊に到達した時には安全エリアを出て30分が経過しており、軍のパーティに追いつくことはなかった。
「ひょっとしてもうアイテムで帰っちまったんじゃねぇ?」
おどけたようにクラインが言ったが、キリトたちはそうではないだろうと感じていた。自然と回廊を進む足取りが速くなる。半ばほどまで進んだとき、不安が的中したことを知らせる音が遠くから反響しながら耳に届いた。咄嗟に立ち止まり、耳を澄ませる―――。

―あぁぁぁぁぁ・・・―

かすかに聞こえた・・・悲鳴だ!

「アスナ!ギンさん!」
「えぇ!」
「あぁ!」

3人は全速力で悲鳴の元へ走り始める!
クラインたちには申し訳ないが、この際構っていられない!
「そんなっ・・・なんで!」
「アスナ・・・」
走り間際、アスナは悲痛な表情を浮かべていることにキリトは気が付いた。
あの時止めていれば・・・あの時もっと警告していれば・・・
きっと、そう思っているに違いない。

俺自身・・・そう、俺がもっとしっかりしていれば!





また、あの悲しい出来事を繰り返してしまうのか?





「悔やんでもしかたねぇだろ!!」

「「っ!」」

銀時の喝にキリトとアスナは我に戻った。キリト自身も、声に出していなくても顔に出ていたみたいだ。
そうだ・・・今は過ぎたことを悔やんでいても仕方がない!
助けなければ・・・今、自分たちにできる最大限のことをやるんだ!!
3人の走るスピードがさらに速くなり、やがて、ボス部屋だと主張する大扉が出現し、すでに左右大きく開き、内部の闇で燃える青い炎を揺らめきが見て取れる。そしてその奥で蠢く巨大な影。断続的に響いてくる金属音。・・・そして


――――多数の悲鳴。


扉の手前で3人は急激な減速をかけ、入口手前で停止した。
「おい、大丈夫か!・・・っ・・・」
キリトがそう叫ぶ。しかし、声を失った―――地獄絵図だ。

大きな部屋の中央で巨体がその身体と同じサイズはあろう剣を必死に逃げ惑う軍の部隊に振り回している。―――この迷宮区のボス『グリームアイズ』だ。
まがまがしい山羊の頭部から燃えるような呼気を吹き出しながら、統制も何もない軍の部隊に襲い掛かっていた。

その軍の一人が巨大な剣で腹部を薙ぎ払われ、床に激しく転がり、HPが赤い危険域に突入している。なぜだ・・・なぜ逃げない!勝てる相手ではないことを一番知っているのはお前たちだろう!キリトはその倒れた軍の一人に向かって大声を上げた!
「何をしている!早く転移アイテムを使え!!」
「だめだ!く・・・クリスタルが使えない!!逃げられない!!」
「な・・・」
キリトは絶句した。この部屋は『結晶無効化空間』だというのか。ボスの部屋でそうであったことは今まで無かった。
その時、悪魔の向こう側で一人のプレイヤーが剣を高く掲げ、怒号を上げた。
「何を言うか・・・っ!我々に撤退の二文字はありえない!!戦え!!戦うんだァァァァっ!!」
コーバッツだ。
何を言っている・・・今更何を言っている!!
まだ、仲間は全員無事なのに、何故立ち向かう!!
「バカ野郎・・・まだ、だれも死んでないのに・・・っ!!」
その時、ようやくクライン達も到着した。
「どうなってやがる!!な、なあキリト、何とかできないのかよ!!」
キリトは考える・・・だめだ。今、俺達全員で斬り込んでも太刀打ちしきれない!あまりにも人数が少なすぎる!!
やがて、キリトが考えるうち、再びコーバッツの声が響いた!!

「全員・・・突撃!!」

「っ!や、やめろォォォォッ!!」

だが、キリトの叫びは届かなかった。
悪魔は仁王立ちになり、雄叫びとともに口からまばゆい噴気をまき散らした。息にもダメージ判定があるらしく、突撃した軍のメンバーは次々と苦しみながら地面に倒れていく。だが、その中で勢いを止めることなく突き進む一人の男―――コーバッツの姿があった。HPバーが尋常ではないスピードで減っていく―――。




「だめ・・・だめよ・・・・もう・・だれも・・ッ!!お願い・・・もう・・・・」

アスナは見ていられなくなったのか、キリトの背中に隠れるようにその顔を黒いローブに埋めた。

とても・・・震えている。


アスナ――――。



あの男は――――もう・・・。




助からない・・・のか?



「おい、お前」
「ッ!」


一瞬だけ、先ほどの悲鳴が無かったことにされたような沈黙が訪れる。
そのボス部屋の中で、あまりにも目立ちすぎる一人の侍がグリームアイズの左足を掴み、男の数十倍もあるであろうその巨体を背負い投げする。

投げ飛ばされた悪魔は自身に何が起こったのか把握できておらず、その場にフラフラと立つも、次第に怒りが湧いたのか怒声が響き渡らせた。

だが、そんなことはお構いなしに、地面に転がるコーバッツの前に仁王立ちする『鬼』がいた―――。



「お前ぇ・・・なに一人で勝手にくたばろうとしてんだ」
「・・・ッ・・・」


なんだと・・・・。

キリトはアスナに気を取られていたため、もう一人の『仲間』の存在に気が付かなかった。

あの人は・・・ギンさんは?


何故・・・何故『あそこ』にいる!!?



「・・・俺ぁ言ったはずだぜ。仲間の命は守れってな・・・お前さん・・・今、仲間を置き去りにして先にくたばろうとしていただろう・・・。・・・ったく、何が軍だ。何が解放だ。偉そうなことぬかしやがって」

「ギン・・・さん・・・」

「他人様の『魂』を解放するって断言したのなら、最後までその意思を貫き通しやがれ!それができねぇってんだったら、てめぇの仲間引き連れてさっさとこの戦場からとんずらしやがれ!!それがてめぇの・・・ッ!!リーダーの務めだろぉがァァァァ!!」
「ッ!!」


コーバッツの、いや、ボス部屋にいた軍のメンバーの顔つきが変わった。
銀時の、たった一言で―――。


「いいぜ、コーバッツ中佐殿。てめぇの責務、将軍であるこの俺が―――」


銀時は木刀を宙にゆっくりと掲げ、そして、悪魔―グリームアイズ―へと向ける・・・!!

「この俺が、引き継いでやる。・・・さぁかかってきやがれ!!山羊頭野郎ォォォォォッ!!!!」



銀時の叫びとともに、グリームアイズへ『一人』で立ち向かう!