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銀魂 −アインクラッド篇−

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・・・


「貴殿、コーバッツと言ったか?大丈夫か?これは回復薬だ、飲むと良い。じきに体力が回復するだろう」
「え?あ・・・あぁ、すまない」

グリームアイズとの戦闘が終了し、クライン達はボス部屋の出口付近にてボロボロとなった軍の治療に専念していた。キリトは気を失ってしまったため、アスナが傍で面倒を見ている。そんな中、全身黒いサイボーグ姿の桂は兵士たちに次々と回復用のポーションを配り歩いていた。

「あの、・・・あなたは?」
「ふっ・・・なあに、俺はただの通りすがりの者だ。名乗る程のような者ではない」
「名乗る程のような者ではないって・・・あんた、その身なりで名乗らないっていうのはちょっと」
「そうか。強いて言えば貴殿らの軍隊と思想は同じ、一人の悪人を斬ることで多くの人々を救う『活人剣』の信念を持つ孤高の侍、ミスター・ヅライトニングボ―――ぶはッ!」
桂が自身の名前を言い終える前に銀時のかかと落としが炸裂した。桂のHPバーがほんの少し減り、痛かったのか頭を押さえてしゃがんでしまった。
「・・・あ。」
「あ、じゃねえよ。てめぇこんなところでなにしてやがる。1話目からほぼ察しがついてが、なんでてめぇがこの世界にいやがる!大体てめぇここにいたくせになんで終盤になってからようやく登場してやがんだ!ここにいたならさっさと出てきて手伝いやがれ!」
「ふっ、銀時。真打とは大体いつも終盤で登場するものだ。俺が最初から無双してしまってはこの物語が盛り上がらないだろう」
「んなこと、こちとら聞いてねぇーんだよ!いつから居たって聞いてんだ!」
「なかなか貴様らがピンチの場面に訪れなかったのでな。この迷宮区に突入した時より索敵で探知されないぎりぎりの場所からずっとスタンバってました」
「スタンバってましたじゃねェェェェッ!!自分が出ていく場面を単純に逃していただけじゃねーかァァァァッ!!」

久しぶりに銀魂の登場キャラクターと会えたにも関わらず、よりにもよって最悪な人物に出くわしてしまった銀時は普段はボケキャラという立ち位置を捨て、必死にツッコミ役に回っていた。そんな新鮮な姿を見ていたアスナは、キリトの看病をしつつもじぃ〜っと二人のやり取りを見続けていた。

「故に銀時。まさか貴様もこの『ヴァーチャルボーイ』に手を出していたとはな。最近は3DだのVRがブームだと聞いたもので坂本にお願いして任○堂が開発した最新VR筐体『ヴァーチャルボーイ』をプレイし始めた故になかなか止め時を見つけられなくてな。今ではすっかりこの世界のMEME―ミーム―『文化的遺伝子』に取り込まれてしまったぞ」
「てめぇはMEME―ミーム―『文化的遺伝子』以前にSCENE―シーン―『時代』に追いつきやがれ!!しかも、なんでてめぇだけそんな近未来の最先端な身なりになってんだ!!見た目だけSCENE―シーン―『時代』を通り越しすぎだろォォォォッ!!」

あらかた予想通り、銀時がこの世界に来てしまった理由はこの男―――桂が原因だった。
「桂じゃない。ヅライデンだ」
あの、今は読者に解説をしているからこちらに入ってこないでくれない?
ヅライデンはこの作品が漫画化もしくはアニメ化をされれば間違いなくモザイク処理があれるであろう身体で銀時の話も聞かずガチャガチャと機械仕掛けの足音を立てながら再び回復用ポーションを配り始めた。

「ったく、全部あいつの責任で大騒ぎになってんじゃねーか。攘夷するとかって設定どこいったんだよ」
「ギンさん、あの人・・・人?・・・えっと・・・」
「安心しろ嬢ちゃん、知り合いだが人間じゃねぇ。ほっとけ・・・それよりキリトは?」
「キリト君は・・・あっ」

キリトはややうなされつつ意識が回復しようとしていた。それに気が付いたアスナは必至にキリトに問いかけはじめる。
「キリト君!キリト君ってば!!」
悲鳴にも似たアスナの叫びに、周りにいた各々はその一点に集中する。そのうち、キリトはまるで頭痛があるかのように上体を起こした。
「いててて・・・」
キリトの目の前に、ぺたりとしゃがみこんだアスナの顔があり、泣き出す寸前のように眉根を寄せ、唇を噛みしめている。
「もう・・・無茶して・・・っ!!」
叫ぶと同時にすごい勢いでキリトの首にしがみついた。さすがに銀時も少し驚いたが、声をかけるのも野暮だったのか、そのまま二人を見つめた。
「あんまり締め付けると・・・俺のHPなくなるぞ」
キリトは冗談めかしてそういうと、アスナは真剣に怒った顔をしてキリトの口に回復用のポーションを突っ込んだ。少しずつだが、赤くなっていたキリトのHPが徐々に増え始めている。アスナはポーションを飲み干したことを確認すると、くしゃっと顔を歪め、その表情を隠すようにキリトの肩に額を当てた。

足音に顔を上げると、クラインが遠慮がちに声をかけてきた。

「生き残った軍の連中の回復は済ませた。奇跡的に犠牲者は0。全部お前たちのおかげだ」
「・・・そうか。良かった・・・」
「それでも・・・こんなのが攻略って言えるのかよ・・・なぁコーバッツさんよぉ!死んじまっちゃ何にもなんねぇだろうが!!」
吐き出すようなクラインのセリフにコーバッツは何も言えなかったのか、下を向いてしまった。そんな中、間を割って入ってきたのは、桂だった。
「桂じゃない。ヅライデンだ・・・クライン殿。今回の件は決して許された行動ではないだろう。しかし、それを誰よりも痛感しているのは、他の誰でもない、コーバッツ殿だ」
「ヅライデン殿・・・」
「ヅライデンじゃない!桂だ!!」
「えっ!!?い、いや・・・どっちですかぃ」
「兎にも角にも、犠牲者が一人も出なかったことは紛れもなく真実だ。これに懲りて、今後はこのような無謀な行動はしないと見た・・・そうであろう?コーバッツ殿」
「あ、あぁ・・・私はこの後、本部に戻り次第、戦果報告をする・・・そして、それと同時に前線を指揮する立場から降りる・・・一刻も早く、この世界に囚われている者達や同志たちの解放を意識するあまり、一番大事なことを忘れていた・・・兵士たちにも今後は無謀な指令を出さないよう、この場で約束をしよう」
「うむ。その考えであれば我々も心配をすることはなかろう。どうであろうか?クライン殿」
「あぁ。今約束してくれるってんなら、俺はもうなにもいわねぇよ」
「・・・というか、ヅラ。何良い感じで終わろうとしてんだ。終盤で登場してきてなに当たり前に主人公面してんだ。それよりキリト・・・ギンさん初めて見たが、お前ぇさっきのは?」

銀時の問いかけにいわなきゃダメか?という表情を出しつつも、アスナを除いた、部屋にいる全員が沈黙してキリトの言葉を待つ。キリトはため息を一つして重い口を開いた。
「エクストラスキルだよ。『二刀流』」
おお・・・というどよめきが、兵士やクラインの仲間のあいだに流れた。当然の趣味を顔に浮かべ、クラインが急き込むように言った。
「出現条件は!?」
「わかってりゃもう公開してる」