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銀魂 −アインクラッド篇−

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「・・・あ〜はいはい。ほら、でましたよ。やれやれ系主人公お得意の隠し技ね。言っておくけど、銀さんにもまだお前らに出してない技隠し持っているからね。螺旋丸とか千鳥とか比にならない大技持っていますからね」
「なんだ?ギンさん、うらやましいの?」
「う、うらやましくなんかねーしィィィィッ!!?銀さんはこれっぽっちも欲しくねぇーし!!大体あの技の名前?スターバックス・エクストリーム?スタバにエクストリームサイズなんてないんですけど?グランデの次はベンティですけど?」
「自分のスキルにスタバのサイズを大声で叫ぶ奴がいるわけないだろッ!?うらやましがっているのバレバレだからなツ!!」
「ほら、ギンさんにこっそりと他に隠し持ってるスキル言ってみ?どうせスターバックス・トールとかスターバックス・ラテとかだろ?あ〜だめだめ。技に対して名前にインパクト出し過ぎ。スターとかバックスとか、確かに読みのイントネーションは良いんだけど、メニューとかサイズを出されてもね。え、いきなりなに?って、なるだけだからね。ちなみに銀さんだったらドトール・カプチーノとかドトール・タピオカ抹茶ミルクって命名するかね?」
「結局あんたもメニューを言っているだけじゃないか!いい加減コーヒーから話題外れろ!!」
「やめろ銀時!キリト君が困っているではないか!俺は昔からサンマルクカフェ派だ!!全く近頃のインスタグラマーといえば、ちょいと御洒落なスタバだのドトールだのぬかしおって!サンマルクカフェだって十分映えるんだからね!!」
「いや、コーヒーショップのチェーン店を言い争っている訳じゃないし!インスタ映えがするしないを争っている訳じゃないから!!サンマルクカフェだって十分御洒落だろ!!というか、あんたは誰だ!!?」

銀時と桂、キリトの言い争いの間にクラインはコーバッツを含めた軍のほうへ歩いて行った。
「あんたら、本部まで戻れるか?」
クラインの言葉にコーバッツは頷く。
「あぁ、問題ない」
「よし。さっきの約束、絶対忘れるんじゃねぇぞ。二度とこういう無謀な真似をしないようにな」
「あ、あぁ・・・すまない。今回の件、本当に感謝する」
「礼なら俺じゃなく、万事屋に言ってくれ」
クラインは銀時とキリト、アスナに向かって親指を振る。軍のメンバーたちはよろよろと立ち上がると、座り込んだままのキリトとアスナ、コーヒーショップの話題で持ちきりの銀時と桂に深々と頭を下げ、部屋から出ていった。
軍は転移結晶を用いて全員がテレポートし終えると、クラインはさて、という感じで両手を腰に当てた。
「俺たちはこのまま七十五層の転移門をアクティベートして行くけど、お前はどうする?今日の立役者だし、お前がやるか?」
「いや、任せるよ。俺はもうへとへとだ」
「それでは、将軍殿は?」
「俺ぁよくわかんねぇからパス」
「そ〜すか・・・・あの、えっと・・・それで将軍殿」
「あ?」

クラインは何か恥ずかしそうな素振りで、もじもじと手を握っていた。

「今日は・・・その、ありがとうございます・・・。もし将軍殿がいなかったと思ったら・・・きっとあの時俺ぁ死んでいたと思んます。それで・・・もし、将軍殿がよろしければ、フレンド登録してくれやせんかね?・・・このご恩は一生忘れません。いつか、かならずお返しします」
「え?・・・・あぁ、うん・・・いいよ」

銀時は慣れない手つきでクラインとフレンド登録を行う。
フレームウインドウから除くクラインの顔の頬はやや赤かったように見受けられたが、銀時はきっと気のせい、うん、気のせいだよね!?・・・と、自身に問いかけ、登録を終えたクラインを筆頭に風林火山のメンバーは部屋の奥にある大扉のほうに歩いて行き、その扉の向こうへ消えて行った。

だだっ広いボス部屋に、キリトとアスナ、銀時と桂だけが残された。床から吹き上げていた青い炎はいつの間にか静まり、部屋全体に渦巻いていた妖気も嘘のように消え去っている。キリトはまだ肩に頭を乗せたままのアスナに声をかけた。
「なあ、アスナ・・・」
「・・・怖かった・・・君や・・・ギンさんが死んじゃったらどうしようかと思って・・・」
その声は、今まで聞いたことがないほどかぼそく震えていた。
「キリト。こういう時ぐらい、優しくしてやれ」
「ギンさん・・・」
キリトはそっとアスナの方に手をかけた。ごく軽く引き寄せると、右耳のすぐ近くから、ほとんど音にならない声が響いた。

「わたし、しばらくギルド休む」
「ど、どうして・・・?」
「君とギンさんと・・・しばらくパーティ組むって言った」
「何ッ!?おい銀時どういうことだ!こんな小僧小娘と一緒にエブリバディパーチ―だと!!?少しは自分の年齢を気にしてはいかがかァッ!!?―――あでっ・・・なぜ殴る!」
「ちったぁ空気よめ、ヅラ」

――――キリトは複雑な感情だった。
二年前のあの日、全てを見捨てて立ち去った卑怯者の自分に、・・・それに、『あの出来事』を未だに乗り越えられない自分に、仲間を、それ以上の存在を求める資格など自分にあるのだろうか。
しかし、こわばった左手はどうしてもアスナの肩から離れようとしない。触れ合う部分から伝わる仮想の体温を、どうしても引き剥がすことができない。
巨大な矛盾と迷い、そして名づけられない一つの感情を抱えながら、キリトはごく短く答えた。
「・・・わかった」
こくり、と肩の上でアスナが頷いた。