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銀魂 −アインクラッド篇−

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・・・

『ソードアート・オンライン』
・第五十層 アルゲード 飲食店街

「キヘヘヘヘ!おい店員、もっと酒をもってこないか!すっからかんだぞ?ヒヒヒっ!」
「全く・・・クラディール、少し飲み過ぎだ。そんな笑い方だったかね?私にも頂けるかい?パー子さん」
「あの、すみません。私にも水頂いても良いですか?キリっ・・・コ・・・さん」

「あら〜!もうクラディール様ったら飲み過ぎですの!その調子で当店最高級の代物であります、リザードマンの涙腺から数滴しか生成されない幻の酒『獣の涙』なんていかがかしら〜!?どうぞ、団長もお手にとって!団長の『団長』も一瞬に元気になることですの!ふふふっ!」
「今お持ちしますわね、アスナさんっ・・・・うう・・・」

キリトは表情エンジンに泣き顔が表示されてしまうギリギリのラインまで自分の感情を押し殺す。少しでも気を緩めば屈辱的なこの状況に潰されてしまいそうだった。キリトは慣れない手つきでアスナのグラスに水を注ぐ。そんなアスナは完全に軽蔑した目でじ〜っと銀時とキリトを見続けていた。それもそのはずだろう。なぜ仲間がわざわざ女装をしてまで自分のグラスに水を注いでいるのだろうか―――状況が全く理解できない。
銀時は銀時で『何故か』慣れているものなので、酔い潰れているクラディールと小1時間以上は飲み続けているのにもかかわらず全く状態変化が訪れない聖騎士ヒースクリフに高級酒を注いでいた。

―――実は、ヒースクリフとクラディールは2人の正体に気が付いていない。
店内でNPCではなく本物のプレイヤーが働く場合、その職業上、日々の生活に影響をしかねないため店内に限り互いのプレイヤーネームやHPバーといったステータスの類は強制的に非表示にされるのだ。無論、店内では抜刀することも出来ず、抜刀をしようと試みた場合、強制的に店の外に転送される仕組みとなっているため安全面も保証済みである。これが不幸中の幸いということでもないのだが、クラディールには若干怪しまれるも、ここ数日ずっと一緒に行動しているアスナのみしか2人の正体に気が付かなかったのだ。

アスナはヒースクリフの目を奪いながら巧みな手つきでメニューウインドウを開き『誰か』にメールを打っているように見受けられた。いや、『誰か』の正体はなんとなく察している。
・・・おそらく、自分だ。

「っ・・・あらやだ。ごめんなさいヒースクリフ様。ちょっと私、お花を摘みに行かせていただきますわ〜」
「あぁ、構わないよ・・・ん?ゲーム内ではトイレは必要ないはずじゃ」
(やばっ!!)
「早くしなさいよキリコ!あんまり長いと大きい方と勘違いされるわよ!ほら、団長さま!もう一杯いかがですか?」
「うむ。すまないね」
(ナイスだギンさん!それより・・・)

キリコ・・・ではなく、キリトはバックヤードに移動し、すぐさまメニューウインドウを開く。思った通り、アスナからダイレクトメールが届いていた。キリトは何故か早くなる心臓の鼓動を抑えつつ、恐る恐るメールを開封した。
『キリト君。まさか君がこんなことをする人間だったなんて・・・ギンさんはともかく、なんで君も女装しているの?説明して』
「うげっ!」
アスナのメールを見てキリトは思わず変な驚き声を出してしまった。
アスナは俺にあきれてしまっただろうか・・・そんな負の感情が収まらない中でなんとか返信を行う。
『クラインに頼まれたんだ。でも、まさか団長やアスナが来る事なんて知らされてなかったんだよ』
返信を行った瞬間、すぐにアスナから再びメールが届く。
『クラインさんに頼まれたって・・・女装して接客することを?』
キリトはすぐに返信。
『違う!女装と接客はまた別の話!そもそも俺に女装癖はない!!』
またアスナから受信。
『じゃあなんで女装しているのよ』
すぐに返信。
『それはかくかくしかじかでっ!』
また受信。
『かくかくしかじかって何よ。何がかくかくでどれがしかじかなのよ。もしかして馬鹿にしているの?』
返信。
『説明端折る時に良く使うだろ!最初から説明しても長くなるから察してくれよ!』
受信。
『わかったわ。つまり君は、接客を頼まれたけど男対男だと相手に申し訳ないから、自分から進んで女装したって訳ね』

「なんッッッにも察してないじゃないかァァァァァァッ!!」
「キリトッ!!?おおお、落ち着け!」

いつの間にか、キリトの背後にはクラインとエギル、店長が立っていた。
キリトは自身の恰好が相当ストレスなのか、腰まではあるウィッグをガシガシと掻き回し、3人はそんなキリトを落ち着かせる。

「いやしかしっ。最初ギンさんからメールを受け取ったときは何事かと思ったぞ。女装するための道具を今すぐ持ってこいっていうからよ。まさかキリトにまで女装させるとは・・・やはりギンさん。流石だ」
「まあそのなんだっ・・・お前には悪いがよ。キリト、・・・・意外と似合ってるぜ?案外イケるんじゃね?」
「クライン様の言う通りですぞ!キリト様、この調子で残りの時間を乗り切ってくださいませ!」
「お前たちはいいよなッ!こうやって後ろでじっと覗いていれば良いだけだからッ!!」

システムギリギリまで声帯を弄っている為、普段より1オクターブは高いツッコミが炸裂する。これでも努力して女性の声に近づけているのだが、元々低い声の為かだいぶ無理があった。

「それよりキリト様っ、そろそろお戻りになられては?あまり長居すると怪しまれてしまいます!」
「解っているよ!あと、リズとシリカはまだ起きないのか!?」
「えぇ。残念ながら残り一時間はあの状態ですので、団長御一行がお帰りになるまでは・・・」
「畜生!!なんでこんなことにッ!!」

キリトは目尻に涙を浮かべながらヒースクリフ達の元へ戻っていく。
「いや、しかし・・・あれはあれでありだな」
「まあ・・・確かにキリトの身体はやせ細っているからな。パッと見、本当に男だとは思わないな」
「えっ、いや・・・ギンさんの、事だ」
「・・・クライン、もしや・・・貴様もギンさんを!」
「・・・な、なんだよエギル。血相を変えて」
「な、なんでもない!気にするな!」
「あ、あぁ・・・」