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銀魂 −アインクラッド篇−

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アスナは自身の危機を回避できたといわんばかりにこの場にきてからようやく喜んでくれた。なお、クラディールに至ってはよほど悔しかったのか膝をついてまで地面にうなだれている。だが、問題はここからだ。彼女は現在、昨日のこともあってか団長との間に亀裂が生じている。あえて団長をこれ以上窮地に落とす事も『団長』となった今のアスナにはそれが可能なのだ。
(落ち着けアスナ・・・・これ以上、欲に呑まれるな!)
だが、キリトの考えとは裏腹に、アスナが出した指令は誰も予想していなかった―――。
「そうねぇ・・・。じゃあ私は、3番の人がこの場で一番さむそうな人に自分のコスチュームを貸してあげる。とかどう?」
(アスナァァァァァァァっ!!)
それは、喜びに近い心の叫びだった。
やはり、アスナも人の子だ。自分が休暇をする為だけに決闘まで発展させる上司の考えが合わず、ここでスカッとする仕返しをすると思いきや、ヒースクリフに慈悲の心を出してきたのだ。アスナはキリトに笑顔で軽くウインク。やはり副団長にまで登り詰める女性は気配りも上手であった。

「また私か。仕方ない」

ガラスがはじけ飛ぶような音を鳴らしてヒースクリフはもっさりブリーフを解除。
この中で一番寒そうな格好をしている銀時の頭にそれをポンっと乗せた。

((団長かよォォォォォォオオッ!!!))

あれ、うそ、なんでこうなるの?
アスナはキリト達に自身の表情を見させないように明後日の方向を見続けていた。
文字通り、丸裸となったヒースクリフの下半身が露わとなり、常人であれば耐えられない仕打ちなのだが、ヒースクリフ本人はやれやれと首をふるだけで平然と座っていた。


「やべーよ、ついにこの作品で丸裸の人出しちゃったよ。まだうちのゴリラですら裸にさせてねぇのに先に団長を丸裸にさせちまったよ。しかも団長、あっちのほうは意外と聖騎士じゃねーよ。たまねぎ剣士だよ」
「ふう・・・血盟騎士団の立ち上げに力を注ぐ余り、私は色々な物を犠牲にしてきたことを何故か今思い出したよ。あれはいつだったかな・・・第三十一層の攻略中であったか・・・当時の私には思い人がいてね。丁度、彼女の約束の時間に急遽、迷宮区攻略会議が入ってしまったのだ。彼女か攻略か。私は攻略を選択した。会議はその日に限って長引いてしまって、約束の時間からおよそ半日が過ぎた頃、ようやく会議が終わり大急ぎで約束をしていた場所に私は向かった。おそらく彼女はもういないだろう・・・だが、その場に彼女は立っていた。こちらに気が付くと、彼女は無表情で私の頬を平手打ち。痛くは無くも、心に大きな深手を負ったよ。聖騎士と言われながら、彼女から受けた平手打ちがあまりにも痛くてね。その日は笑いに笑った。そして初めて、彼女を失ったという悲しみの感情を覚え、一人静かに泣いていたよ」
「やべーよ聞こえていたよ。今まさに起こっている心の傷を癒すためにわざわざ自分の一番痛かった思い出を語り始めちゃったよ。おまけに心なしかこのブリーフ臭いよ。なぜ俺の頭に乗せた。団長様よ」
「な、なあギンさん!団長涙目になってきてないか!?泣いてるよね!泣いてるんだよねあれ!さっきから凄い渋い大人を演じて酔ってないアピール出してたけど、本当は酔っぱらってもいるし辛いのを顔に出さない様に我慢してるよね!?やばいよ!なんかもうただのイジメみたいになってきてるよ!!いたよクラスにこういう泣き方する奴!」
「貴様らァァァァッ!!ヒースクリフ様になんてことをさせているのだァァァァァッ!!」
「うるせェェェェェッッッ!!!!そもそもてめぇが嬢ちゃんにいやらしい事考えなかったらこんなことにならなかったんだァァァァッ!!」

パー子もとい、銀時はすでに自分が女装をしているという設定を忘れたのかクラディールの胸倉を掴みその顔につばを吐きかけるようにほぼ罵声のようなツッコミを入れる。周りの団員達もついに見ていられなくなったのか銀時とキリトの周りにぞろぞろと集まり始める。
そんな様子を遠くから見ていたクライン、エギル、店長の3人は―――。
「クライン様。私はどこか静かな所で暮らそうと思います。長い付き合いではありましたが、今までありがとうございました・・・うぅ・・・」
「お、おおおお落ち着け店長!まだ、まだ全てが終わったわけじゃねぇ!!」
「いやクライン・・・悪いが俺も店長と同意見だ。・・・同じ商いをやっている身分として、これ以上火が大きくならないうちに早々に店を畳んだ方が良い」
「あんたまで何言うんだ!!・・・おいおい、頼むぜキリト!将軍殿!これを収拾するのはお前達の腕にかかってんだ!!」
ほぼ諦めムードの店長の肩をエギルは優しく叩く。
再び場面は戻り、渦中にいる銀時達は周りから野次にも似た声が飛び回り、収拾をつけるどころか一色触発の状況へ陥っていた。

「ど、どうするパー子さん・・・もうこれ以上は・・・ッ!」
「キリコ、確かお前ぇ・・・静かな所で暮らしたいって言ってたよな・・・・銀さんも一緒に暮らしても良い?」
「ギ・・・じゃない、パー子さんもキリコさんもまだ諦めちゃだめよ!せめてもう一手、この状況を乗り越える道を切り開かないと!団長は既に丸裸。崖から突き落とされて谷底に到達しているのだから、ここからはもう登るだけよ!」
「奈落に落としたのはアスナだったよね!?そのポジティブはどこから溢れてくるの!?」
「アスナ様はともかく、貴様たち先程から何をこそこそとッ!我々を血盟騎士団だと知った上でこの屈辱、ただではすまされんぞッ!!」

何故かクラディールは、さも自分は一切関与していない的な態度をとり、彼を先頭に周りの団員を引き連れて銀時とキリトに押し迫る。


「ここまでなのか・・・ッ」
「すまねぇキリト・・せめて、お前ぇだけでもッ」
絶対絶命のピンチ。

―――その時。


「クラディール。それに皆、やめたまえ」
「ッ!ヒースクリフ様!!」


銀時とキリトの間から割って入るように丸裸のヒースクリフが現れ、たった一言で血盟騎士団の団員達を鎮静させた。その姿はまるで神々しく―――彼の後ろからは何故か七光が輝いているかのように見えた。
ヒースクリフの右手には団長様ゲームのくじが握られており、ゆっくりとクラディールにそれを差し出した。

「さて、団長様を決めようじゃないか。次は君が最初に引きたまえ」
「ひ・・ヒースクリフ様・・・」
「パー子さん、それに、キリコさん。私の部下達が騒いでしまって申し訳なかったね。私は満足しているのだよ。このような楽しい時間を過ごしたのは本当に久しぶりだ。今日は本当にありがとう。しかし、私も多忙でね、次の団長を決めて今宵は締めとさせていただこう。最後に、今日は本当にありがとう。とても楽しい一時だったよ」
((だ・・・団長ォォォォォッ!!))

丸裸なのに、フル〇ンなのに、とても神々しい―――。
これが・・・アインクラッドでのトップギルドを司る団長としての聖騎士ヒースクリフなのか。
銀時とキリトはこの時ばかりはヒースクリフの覇気に押しつぶされそうになった。
「そ、それではっ・・・まず最初に私が引かせていただきますっ・・・」